伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

エロティック日本史 古代から昭和まで、ふしだらな35話

2017-02-19 12:16:30 | 人文・社会科学系
 日本の性の通史をつくるという企画で、日本史の中での性にまつわるエピソードを紹介した本。
 混浴について、「エロの歴史」というくくりで位置付けています(56ページ等)が、出雲風土記のころから(それ以前も)を論ずるのに、混浴だから大行列だったと評価するのはどうかなと思います。その頃そもそも男女別の風呂があったのか、混浴だからではなく、温泉自体が珍しく人気だったということではないのか、疑問に思えます。ペリーの報告書で「ある公衆浴場での光景だが、男女が無分別に入り乱れて、互いの裸体を気にしないでいる…」と「侮蔑」しているとされています(249~250ページ)が、入浴者が「互いの裸体を気にしないでいる」のならば、入浴者は「エロ」の気持ちを持っていないということではないのか、周りが、お上が、後世の人間が、勝手に淫乱だ、けしからんと言っているだけなんじゃないかとも思えます。
 「性」の問題とは別に、「庶民の生活史という点からいえば、源平の争いが始まった時から徳川幕府が成立するまでの400年以上、ズーッと戦国時代であった。なぜならその400年間、庶民の家は焼かれ、田んぼは軍勢が移動する際に踏み荒らされて、まるで津波に襲われた後みたいに使い物にならなくなったからである。」(167ページ)として、勝った軍勢が庶民から強奪し家を焼き払い人さらいをして奴隷として売り飛ばした様子(167~168ページ)、多くの日本人が奴隷として海外に売られたこと(182~183ページ)などが紹介されています。日本史の英雄として位置づけられている戦国大名たちが、庶民を虐げ強奪する残虐で小汚い権力者だという視点を持たせてくれるという点で、興味深いところです。


下川耿史 幻冬舎新書 2016年3月30日発行
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