男子800m走の選手の2人の高校生の対決と交友を軸に、陸上のトレーニングや家族関係、異性関係の展開を描いた小説。
ちょい悪のおちゃらけキャラで陸上でも戦術など考えずにガンガン飛ばしていく中沢クンと優等生で日常生活からトレーニング、本番まで緻密に計画を立て機械のように進めていく広瀬クンという、対照的な2人のライバルを立て、1章ごとに語り手を交代して話が進行していきます。
最初は典型的に「陸上小説」なんですが(バスケットボール部は暗かった、陸上は明るいって、最初からかなりハイテンションの陸上への思い入れですし)、途中から異性関係の方に話の重点が移ります。中沢クンが惚れた陸上のスター、広瀬クンが知り合った陸上のエリートだった死んだ先輩の恋人、広瀬クンの妹らが絡み、広瀬クンの妹は兄にもキスしたり、広瀬クンは死んだ先輩(男)とも関係があったりと、かなり乱れたというか複雑というかいとも簡単に性関係が結ばれるというか、そういう話が続きます。陸上の話は前半だけで、これは恋愛小説というか青春小説なのねと思ったところで、ラストにまた陸上の試合が来ます。全体としてはやっぱり陸上小説なのでしょうか。
性関係を描いているところが、どろどろしてなくて乾いたというか透明感があるのが、読後感を軽くしています。
語り手が中沢クンと広瀬クンだけということもあり、喫茶店などで簡単に「寝よう」と誘う女性キャラたちの考えや人柄が今ひとつストンと落ちません。単純に都合のいい女と設定されているのかなと感じます。そういうこと気にしない人がエンタメとしてさらりと読むにはいい作品だと思いますが。
川島誠 角川文庫 2002年6月25日発行
(マガジンハウス 1992年)
ちょい悪のおちゃらけキャラで陸上でも戦術など考えずにガンガン飛ばしていく中沢クンと優等生で日常生活からトレーニング、本番まで緻密に計画を立て機械のように進めていく広瀬クンという、対照的な2人のライバルを立て、1章ごとに語り手を交代して話が進行していきます。
最初は典型的に「陸上小説」なんですが(バスケットボール部は暗かった、陸上は明るいって、最初からかなりハイテンションの陸上への思い入れですし)、途中から異性関係の方に話の重点が移ります。中沢クンが惚れた陸上のスター、広瀬クンが知り合った陸上のエリートだった死んだ先輩の恋人、広瀬クンの妹らが絡み、広瀬クンの妹は兄にもキスしたり、広瀬クンは死んだ先輩(男)とも関係があったりと、かなり乱れたというか複雑というかいとも簡単に性関係が結ばれるというか、そういう話が続きます。陸上の話は前半だけで、これは恋愛小説というか青春小説なのねと思ったところで、ラストにまた陸上の試合が来ます。全体としてはやっぱり陸上小説なのでしょうか。
性関係を描いているところが、どろどろしてなくて乾いたというか透明感があるのが、読後感を軽くしています。
語り手が中沢クンと広瀬クンだけということもあり、喫茶店などで簡単に「寝よう」と誘う女性キャラたちの考えや人柄が今ひとつストンと落ちません。単純に都合のいい女と設定されているのかなと感じます。そういうこと気にしない人がエンタメとしてさらりと読むにはいい作品だと思いますが。
川島誠 角川文庫 2002年6月25日発行
(マガジンハウス 1992年)