伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

実践!繁盛立地の判定・分析・売上予測

2020-04-19 17:51:33 | 実用書・ビジネス書
 店舗立地コンサルタントの著者が、店舗立地を判定するための要素や評価方法、候補物件に立地した場合の売上予測の方法等について解説した本。
 商圏の規模(来店可能な範囲に居住し、または昼間に流入する人口:どちらを重視するかは店の性質による)、商圏の質(流入する人の目的:通学・就業目的・購買目的、居住する人の属性)、接近容易性(交通アクセス、人が集中する場所の存否、そこからの動線、「入りやすさ」等)、知覚突出性(近隣を通行する人からの見えやすさ:視覚障害物の有無、看板等の設置可能位置等)、土地・建物制約(物件の大きさ、間取り、階層、入り口の入りやすさ、周辺の環境等)、競合制約(周辺の類似店・競合店の影響)などを立地判断上どのように考えるか、改装や看板の設置等の努力と工夫でどこまで改善の余地があるかなどが説明されています。店舗の種類、性格などにより、評価が変わることが強調されています。私の事務所のように、ほぼすべてのお客さんが「目的来店」(「あのお店に行きたい!」という強い意志を持って、多少遠くてもわざわざ来てくれる)の場合、わかりやすい(覚えやすい)立地が重要で、可能ならば誰でも知っている大都市で、目印(ランドマーク)があり、「3つ以内のキーワードでお店の場所を表現できる」のがカギだそうです(24ページ)。
 売上予測についてさまざまな手法を紹介していて、統計データや既存店データを用いて勘やざっくりした計算で評価するもの、エクセル等で処理して相関式を出したり重回帰分析をするものが挙げられていますが、業種、さらにはチェーン毎にチューニングが必要で、そこではやはり一種の勘とセンスが必要になる上、トレンドもあるので評価システムを作っても結局出店毎に微調整したり、2~3年も経てば大幅に見直しをする必要があるとされています。そうですよね。そうでないと、コンサルタントがやり方を具体的に説明して手の内を明かすと商売になりませんからね。私もよく、裁判の手続や実務についてこんなに詳しく書いてしまって大丈夫かと聞かれますけど、弁護士の仕事は個別の事件毎に違う事情や証拠をどう読み評価するか、そこから何ができるかの勝負で、一般論だけで素人や経験不足の同業者がまねできるわけでもないので、全然気になりません。そのあたりの、売上予測の方法(エクセルでの処理の仕方)まで書いても平気な自信に、ちょっと共感しました。
 上司を納得させる売上予測報告書の書き方について、まず結論を書く、地図と写真(人が集合する施設等の位置、人の流れ、競合店の位置などを示した地図、物件の構造や見えやすさがわかる写真)を付ける、プラス点とマイナス点を整理する、比較表(候補物件と既存店・類似店との比較等)を付けるの4項目を挙げています(180ページ)。立地・物件という特殊性はありますが、プレゼンの考え・センスとして参考になります。


林原琢磨 同文館出版 2020年2月20日発行
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