ニューヨークの私立高校での医者の娘のユダヤ人少女エリーと映画監督と作家の息子の黒人少年マイヤのラブストーリー。
ラブストーリーとしては流れはかなり単純で、学校でぶつかった際にお互いに一目惚れして好意を持ち告白してつきあっていく様子がエリーの語りとマイヤの語りを交互に繰り返す形で続いていきます。
ラブストーリー自体の展開は最後の悲劇以外はごくシンプルで、ラブストーリーそのものよりも、白人と黒人の交際への周囲の目とそれを自分たちの気持ちの中でどう折り合っていくかというようなところが主要なテーマとされています。
作者のポイントは明らかにそこですが、むしろ、かつて家出した母親としっくりいかず複雑な思いを抱くエリーの姿や、別居した両親の間を揺れ動くマイヤの姿、こういった親の諍いと自立過程の微妙な関係を描いたティーンエイジャーものと読んだ方が、私はいいかなと思いました。
訳で、母親がこだわり続けるエリーの名前Elishaを「イライシャ」としているのが、最初「依頼者」の抽象概念かと思い、ちょっと混乱しました。Elishaは「イライシャ」とも読みますが「エリシャ」読みも少なくないようですし、日本語訳としてはどうでしょうか。マイヤの語りは「である」調、エリーの語りは「ですます」調に訳されているのも、わかりやすいとは言えますが、差別問題をテーマにした作品だし、エリーがそれなりに自立志向が強く設定されていることからすればどうなんでしょうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_yodare1.gif)
原題:IF YOU COME SOFTLY
ジャクリーン・ウッドソン 訳:さくまゆみこ
あすなろ書房 2008年3月20日発行 (原書は1998年)
ラブストーリーとしては流れはかなり単純で、学校でぶつかった際にお互いに一目惚れして好意を持ち告白してつきあっていく様子がエリーの語りとマイヤの語りを交互に繰り返す形で続いていきます。
ラブストーリー自体の展開は最後の悲劇以外はごくシンプルで、ラブストーリーそのものよりも、白人と黒人の交際への周囲の目とそれを自分たちの気持ちの中でどう折り合っていくかというようなところが主要なテーマとされています。
作者のポイントは明らかにそこですが、むしろ、かつて家出した母親としっくりいかず複雑な思いを抱くエリーの姿や、別居した両親の間を揺れ動くマイヤの姿、こういった親の諍いと自立過程の微妙な関係を描いたティーンエイジャーものと読んだ方が、私はいいかなと思いました。
訳で、母親がこだわり続けるエリーの名前Elishaを「イライシャ」としているのが、最初「依頼者」の抽象概念かと思い、ちょっと混乱しました。Elishaは「イライシャ」とも読みますが「エリシャ」読みも少なくないようですし、日本語訳としてはどうでしょうか。マイヤの語りは「である」調、エリーの語りは「ですます」調に訳されているのも、わかりやすいとは言えますが、差別問題をテーマにした作品だし、エリーがそれなりに自立志向が強く設定されていることからすればどうなんでしょうか。
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原題:IF YOU COME SOFTLY
ジャクリーン・ウッドソン 訳:さくまゆみこ
あすなろ書房 2008年3月20日発行 (原書は1998年)