伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

医療コーディネーターが教えるヤバい医者の見分け方

2020-04-18 00:04:35 | 実用書・ビジネス書
 医療コーディネーターだという著者が「行ってはいけない病院」を見抜くためのポイントを20列挙した本。
 基本的には、診療や研鑽(最新の医療技術・知識の習得)よりも他の事情、例えば営業(患者集め、提携業者)を優先している医師や、向上心がない医師、薬学の知識(併用禁忌等)がない医師がやり玉に挙げられ、それが表れる指標となる項目を立てていますが、医療業界の知識というよりも単に自分が患者としてこういう医師は嫌だなと言っているだけの項目(キレる医師等)も見られます。
 「医療コーディネーターとして、星の数ほど医療現場を見てきた私」(6ページ)というのですが、それぞれの項目で書かれている情報は、かなり薄いもので、「医療現場のウラを知る医療コーディネーターだからこそ書ける!」(表紙見返し)というほどディープな記述は見られません。たとえば「本当はヤバいクリニック⑤ 眼鏡の医師がレーシックを勧めるクリニック」という項目(65ページ~)では、「視力の低い眼科医のうちで、自らレーシック手術を受けている人は非常に稀であって、多くの人はなぜか眼鏡をかけているという印象があります」(68ページ)という記載があり、これはこれで1つの発見です(「印象があります」レベルですが)。しかし、それが「ヤバい医者」だという根拠は、旧知の眼科医に尋ねてみたら「眼科医の集まりに出ると、確かに眼鏡率が高いよね…。ドクターはさ、レーシックの手術はやりたい…でも自分では受けたくない。そういうことなんじゃないの」と言われた(70~71ページ)という、ただそれだけです。「本当はヤバいクリニック③ 標榜科にムリがあるクリニック」では、「私が長年の経験から得た、標榜科が多過ぎる大盛りラーメン・全部入り型のクリニックの本当の専門分野を見極めるコツを伝授しましょう。その見極めのコツとは、数多く掲げられた標榜科のうち、最初に掲載されているのが最も自信のある診療科である場合が多いというものです。」などと書かれています(56ページ)。それが、長年の経験から得た見極めのコツ、なんですか…。一番目につくところに一番アピールしたい項目を持ってくるのは、基礎知識がまったくない素人が考えてもわかることじゃないでしょうか。こういう記述を業界人でなければ書けない裏事情と言われて素直に感嘆できる読者には、いい本なのでしょうね。
 このレベルの情報を、「本書では、現役医療業界関係者として、医療現場の現在と未来について歯に衣着せぬ内容を徹底的に語り尽くした」(著者プロフィール末尾)なんて書いた挙げ句に、あとがきでは「実はヤバいドクターのお話はまだまだあります。この続きは、また刊行のチャンスをいただけたときにみなさんにお伝えしたいと思います」(185ページ)と続編の予告をしています。私には、出版社が読者を舐めてるなと思えるのですが。


三田はやと 自由国民社 2020年2月28日発行
コメント
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