伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

犬を殺すのは誰か ペット流通の闇

2010-10-22 22:37:17 | ノンフィクション
 年間11万匹あまりの犬が自治体に引き取られ8万匹あまりが殺処分されている日本の現状を、主として売る側の姿勢と自治体の状況にポイントを置いてレポートした本。「AERA」誌上での犬ビジネスをめぐる6本の記事をまとめたもの。
 かわいい幼犬を十分な説明・指導なく衝動買いさせて売り、売れない犬を自治体に引き取らせるペットショップや、それを助長する移動販売やネットオークションの問題を指摘して、移動販売やネットオークションの禁止、生後8週未満の販売禁止を提唱しています。ここでは、幼くして生まれた環境から引き離された犬は精神的打撃を受け、かみつき等の問題行動を起こしやすいという専門家の見解が紹介されています(53~57ページ)。そして多くの自治体が犬の定時定点収集、つまり燃えないゴミの日ならぬ捨て犬の日を設けて巡回収集のサービスをしてきたことが安易な捨て犬の増加を招いていることも指摘されています。AERAの記事も契機となって定時定点収集を減少・廃止させた自治体が多く、その結果捨て犬が減ったとも述べられています。犬を捨てるために保健所まで行かねばならず、しかも捨てないように指導される住民からはサービス低下だと苦情も多数寄せられているとのことですが。
 著者の主張が明確で運動的な志向を持つ本です。愛犬家の民主党議員をヨイショしているのも、殺処分減少に向けて活動させようという狙いなのでしょう。そういうところで好き嫌いが分かれそうな本です。


太田匡彦 朝日新聞出版 2010年9月30日発行
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする