
今月号で目をとおしたのは、次の12編。
・[表紙]ナポレオン 杉本博司
・年中行事 畑 尚子
・地名に込められた想い 阿部賢一
・こころの紡ぎ出した物語としての『モモ』 河合俊雄
・キーワードは〈遠近法〉 新関公子
「仏像の起源にギリシャ彫刻の影響をみるなら、仏教伝来も間接的西洋との出会いであろうし、キリスト狂伝来と宣教師によるセミナリオでの聖画政策指導は、より明白な西洋美術の到来と見なせる。しかし仏教伝来もキリスト器用伝来も近代美術には遠すぎる。真に西洋の表現が日本美術に影響を及ぼす事態は、江戸時代中期、八代将軍吉宗が1716年に始めた享保の改革によりもたらされた‥。」
「雪舟は遠近法を心得た唯一の例外的存在であるが、日本人の描く絵は昔も今も概して平面的、遠近法は苦手である。そのなかで、浮世絵師の遠近法理解は傑出していておもしろい。‥小質点の位置をわざとあいまいにしたり、深奥へ向かう道や川をひょいと曲げて消失点を結ばせない。あるいは地上の現実の山である富士山を消失点の位置に置く。それでいて西洋人に抵抗のない奥行ある自然空間をそこに感じさせる。」
・新春かるた 柳 広司
・秋には幽霊がよく似合う プレイディみかこ
・「本当」の松明を掲げて 古谷田奈月
・人生のかけらを集める 菊池 暁
・教員多忙化問題の本質 高橋 哲
・本の栞にぶら下がる 齋藤真理子
「栞はたいてい、一冊に一本しかない。読み終えて、迷いなく、そこへ栞を挟んでおこうと思うページがわかる。そいていつかまたここを開いたときにもその意味がわかるだろうと確信でき。‥」
・知的情熱を体で表現する 萩田泰永
「「探検とは知的情熱の肉体的表現である。」」