海底に巣穴を掘ってその中で隠れて生息している底生生物について解説した本。
よく干潟に生息する生物が海水を濾過しているという話を聞きますが、底生生物の大きさと海・湾の大きさから今ひとつピンときませんでした。この本では、体長数センチ(大きくてもせいぜい10センチ程度)のアナジャコが深さ2メートル以上にも達するの巣穴を掘り、Y字型の巣穴に海水を取り込んでプランクトン等を濾し取り、条件のよい場所だと1平方メートルあたり200匹以上もの高密度で生息している、干潟の地面の下はアナジャコの巣穴だらけ(42~46ページ)とか、著者が2010年に鹿島灘沖約2kmの水深約20メートルの海底に潜水してみたところ、海底はアナジャコ(ナルトアナジャコ)の巣穴だらけであり、穴だらけの状態は岸沿いに数十kmに渡って続いており、1平方メートルあたり最大425匹にも達したこと(93~96ページ。94ページの写真が印象深い)などが書かれており、これを読むと、決してオーバーではなく、海水の濾過(海の清浄化)は砂中の底生生物に担われているのだと感じられます。それだけのアナジャコなどの底生生物を養うほどのプランクトン(の死骸)などが日々海中を沈降して海底に達しているという地球の物質/生物循環の大きさに驚き、そこに大量のマイクロプラスチックが混入し襲ったときにどうなるのか/現にどうなっているのかを考えさせられます。
清家弘治 中公新書ラクレ 2020年2月10日発行
よく干潟に生息する生物が海水を濾過しているという話を聞きますが、底生生物の大きさと海・湾の大きさから今ひとつピンときませんでした。この本では、体長数センチ(大きくてもせいぜい10センチ程度)のアナジャコが深さ2メートル以上にも達するの巣穴を掘り、Y字型の巣穴に海水を取り込んでプランクトン等を濾し取り、条件のよい場所だと1平方メートルあたり200匹以上もの高密度で生息している、干潟の地面の下はアナジャコの巣穴だらけ(42~46ページ)とか、著者が2010年に鹿島灘沖約2kmの水深約20メートルの海底に潜水してみたところ、海底はアナジャコ(ナルトアナジャコ)の巣穴だらけであり、穴だらけの状態は岸沿いに数十kmに渡って続いており、1平方メートルあたり最大425匹にも達したこと(93~96ページ。94ページの写真が印象深い)などが書かれており、これを読むと、決してオーバーではなく、海水の濾過(海の清浄化)は砂中の底生生物に担われているのだと感じられます。それだけのアナジャコなどの底生生物を養うほどのプランクトン(の死骸)などが日々海中を沈降して海底に達しているという地球の物質/生物循環の大きさに驚き、そこに大量のマイクロプラスチックが混入し襲ったときにどうなるのか/現にどうなっているのかを考えさせられます。
清家弘治 中公新書ラクレ 2020年2月10日発行