失踪した夫が3年経って帰ってきたが、夫の体は海底で蟹に食われてなくなり死んでいるのだが体が見え触れることもできるという設定で、妻が夫とともに夫が3年かけて歩んだ道をともに旅してさかのぼるというストーリーの小説。
旅する中で、生きてともに暮らしている間は聞かなかった/聞けなかったことを聞いたり、様々な点で相手の知らなかった側面を発見し、という具合に、ふだんは見つめ合う機会/余裕のなかった夫婦がお互いを見つめ合う、そういうことで夫婦関係、人間関係を考えさせる小説です。
夫が、目の前にいて話もできるし触れ合うこともできるけど、死んでいるということで、何を知っても怒ることもなく、冷静に慈しむことができる、荒唐無稽ではありますが、巧みな条件設定といえるでしょう。
現実に目を転じると、夫婦っていっても知らないことだらけだねぇと思い、でもだからといって何でも聞けるかというと、また知らなかったことを知って感情的にならずにいられるかというと・・・人間関係は難しいですからね。そういうことをまた考えさせられます。
湯本香樹実 文藝春秋 2010年2月25日発行
旅する中で、生きてともに暮らしている間は聞かなかった/聞けなかったことを聞いたり、様々な点で相手の知らなかった側面を発見し、という具合に、ふだんは見つめ合う機会/余裕のなかった夫婦がお互いを見つめ合う、そういうことで夫婦関係、人間関係を考えさせる小説です。
夫が、目の前にいて話もできるし触れ合うこともできるけど、死んでいるということで、何を知っても怒ることもなく、冷静に慈しむことができる、荒唐無稽ではありますが、巧みな条件設定といえるでしょう。
現実に目を転じると、夫婦っていっても知らないことだらけだねぇと思い、でもだからといって何でも聞けるかというと、また知らなかったことを知って感情的にならずにいられるかというと・・・人間関係は難しいですからね。そういうことをまた考えさせられます。
湯本香樹実 文藝春秋 2010年2月25日発行