
淡い色調の画面に最初は戸惑いを感じたが、屋敷林と藁葺と思われる家屋、枝分かれしてかなりの部分まで埋まっている樹木、そして丁寧に書き込まれた降り続く雪と、すでに降り積もった雪、これだけしか描かれていない。
解説によれば画家が愛した山形の冬景色となっている。下3分の1の雪よりも、上3分の2の降り続く雪の描写が印象的である。時に赤っぽい背景と落ちてくる雪片が丁寧に描きこまれていると思う。あまりたの作家のこのような描写を見た記憶がない。吹雪いてはいない。地上のものをすべて包み込むような雪である。日本海沿いの強い風が吹きすさぶ雪の降り方ではない。きっと最上川沿いの奥羽山脈と出羽山地に囲まれた地域の風景ではないか、雪の降り方ではないか、と勝手に想像している。
雪に包まれた家屋には灯りは見えないが、少し赤みがかった屋根をしている。屋根の下の温もりを暗示しているようである。
奇抜な要素はどこにもない。落ち着いた静かな画面が私の気持ちを惹いて止まない。
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