

★紫陽花の蔭に目があり見ればなし 加藤楸邨
★紫陽花のあさぎのまゝの月夜かな 鈴木花蓑
★紫陽花忌色なき夢に目覚めけり 徳田千鶴子
★かなしみのはづれより咲く額の花 平井照敏
第二句、紫陽花と月、なかなか惹かれる取り合わせである。色鮮やかな紫陽花と月の光、これは何回か見ているが、今の時期のまだ色が鮮やかにはなっていない紫陽花と月の光、来月に見られるだろうか。
第三句、紫陽花忌は、水原秋桜子の忌日。1981年7月17日没。紫陽花の花の終り頃に亡くなったのだろうか。現在の5月末はまだ紫陽花も咲くか咲かないか迷っている頃である。水原秋桜子についてよく語られるのは、高浜虚子と決別し、「近代的な抒情を俳句に籠めた」ということ。私はまだ水原秋桜子の俳句についてほとんど知らない。しかしいつかは勉強しなくてはいけないと思っている。
第四句、確かにそういわれれば、悲しみは中心からは外れたところに思いがけずに現われる。