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今朝近くの郵便局に昨日作成した封書を持ち込んだ。行く途中、団地の入口の道路上に白い細かいものがたくさん散り敷かれていた。団地の大規模修繕工事中なので何なのかと覗いてみてびっくりした。石垣の上に毎年この時期に咲いている白い萩の花が散っていたのだ。
すっかりこの萩のことを忘れていた。そして季節はもう萩が散る季節になっていたのだ。私は愕然とした。もう少し寒くなってから咲いていたかな、とも思ったが、花はそんなに咲く時期を間違えることなどない。季節の感覚をなくしていたのは私のほうである。味覚として秋刀魚でしか秋を感じていなかった自分が少しさびしかった。
この石垣の上の萩は毎年見るたびに見事だな、と思う。5メートルほどの石垣の上に延長10メートルくらいにわたって咲いている。白ばかりである。それほど垂れ下がる前に団地の整備として刈っているのだが、それでも石垣の下に大量の花が散り敷かれる。これを小さな子が手に集めたり、踏んづけたりしながら遊んでいる。
石垣を伝いながら落ちてくる花びらはなかなか風情がある。ことに秋の雨で石垣が黒く濡れているときにこの白い花びらが石垣に張り付いているのを見ると石垣が途端に柔らか味を帯びて見える。これが何ともいえずに美しい。
萩の美しさを認識したのは、団地のこの萩を見てからだ。