立件された5名(成人2名、少年3名)が最終的に全員無罪となった大阪地裁所長襲撃事件の弁護人による裁判過程のレポート。
鮮明ではないとはいえ防犯カメラに犯人が映っていて体格が明らかに違うという事情があり、検察が地裁所長である被害者に遠慮して十分な取調を行わず被疑者の面割・面通しさえせず、最終的には自分はやっていないと供述を覆した少年の供述や共犯者がくるくる入れ替わる少年の自白に基づいて公判請求されたという事件であり、その自白も次々と覆されていったにもかかわらず、無罪判決を獲得するまでには長い道のりとさらなる決定打(後日判明したアリバイなど)を要したというあたりに現在の日本の刑事裁判の実情がよく描かれています。
弁護士の目には、現役の若手弁護士の手になるところから、弁護士の業務の実情や裁判の進展や尋問、証拠に対する弁護士の見方・感じ方が非常にリアルで、弁護士の仕事について理解してもらうという観点でもいい本かなと思いました。おそらくはそれなりに控えたのだとは思いますが、検察官、裁判官、そして相弁護人に対する見方・評価にもリアリティを感じました。
そういう刑事裁判や弁護士の仕事について理解するという点でお薦めしたい本だと思います。
なお、被害者の大阪地裁所長の名前は仮名にしていますが、勾留状の記載では氏は仮名になってますが名の方は実名になっています。あえて仮名にする必要があったのかなという気もしますけど。
海川直毅 勁草書房 2012年5月25日発行
鮮明ではないとはいえ防犯カメラに犯人が映っていて体格が明らかに違うという事情があり、検察が地裁所長である被害者に遠慮して十分な取調を行わず被疑者の面割・面通しさえせず、最終的には自分はやっていないと供述を覆した少年の供述や共犯者がくるくる入れ替わる少年の自白に基づいて公判請求されたという事件であり、その自白も次々と覆されていったにもかかわらず、無罪判決を獲得するまでには長い道のりとさらなる決定打(後日判明したアリバイなど)を要したというあたりに現在の日本の刑事裁判の実情がよく描かれています。
弁護士の目には、現役の若手弁護士の手になるところから、弁護士の業務の実情や裁判の進展や尋問、証拠に対する弁護士の見方・感じ方が非常にリアルで、弁護士の仕事について理解してもらうという観点でもいい本かなと思いました。おそらくはそれなりに控えたのだとは思いますが、検察官、裁判官、そして相弁護人に対する見方・評価にもリアリティを感じました。
そういう刑事裁判や弁護士の仕事について理解するという点でお薦めしたい本だと思います。
なお、被害者の大阪地裁所長の名前は仮名にしていますが、勾留状の記載では氏は仮名になってますが名の方は実名になっています。あえて仮名にする必要があったのかなという気もしますけど。
海川直毅 勁草書房 2012年5月25日発行