伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

アール・ヌーヴォーの華 アルフォンス・ミュシャ

2020-04-15 21:49:53 | 趣味の本・暇つぶし本
 アルフォンス・ミュシャの挿絵、リトグラフ、デッサンを中心に、作品とミュシャの画業について解説した本。
 リトグラフに関しては、著名な作品の大半が網羅されていますが、この本で紹介されている作品のほとんどが堺アルフォンス・ミュシャ館の所蔵という点に驚かされます。リトグラフだから多数印刷できるしされたからではありますが、「カメラのドイ」創業者がアルフォンス・ミュシャの作品を買いあさり、世界でも有数のコレクションとなったのが寄贈されて堺アルフォンス・ミュシャ館ができたというのは知りませんでした。
 ミュシャを時代の寵児にしたポスターは、フランスの舞台女優サラ・ベルナールを描き宣伝するものでしたが、当時サラ・ベルナールが50歳になっていたこと、ミュシャの前にポスターを描いていたウジェーヌ・グラッセが写実的に過ぎてサラに嫌われたらしきこと(40~41ページ)などは、「ジスモンダ」(27ページ。未見の方は、是非実物を見て欲しい。ほぼ等身大の大きさ、色使いのセンスの良さなど、ミュシャが圧倒的な支持を受けたことが納得できます)に描かれた麗しいサラから想像しにくい事情です。
 装飾的な表現が特色のミュシャが、自然そのもののデッサンとディテールの重要性を言い、モデルのポーズや衣装のしわに実際との違いがあってはならないと考え、モデルを見ずに絵を描くことはなかった(103ページ)というのも意外でした。
 それほど詳しい長文の説明はないのですが、いろいろと気づかされることの多い本でした。


堺アルフォンス・ミュシャ館編著 講談社 2020年1月22日発行
コメント
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