
ふたつ目はこれまでの「アート鑑賞を楽しむ西洋美術基礎」と同じ講師の三沢恵子氏による講座。今回は今開催されている美術展の見どころを中心に解説してもらえる講座である。
初回の今日は箱根のポーラ美術館で開催されている「モディリニアーニを探して」とBunkamuraザ・ミュージアムで開催されている「デュフィ展」の解説をしてもらった。
モディリアーニは私にはこれまであまり縁の遠かった画家である。立ち読みの画集でしか知らない画家を丁寧に解説してもらえた。
実は私は知っている数少ないモディリアーニの絵「ズブロフスキーの肖像」を見て昔からルオーのキリスト像の顔との類似性に引っ掛かっていた。本日「この顔を見て何を思い浮かべるか」と聴かれとっさに「ルオーのキリスト像」と答えてしまったが、これは確かに頓珍漢であった。
正解は「セザンヌ」の肖像画であった。教科書的にもこの答えが当然なのでとても恥ずかしかった。しかし本当はちょっとこだわって「色の使い方、寒色と暖色の不思議な融合について共通点があるのではないか」と専門の方の意見を聞いてみたかったが、講座の時間のこともありそれはわがままの領域になるので遠慮した。
モディリアーニの交友関係を聞く中で、ピカソや藤田嗣治、ユトリロなど多少馴染みのある、あるいは好きな画家の名が出てきた。そこでも素人なりの限界も痛感した。ピカソや藤田嗣治の展覧会に行けばそれぞれの画家のモディリアーニとの交友関係については指摘され、その都度それで知った気になるのだが、逆にモディリアーニの側からの交友関係になると途端にわからなくなってしまう。

交友関係だから双方向で頭の中に入れなくてはいけないのだが、それがなかなかつながらない。本日初めて見たモディリアーニの青の色の優った肖像画「青いブラウスの婦人像」とピカソの青の時代の絵が結びついた。
最後に「藤田嗣治はモディリアーニから何を学んだが、どうな技法上の影響を受けたのか」と質問したところ「藤田嗣治はあまり人の模倣や技術的影響を受けようとしなかったのではないか」という指摘を受けた。なるほどと思った。面相筆による独特の技法や画風へのこだわりからに、私はとても強い「プライドの高さ」「人の云うことは聞かない」という強さを感じてきた。その直感がひょっとしたら外れてはいなかったのかな、と思った。
しかしこのモディリアーニ展は遠くて交通費もかかるし、入場料も1800円。少々つらい。19点のモディリアーニの作品、同時に展示されているピカソ、ユトリロ、藤田嗣治、ヴラマンクも是非見たいのだが‥。
デュフィについては女性に人気があるらしい。私はマティスやミロやカンディンスキーなども一緒くたにしてしまって、色による心の共感を楽しむ画家と思っている。そういう点では男の鑑賞者は少ないのかもしれない。第1章の1900-1910年代の作品がいろいろの画家の影響を受けて作られたのがわかるとのこと。なかなかいい企画と思われた。
モディリアーニよりは近いし、行きやすい。
月1回の講座であるが、なかなか楽しみな講座である。
