岩盤工学についての教科書的解説書。電力中研の研究者が主として揚水発電所の建設のために地下に巨大な空洞を掘削するための解析をしたり現場を見てきた経験から書かれています。「専門書にしては」読みやすい方と思います。
人工材料と異なり「天然材料」の岩盤はばらつきが大きく、特に地殻変動や火山活動の活発な日本では地質が複雑で岩盤はいろんな種類が入り交じってモザイク様になっていること、岩盤試験や地圧測定は労力や費用がかかるので試験個数が少なく分散や標準偏差は求められないのが現状(72頁)、平盤載荷試験等の岩盤試験は載荷板のサイズや験体のサイズで結果が異なる(28~34頁)とか、岩盤の内部は切削切羽から10mも離れればどうなっているかは正確にはわからない(148頁)、ボーリング間隔約30mの間で局地的に地質が急変していたりする(149頁)とか、現場での悩みがいろいろ描かれています。
災害列島といわれる日本では自然災害が一年中起こっているが調査団の報告書は事故と施工責任との関係が絡まるからであろうか往々にしておざなり(147頁)という嘆きも共感できます。
第Ⅲ編の「岩盤の動きを予測する」は岩盤に空洞を開けたときの岩盤への影響を有限要素法で解析する過程が語られていて、素人には付いていけませんが、解析方法で結果がだいぶ異なること(132~133頁)とか、計算の前提となる数値を決める(仮定する)ときにはその不確定性に悩んだにもかかわらず解析結果がきれいに図化されて出てくると確定的な顔をしている(144頁)とか、興味深く読ませてもらいました。
日比野敏 鹿島出版会 2007年9月20日発行
人工材料と異なり「天然材料」の岩盤はばらつきが大きく、特に地殻変動や火山活動の活発な日本では地質が複雑で岩盤はいろんな種類が入り交じってモザイク様になっていること、岩盤試験や地圧測定は労力や費用がかかるので試験個数が少なく分散や標準偏差は求められないのが現状(72頁)、平盤載荷試験等の岩盤試験は載荷板のサイズや験体のサイズで結果が異なる(28~34頁)とか、岩盤の内部は切削切羽から10mも離れればどうなっているかは正確にはわからない(148頁)、ボーリング間隔約30mの間で局地的に地質が急変していたりする(149頁)とか、現場での悩みがいろいろ描かれています。
災害列島といわれる日本では自然災害が一年中起こっているが調査団の報告書は事故と施工責任との関係が絡まるからであろうか往々にしておざなり(147頁)という嘆きも共感できます。
第Ⅲ編の「岩盤の動きを予測する」は岩盤に空洞を開けたときの岩盤への影響を有限要素法で解析する過程が語られていて、素人には付いていけませんが、解析方法で結果がだいぶ異なること(132~133頁)とか、計算の前提となる数値を決める(仮定する)ときにはその不確定性に悩んだにもかかわらず解析結果がきれいに図化されて出てくると確定的な顔をしている(144頁)とか、興味深く読ませてもらいました。
日比野敏 鹿島出版会 2007年9月20日発行