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Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

台風11号

2022年08月28日 21時46分10秒 | 読書

 今月になって知人から本を3冊も送ってもらった。1冊は内田樹の本、これはこれから時々拾い読みする予定。もう2冊は小説の文庫本。土屋伸という方の本で、知人の友人ということのようだ。感想を求められている。
 小説は久しぶり。割と読みやすそうなので、感想は読み終わってから。小説からは遠ざかっているので、的確に評を述べられるかはなはだ心もとない。
 本日は雨の合間にときどき蝉の声がした。またカラスのけたたましい声が一瞬聞こえたがすぐに啼きやんでくれた。好ましい静かな一日であった。秋の到来を感じた。
 台風11号が発生して西日本に向かっている。影響がないことを祈りたい。
 


読了「犬の記憶 終章」

2022年08月28日 15時42分30秒 | 読書

    

 「犬の記憶 終章」(森山大道、河出文庫)を時間をかけたが読み終わった。文章がなかなかいいので、それを味わいながら読んだので時間がかかったと思う。
 21日以降に「青山」を読み終え、昨晩から本日にかけて読んだのは「武川村」「札幌」「国道」「四谷」「あとがき」「文庫本あとがき」「怯える視線 横尾忠則」。

 「青山」は「プロヴォーグ」という写真集団のこと。このグループを語るというよりも森山大道による中平拓馬論であったと思う。

「同人の多木浩二は中平の写真とのありようについて“彼は世界に身体を貸し与えている”とぴったりな表現をしたし、少し後輩の荒木経帷は彼の写真について“風景に火炎ビンを投げつけている”とシャレた批評をした。こうしたしたたかな周辺にこういうことをいわせてしまう中平の引力。‥彼の写真をぼくは見すごすことなどできなかった‥。」(青山)
「中平と夜の青山通りに出ると、彼はアッというまに光を放つものの方へ吸いよせられていった。あたかも夏の虫が誘蛾灯の明るみに飛び込んでいくようなところがあった。‥ぼくの目に中平は、夜の街に当るまばゆい光芒から微細な光に至るまで、全身で光と感応し合っているように映った。」(青山)
 

 「武川村」は写真家深瀬昌久との交友録。私は深瀬正久という写真家の作品は記憶にない。しかし森山大道の人を見る目はなかなか面白い。

 「札幌」では田本研造という写真家に着目した箇所に惹かれた。

「田本研造と北方写真師たちの視点と視線が、開拓使からの記録・資料という依頼目的が前提であったにせよ、徹底して写真機の持つ即物性を前面に捉えたカメラ・ワークをとったからであった。奇や衒いや趣味性を捨てた視点、情緒や情感や美意識を配した視線。田本研造という卓越した写真師の択んだその方法こそが、たんなる複写の域を脱し、相対的に写真という記憶装置の持つ本質的なリアリティを獲得して、時間を隔てて見るぼくたちに、じつに幾多のメッセージを送り伝えてきたのだ。」(札幌)

 「国道」「四谷」は引用略。

「「犬の記憶」のあとがきにぼくはこう書いている。“ひとつの記憶がもうひとつの記憶を呼びさまし、さらに新しい記憶を求めて時間が巡っていく。僕がこれから持つことのできる記憶とは、いったいどんな記憶なのであろうか”と。この「犬の記憶 終章」が、その言葉を書いて以降の時間と記憶への鳥上図の応答だとしても、ぼくは再度、同じ言葉をここに記すほかはない。」(あとがき)

「目前の、圧倒的に生起し流動する外界と時間のさなかに映るものを写しとめようとする行為は、まれに一瞬の快感があるにせよ、ほとんど空をつかむかのような実感である。つねに自己の観念や自意識を、現実という名のいきものとの照応のなかにおいて変更を余儀なくされてしまう。それは、路上を写しつづけるカメラマンのある種宿命なのかもしれないし、だからこそ、キリもなく道草ばかりくりかえしている。あらゆる写真は、道草の所産だという気もしてくる。」(文庫版あとがき)

 森山大道の記憶や他者との関係は、都市、それも脚光を浴びるべくしてある都会風景ではなく、見落としがちな、さびれた、人の視覚に入りにくい箇所と結びついて記憶されるようだ。その徹底ぶりには脱帽する。
 私たちの記憶は、都市の風景だけではなく、さまざまな五感によるものである。むろん森山大道の記憶もそうなのだろうが、徹底してこの風景に還元して蓄積され、そして時間の風化に耐えているように思われる。それこそが森山大道という写真家の写真論などだと思うようになった。


静かな雨の日曜日

2022年08月28日 11時37分35秒 | 日記風&ささやかな思索・批評

 雷・強風注意報が発令されている。雷鳴はまだ聞いていない。1ミリ未満の雨が降り続いている。レインアイよこはまを見ていると間もなくこの雨は上がりそうである。しかし次の雨の区域が静岡県から神奈川県西部にやってきている。
 やらなくてはいけないことは、たくさんある。退職者会の業務、知人に頼まれた仕事、とりあえず本日は「業務」と「仕事」はおやすみ。
 蝉の声も聞こえず、鳥のさえずりも聞こえない。強風注意報が出ているが風の音もしない。静かに雨の降る日曜日である。
 少なくとも14時までは読書タイムとしたい。団地の中では子どもの声も聞こえない。