野犬の殺処分場に勤める右足の膝から下が動かない29歳男山根英則が、右足が動かなくなった事故の復讐をするために連れてきて同居させている幼なじみの人に嫌われることを極度に恐れる気の弱い25歳女緒川奈々瀬との間で続ける陰鬱な日々に、好奇心から入り込んできた英則の同僚の自信過剰のジコチュウ青年番上とその恋人で奈々瀬の同級生だったあずさが絡んで展開する青春小説。
2008年の作品ですが、映画の公開にあわせて読んでみました。
主人公2人の屈折ぶりと、脇役2人の性格の悪さが強く印象づけられますが、その性格の悪い2人がジコチュウに徹することでむしろ明るく憎めなく思えていき、屈折して暗いもののまじめだと思え被害者的に位置づけられた主人公2人が屈折を深めるうちに能動性を感じさせて性格を変えていくという、キャラ設定の変化に巧みさを感じました。
気が弱くて拒否できない奈々瀬を高校時代に利用していた男たちは、そして同類の番上は、その志の低さ故に奈々瀬の想い人とはなり得なかった、その気になればもてる奈々瀬がそこまでして想う相手は・・・ということが、裏テーマになっているような気がします。
本谷有希子 メディアファクトリー 2008年2月29日発行
「ダ・ヴィンチ」2007年2月号~10月号連載
2008年の作品ですが、映画の公開にあわせて読んでみました。
主人公2人の屈折ぶりと、脇役2人の性格の悪さが強く印象づけられますが、その性格の悪い2人がジコチュウに徹することでむしろ明るく憎めなく思えていき、屈折して暗いもののまじめだと思え被害者的に位置づけられた主人公2人が屈折を深めるうちに能動性を感じさせて性格を変えていくという、キャラ設定の変化に巧みさを感じました。
気が弱くて拒否できない奈々瀬を高校時代に利用していた男たちは、そして同類の番上は、その志の低さ故に奈々瀬の想い人とはなり得なかった、その気になればもてる奈々瀬がそこまでして想う相手は・・・ということが、裏テーマになっているような気がします。
本谷有希子 メディアファクトリー 2008年2月29日発行
「ダ・ヴィンチ」2007年2月号~10月号連載