伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

図説百鬼夜行絵巻をよむ[新装版]

2007-11-05 23:57:31 | 人文・社会科学系
 室町時代中期に描かれたと推定されている百鬼夜行絵巻についての解釈論考を並べた本。
 共通点は百鬼夜行絵巻で描かれている化け物が古道具が霊力を持つようになった付喪神(つくもがみ)だということくらいで、なんかバラバラな感じ。最後の出典を見て納得しましたが、書き下ろしは最初の論考(この絵巻の元は付喪神記であって今昔物語は関係ないとか)だけで他はずいぶん前に書かれたものばかり。花田清輝とか渋澤龍彦なんてずいぶん前に亡くなってますし。何の調整もなく並べただけですから通し読みしてスッと落ちるわけもなし。こういう本の作り方って安直な感じがします。
 絵巻の図版だけ眺めてた方がいい気持ちで終われるかも。


田中貴子、花田清輝、渋澤龍彦、小松和彦 河出書房新社 2007年10月20日発行(新装版)(初版は1999年)
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幸子の庭

2007-11-05 07:30:04 | 小説
 都内の広大な庭のある旧家に住む不登校の小学6年生少女が、曾祖母が人生最後の旅と覚悟して訪ねてくるのに備えてそれまで荒れ放題だった庭を庭師に手入れしてもらいその庭師と樹や庭のことを語るうちに次第に変貌し、曾祖母とのふれあいを通じて元気を取り戻すというストーリーの小説。
 若い庭師の今時珍しい職人気質とたたき上げの修練、礼儀正しく明るい語り口が、児童文学らしく爽やかで心地よく読めます。白い花が季節をめぐり順次咲きこぼれる庭というのも爽やかなイメージですし。
 まあ杉並区内(都内で小学校が「井草小」ですから)で260坪の庭って、かなりの豪邸ですから、庶民には思いっきり縁遠い世界ですが。
 母親のあわてん坊ぶりがちょっとわざとらしいのも少し気になりますけどね。


本多明 小峰書店 2007年9月20日発行
日本児童文学者協会長編児童文学新人賞
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