おっちょこちょいだが万年筆には一家言ある女子大生堀井香恵が、バイト先で万年筆を買った客のイラストレーター石飛隆作への思いを、香恵のマンションの前の住人だった小学校教師真野伊吹の残した日記に勇気づけられながら実行していくラブストーリー。
真野伊吹はぜんそく持ちの小学校教師で初めて受け持った4年2組を「太陽の子」のクラスにしようとはりきり、その途中で再会した大学時代の憧れの人「隆」への思いを日記に語り続け、香恵と石飛隆作の出会いは香恵のマンションを見つめている石飛でその後も石飛の視線はどこかに飛んで行きがちという、普通の神経の読者には最初から行き先の見える設定で、ほぼ唯一の関心はなぜか見え見えの事実に気づかない香恵がおそらくは最後に気づいたときどうするのかの1点に絞られます。それだって最初の真野伊吹の日記の引用が最後の言葉を省略していることからして結末はほぼ予想できるのですが、まあ、その約束されたエンディングがそれなりに美しいので許せてしまうかなというお話です。
見え見えでも美しければ素直に感動できる人向けの小説です。トリックやどんでん返しがないと満足できない推理小説ファンは最初からパスした方が無難ですね。
雫井脩介 角川書店 2006年1月30日発行
真野伊吹はぜんそく持ちの小学校教師で初めて受け持った4年2組を「太陽の子」のクラスにしようとはりきり、その途中で再会した大学時代の憧れの人「隆」への思いを日記に語り続け、香恵と石飛隆作の出会いは香恵のマンションを見つめている石飛でその後も石飛の視線はどこかに飛んで行きがちという、普通の神経の読者には最初から行き先の見える設定で、ほぼ唯一の関心はなぜか見え見えの事実に気づかない香恵がおそらくは最後に気づいたときどうするのかの1点に絞られます。それだって最初の真野伊吹の日記の引用が最後の言葉を省略していることからして結末はほぼ予想できるのですが、まあ、その約束されたエンディングがそれなりに美しいので許せてしまうかなというお話です。
見え見えでも美しければ素直に感動できる人向けの小説です。トリックやどんでん返しがないと満足できない推理小説ファンは最初からパスした方が無難ですね。
雫井脩介 角川書店 2006年1月30日発行