引続き加藤楸邨の「火の記憶」からいくつかを引用してみる。
★ものいへば傷つくごとく冬の黙
★枯木に沿ふ焼夷弾道は見了んぬ
★鉄兜脱げば背に負ふ天の川
★黙ふかく冬の夜汽車を誰も聴く
その夜、学校に泊まる、午後七時、B二九来週、胃痛し、裏手の海中に炸裂、高射砲音下苦痛に輾転
★地に伏せし身のまはりみな霜柱
十二月二十七日、正午、七編隊五十数機侵入、折しも神田近江屋洋品店にあり、体当たり自爆機望見
★冬天の一火焔とぞなりて消ゆ
命が粗末に扱われた戦争の最末期、ひとりの若い命は「冬天の一火焔」として「消える」。この一火焔にはどのような人生への執着があったのであろうか。何百万の命と、そして一人の若者の死。私たちはどのように拮抗できるのであろうか。
★ものいへば傷つくごとく冬の黙
★枯木に沿ふ焼夷弾道は見了んぬ
★鉄兜脱げば背に負ふ天の川
★黙ふかく冬の夜汽車を誰も聴く
その夜、学校に泊まる、午後七時、B二九来週、胃痛し、裏手の海中に炸裂、高射砲音下苦痛に輾転
★地に伏せし身のまはりみな霜柱
十二月二十七日、正午、七編隊五十数機侵入、折しも神田近江屋洋品店にあり、体当たり自爆機望見
★冬天の一火焔とぞなりて消ゆ
命が粗末に扱われた戦争の最末期、ひとりの若い命は「冬天の一火焔」として「消える」。この一火焔にはどのような人生への執着があったのであろうか。何百万の命と、そして一人の若者の死。私たちはどのように拮抗できるのであろうか。