伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

労働基準監督官の仕事がわかる本[改訂版]

2007-11-17 08:11:45 | 実用書・ビジネス書
 労働基準監督官の仕事についての紹介と受験についての解説書。
 大部分を占める労働基準監督官の経験談が読みどころです。遮光性カーテンをかけて灯りが漏れないようにして不払い残業を続けさせる縫製工場(19~20頁:女工哀史か・・・)、不払い残業の証拠となる労働者の日報を自宅の寝室に隠していた経営者(23~25頁)、外国人コックに週1万円しか払わないインド料理店経営者(49~55頁)、外国人講師の帰国間際になると給料を払わなくなる外国語学校経営者(57~61頁)、タイムカードの機械があるのにタイムカードを隠し機械は壊れていて使っていないと平然と嘘をつく総務部長(66~72頁)、労災の被害者を監督者と偽って責任を押し付けようとする実際の監督者(73~76頁)など、労働基準法や労働安全衛生法を無視した上に証拠隠しを図る悪辣な経営者と労働基準監督官の闘いの様子が大変興味深く読めます。
 労働基準監督官の仕事の多くの部分は労働者からの相談・申告への対処、定期臨検・指導と思われますが、経験談では不払い残業や労災についての刑事立件の話が多いのも印象的です。労働基準監督官としてもそれが心に残り、また後輩に語るのに適していると感じるのですね。ならもっと頑張ってどんどん立件して欲しいと、労働者側の弁護士としては思ってしまうのですが。


法学書院編集部 法学書院 2007年9月20日発行 (初版は2000年)
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