なあむ

やどかり和尚の考えたこと

雲水道中記ー永平寺から最上へー 13

2009年11月26日 16時28分36秒 | 雲水道中記

3月21日、春分の日。
391345 ホテルで精算しようとして頭陀袋に手を入れたところ、むき出しにしていたカミソリに当たって指を削いでしまう。
ちり紙と手ぬぐいで応急処置をして出発。血が止まらない。
雨が降っていたので、教えの通り足袋を履かずに歩く。しばらく歩くと草鞋に小石が挟まったような痛みを感じてきた。我慢して歩いたが痛みは消えずにだんだんひどくなる。
おかしいなと思って草鞋を見てみると、小石ではなく、草鞋に擦れて足の皮膚が切れていた。
藁の草鞋であれば、雨に濡れて草鞋も柔らかくなるのだろうが、ビニールの草鞋はそうはいかない。ふやけて柔らかくなった足の皮膚を容赦なく引き裂いていく。指の血も止まらない。
「何でこんなことをしようと思ったのだろうか」「どんな意味があったのか」「どんな目的があったのか、なかったのか」「格好」「評価」「行」「経験」・・・

雨に濡れながら、手と足から血を流しながら、一歩一歩自分をみつめた。
喫茶店で休憩。ホテルで作ってもらったおにぎりを食べていると、味噌汁を出してくれた。
手と足を見て、包帯、ガーゼ、バンドエイド、手ぬぐいをくれた。
人はどうしてこんなに親切なのだろう。
足袋を履いて歩き始めた。雨も止んだ。