オクラホマ州の地方都市で1982年に起こったレイプ殺人事件で4年半後に逮捕され有罪となり死刑判決を受けた2人が、冤罪とわかり釈放されるまでとその後を描いたノンフィクション。
実在の事件で実名で書いたもので、2人を訴追した検察官から名誉毀損の裁判を起こされ係争中(訳者あとがき)とのことです。
ノンフィクションのため、謎解きもなく、スリリングな展開ともいえず、読み物として見たときには被告人の生い立ちや言動にページを割きすぎの感があり、リーガルサスペンスとしては読みにくい。でもグリシャムとしては久しぶりの法廷ものと言えます(イメージとしては「処刑室」に近いかも)から、その意味ではグリシャムファンには待望のというべきかも知れません。
私としては、メインストーリーとは別の冤罪事件の関係ですが、無実の者が警察からさんざん騙され脅かされて嘘の自白をさせられてそれを繰り返した後に取調の録画をされ(上巻153~172頁)、物証なしでそのビデオ自白で死刑判決を受けた(上巻196~199頁、下巻98~99頁)という話がとても興味深く思えました。日本でも今裁判員裁判の開始を前に取調のビデオ録画が話題となっており、検察庁は全部録画を拒否し一部のみ(検察官が録画したい部分だけ)録画する方針を出しています。捜査側が録画対象を自由に選べるならばこういうことが繰り返されることになるでしょうね。
それと、1審の弁護人も批判対象になっていますが、後から見れば(他人事として言うならば)十分でなかったと言えるでしょうけど、弁護士の感覚として言えば、通常期待されるレベル以上に努力しているように見え、これだけやっても批判されるのは可哀想に思えます。
ジョン・グリシャム 訳:白石朗
ゴマ文庫 2008年3月10日発行 (原書は2006年)
実在の事件で実名で書いたもので、2人を訴追した検察官から名誉毀損の裁判を起こされ係争中(訳者あとがき)とのことです。
ノンフィクションのため、謎解きもなく、スリリングな展開ともいえず、読み物として見たときには被告人の生い立ちや言動にページを割きすぎの感があり、リーガルサスペンスとしては読みにくい。でもグリシャムとしては久しぶりの法廷ものと言えます(イメージとしては「処刑室」に近いかも)から、その意味ではグリシャムファンには待望のというべきかも知れません。
私としては、メインストーリーとは別の冤罪事件の関係ですが、無実の者が警察からさんざん騙され脅かされて嘘の自白をさせられてそれを繰り返した後に取調の録画をされ(上巻153~172頁)、物証なしでそのビデオ自白で死刑判決を受けた(上巻196~199頁、下巻98~99頁)という話がとても興味深く思えました。日本でも今裁判員裁判の開始を前に取調のビデオ録画が話題となっており、検察庁は全部録画を拒否し一部のみ(検察官が録画したい部分だけ)録画する方針を出しています。捜査側が録画対象を自由に選べるならばこういうことが繰り返されることになるでしょうね。
それと、1審の弁護人も批判対象になっていますが、後から見れば(他人事として言うならば)十分でなかったと言えるでしょうけど、弁護士の感覚として言えば、通常期待されるレベル以上に努力しているように見え、これだけやっても批判されるのは可哀想に思えます。
ジョン・グリシャム 訳:白石朗
ゴマ文庫 2008年3月10日発行 (原書は2006年)