★春寒し竹林カンと応える日 庄司たけし
★早春の森にあつまり泥の径 鈴木六林男
★春浅き空へさし入る木々の末(うれ) 星野恒彦
早春の頃の三態を並べてみた。
第1句、竹林に石を投げ入れると「カン」という乾いた音が帰ったきたのだろう。春になれば水も竹の中を上昇し、石があたったもその水ゆえに湿って「コン」という音にでもなるはずであろう。まだまだ春には遠いことを実感したのだろうか。
第2句、春の里山、こどもたちの歓声が聞こえるのだろう。森の道は霜も解け、湿って泥がところどころむき出しになっている。しかしそこには多分春の日が当たっているのだろう。第1句とはちがい暖かさが伝わる。
第3句、木々の枝には芽吹きの準備に入っているものの、まだまだ冬の様相、明るい早春の青い空に突き出ている枝は細くとがっている。しかしどことなく春めいていて、折ってみるとポキッとは折れずに、撓うのかもしれない。
さまざまな早春の様相が頭の中を駆け回る。いくら今年の春が異常に暖かくとも例年の春の気分は忘れることはない。