ゲド戦記の本とアニメについての岩波書店とジブリによる無料配布の販促本。
冒頭の中沢新一の語りだけがオリジナルで、後はこれまでに岩波書店とジブリ関係のメディアに掲載されたゲド戦記についての論評類をまとめたもの。中沢新一の語りと河合隼雄の1978年の評論が長くて重めで後は軽めの感想。
中沢新一の語りはかなり観念的で感傷的。学者さんはむりやりにでも観念的抽象的に語りたいんでしょうけど、ゲド戦記はWの言葉(Water、Wizard)で彩られている(24頁)、Wではじまる言葉には暗いイメージがつきまといます、WはマリアのMと反転関係にありますからねって・・・。その少し前でゲド戦記は非白人(White)の物語だって言ったところですが、そっちのWはどうするんでしょ。
河合隼雄がその後におかれている論評で「ユングが好きになりますと、どんな本を読んでもユングの言葉でいえるような気がしてきます。たとえば主人公が男性で、もう一人男性が出てきた、ア、これは影だっ。女性が出てきたらアニマだ、少年が出てきたら自己だっていっていれば全部わかったような気がするのですが、ほんとは何もわかっていないんじゃないかと私は思うのです。」(86頁)って言っているのが印象的です。
最近ジブリ系のメディアに掲載された文章の方を見ると、アニメについてほめるのにずいぶん苦慮しているなという跡がうかがえるのが楽しい(私はアニメは見ていませんので論評できません/する気もないけど)。
編集協力 岩波書店、スタジオジブリ
ブエナビスタホームエンターテイメント
2007年6月15日発行
冒頭の中沢新一の語りだけがオリジナルで、後はこれまでに岩波書店とジブリ関係のメディアに掲載されたゲド戦記についての論評類をまとめたもの。中沢新一の語りと河合隼雄の1978年の評論が長くて重めで後は軽めの感想。
中沢新一の語りはかなり観念的で感傷的。学者さんはむりやりにでも観念的抽象的に語りたいんでしょうけど、ゲド戦記はWの言葉(Water、Wizard)で彩られている(24頁)、Wではじまる言葉には暗いイメージがつきまといます、WはマリアのMと反転関係にありますからねって・・・。その少し前でゲド戦記は非白人(White)の物語だって言ったところですが、そっちのWはどうするんでしょ。
河合隼雄がその後におかれている論評で「ユングが好きになりますと、どんな本を読んでもユングの言葉でいえるような気がしてきます。たとえば主人公が男性で、もう一人男性が出てきた、ア、これは影だっ。女性が出てきたらアニマだ、少年が出てきたら自己だっていっていれば全部わかったような気がするのですが、ほんとは何もわかっていないんじゃないかと私は思うのです。」(86頁)って言っているのが印象的です。
最近ジブリ系のメディアに掲載された文章の方を見ると、アニメについてほめるのにずいぶん苦慮しているなという跡がうかがえるのが楽しい(私はアニメは見ていませんので論評できません/する気もないけど)。
編集協力 岩波書店、スタジオジブリ
ブエナビスタホームエンターテイメント
2007年6月15日発行