伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

はじめて読む「成年後見」の本

2010-10-18 22:41:57 | 実用書・ビジネス書
 精神障害や認知症等によって判断力が失われた人に代わって契約等を行う後見人等を選任する成年後見制度の仕組みと実務について説明した本。
 社会福祉士で行政書士である編著者の下、成年後見に携わる様々な関係者の執筆で、成年後見の実情がイメージしやすく書かれています。特に成年後見実践レポートと題する事例説明では、成年後見人がやるべき仕事、本来は職務ではないのに現実的にはやらざるを得なくなる仕事、親族の誤解による過剰な期待(成年後見人の業務は、身上監護としても、介護契約や施設入所契約などの契約の事務で現実の介護や世話ではないのに、介護なども含め何でもやってくれると誤解する親族がいる)などが実感できます。
 ただ、後見人の報酬については、被後見人が判断力があるうちに契約する任意後見では契約で、被後見人の判断力が失われて裁判所で選任する法定後見では裁判所の決定で定められるのですが、任意後見契約での報酬の例については書かれている(専門家後見人アドの優勝の場合月3万~5万円が多い:53ページ)ものの、法定後見のケースについてはまったく書かれていません。書きにくいのでしょうけれども、本のあちこちで相当な額がかかることを示唆したり、後見人にとっては割に合わないと言ったりして、読んでいる人が気になるようにしておいて、全然書かないというのはどんなものでしょう。


馬場敏彰編著 明石書店 2010年8月19日発行
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