

1788年に作曲された。この時期モーツァルトは聴衆の好みに合うような曲を書かなかったため、予約演奏会を開こうにも人は集まらない。この協奏曲もそのために完成が遅れた。ようやく死の前年の1790年10月神聖ローマ皇帝レオポルト2世の戴冠式で演奏され、ここから「戴冠式」の名がつけられた。この曲、左手のパートがほとんど記されておらず、特に第2楽章はまったく記されていないとのこと。初版(1894年)の出版社が左手パートを付け加えたらしい。
しかしだれもが第2楽章の美しい旋律に酔うのではないだろうか。
ピアノ協奏曲第27番は、1791年、モーツァルトの死の年に作曲されたものである。借金に追われ、3年以上も予約演奏会を開くことが出来ないモーツァルトであったが1月にこのピアノ協奏曲を完成させた。しかし予約は集まらず、友人のクラリネット奏者ベーアの演奏会で演奏した。モーツァルトがステージに登場した最後であった。この年の12月モーツアルトは死を迎える。
しかしこのような状況にかかわらず(そうであるがゆえに)この曲は1度聴いただけで忘れることができない。この曲もわたしはまず初めに第2楽章が気に入った。今では全曲が好きであるが‥。
私はモーツアルトのピアノソナタとピアノ協奏曲は内田光子の演奏しかしらない。共に1980年代に内田光子が全曲を録音したCD18枚を順次買い続けた。妻には内緒で‥といっても少しずつ増えていくCDの数、妻が気が付かないわけがない。間違いなくそれとなく許してもらえていたようだ。
