前作「ハート・ロッカー」のあの極度の緊張感を、この作品で何と3時間も続かせるこの演出力は、キャスリンを巨匠と読んでも差支えない出来である。それほどの快作であり、けれど立派な娯楽作でもある。
冒頭の、唐突に死にゆく被害者の声を集めた音声だけの映像。これを聴いてまず最初に10年前の3・11を観客に思い起こさせる。そしてこれだけのことをやってのけた、もしくは非人間的な悪魔の集団に対して、何の遠慮・呵責 . . . 本文を読む
西宮の大きな舞台。横も結構大きいが、縦(奥行)も椅子3席分を削り取って広がり、巨大な空間が出現する。しかも波間を布で表現し、舞台移動も人(黒子)が頻繁に行うという、これは今までの演劇にない革新的なものを岩松が目指しているのが分かる。
冒頭は波間に揺らめく船上生活者である。大地を離れ海を見て生活する。そして大きなガレキがこちらの方に流れてくる。まるで波間を漂流する家族たちとは、、。3.11を意識せ . . . 本文を読む