コンパクトデジカメで撮るスナップ写真の撮り方、見せ方などについて書いた本。
基本的には、技術的なことに囚われずに自由に撮りたい時に撮りたい対象を撮りましょうというスタンスです。「街を撮るというより、街で撮りながら自分の気持ちを写真化するための視線で街を歩くということなのです」(76ページ)、「いわゆるフォトジェニックとされるものでなければカメラアイが働かない人は、スナップ写真向きじゃないですね。というより『写真』を理解できないのではないかと思います」(80ページ)という自由な着想、センスが推奨されています。
人物の撮影に関して、「たとえばその人が仕事をさぼってそこにいた、あるいはカップルがじつは不倫関係だったというようなことであれば、重大問題になってしまいます」(120ページ)、「車のナンバーだけでなく、写されたものが公表されて被写体である人が迷惑を蒙ると思われるシーンは撮らないことです」(127ページ)などと、Q&A形式で諭しています。「スマホによるマナー違反が写真を撮る人すべての問題とされるようになったことから写真愛好家の撮る自由が狭められつつあるのですね」(115ページ)などと、素人がマナーを気にせずに撮るから自分たちプロが迷惑しているというような論調が鼻につきます。もちろん、世の中には自己中な人がいますから、そういう面もありますが、この本にも、被写体の承諾を得て撮ったとはとても考えられない写真で顔が十分に判別できる写真が多数掲載されています。他人に対しては/素人に対しては、被写体が迷惑かも知れないとか写っているカップルが不倫関係だったらどうするなどと講釈を垂れながら、今どきそういう写真を公表できる感覚は、私には理解できません(自分もそういう間違いを犯しているかも知れないから大きなことは言えないが、というのならまだしも)。写真の撮り方については、構えずに自由にやればいいと、緩いスタンスで語る著者が、Chapter3「気持ちよくスナップ写真を撮るために」のQ&Aになると途端に上から目線でマナーの悪い素人をたしなめるというあたりの論調の変化が興ざめでした(被写体のプライバシーとか迷惑の話は、正しいというか、著者の姿勢よりももっと気をつけるべきだと思いますけど)。
丹野清志 玄光社MOOK 2020年2月27日発行
基本的には、技術的なことに囚われずに自由に撮りたい時に撮りたい対象を撮りましょうというスタンスです。「街を撮るというより、街で撮りながら自分の気持ちを写真化するための視線で街を歩くということなのです」(76ページ)、「いわゆるフォトジェニックとされるものでなければカメラアイが働かない人は、スナップ写真向きじゃないですね。というより『写真』を理解できないのではないかと思います」(80ページ)という自由な着想、センスが推奨されています。
人物の撮影に関して、「たとえばその人が仕事をさぼってそこにいた、あるいはカップルがじつは不倫関係だったというようなことであれば、重大問題になってしまいます」(120ページ)、「車のナンバーだけでなく、写されたものが公表されて被写体である人が迷惑を蒙ると思われるシーンは撮らないことです」(127ページ)などと、Q&A形式で諭しています。「スマホによるマナー違反が写真を撮る人すべての問題とされるようになったことから写真愛好家の撮る自由が狭められつつあるのですね」(115ページ)などと、素人がマナーを気にせずに撮るから自分たちプロが迷惑しているというような論調が鼻につきます。もちろん、世の中には自己中な人がいますから、そういう面もありますが、この本にも、被写体の承諾を得て撮ったとはとても考えられない写真で顔が十分に判別できる写真が多数掲載されています。他人に対しては/素人に対しては、被写体が迷惑かも知れないとか写っているカップルが不倫関係だったらどうするなどと講釈を垂れながら、今どきそういう写真を公表できる感覚は、私には理解できません(自分もそういう間違いを犯しているかも知れないから大きなことは言えないが、というのならまだしも)。写真の撮り方については、構えずに自由にやればいいと、緩いスタンスで語る著者が、Chapter3「気持ちよくスナップ写真を撮るために」のQ&Aになると途端に上から目線でマナーの悪い素人をたしなめるというあたりの論調の変化が興ざめでした(被写体のプライバシーとか迷惑の話は、正しいというか、著者の姿勢よりももっと気をつけるべきだと思いますけど)。
丹野清志 玄光社MOOK 2020年2月27日発行