伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

手にとるように地球温暖化がわかる本

2008-03-02 13:58:13 | 自然科学・工学系
 地球温暖化についてその影響と対策を論じた本。
 地球温暖化の原因やメカニズムには深入りせず、どちらかといえば対策の技術関係の方に重点を置いています。
 温暖化の影響関係では、実は寒冷化した場合の方が深刻だとか、地球温暖化のメリットもあり得ることなどにも触れているのがユニークです。私が子どもの頃は、地球は今後寒冷化する、氷河期が近づいているとかいう話をよく聞かされました。それをみんな忘れたように温暖化、温暖化というのを、私は科学者というのが当てにならないという気持ちで聞いています。この本では、少しではありますが、そのことにも触れてエアロゾルの影響による寒冷化の可能性やその影響も指摘している(70~75頁)ので、少し納得しました。温暖化の議論も、火山の大規模噴火があったりすると吹っ飛んでしまいかねない訳ですが、起こるかどうかわからない大噴火を当てにして対策を取らないわけにはいかないですしね。
 対策の方では、バイオ・エネルギー、太陽光発電、水素利用(燃料電池)、ハイブリッドカー、二酸化炭素回収・貯留技術が紹介されています。著者の評価としては、現実性で太陽光発電とハイブリッドカー、排出源工場での二酸化炭素回収が優位であり(バイオ・エネルギーと水素利用は現実的でなく)、夢としては大気中の二酸化炭素回収が優れているとされています。太陽光発電については行政の補助が十分にあれば一般家庭への普及が十分可能な水準に来ているとのことです。原子力偏重の予算配分を早く転換して欲しいところです(この本の著者は原子力はクリーンだという立場:184頁ですからこう思うかどうかはわかりませんが)。
 太陽光発電の「投資効果」の説明で利回り5%は目前として株式投資と比較している下り(156頁)はミスリーディング。利回りを議論するのは元本と別に入ってくることを想定しているわけで、太陽光発電の場合20~30年たったら装置は使い物にならず設置費用は返ってこないのですから、利回りではなくて費用の回収のはず。


村沢義久 かんき出版 2008年1月15日発行
コメント
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