ニーナ・ホス の冷たい美貌が画面を震わせる。年の頃は30半ばぐらいか、でも強い化粧とうらはらに疲れを感じさせる皺さえ彼女の凛々しさを伝える。細く長い脚、ぶらぶらと華奢な腕、指。そして彼女がこぐ自転車。美しい。田園風景に溶けてとても美しい。
彼女のぶっきらぼうでかたくなな口のきき方。心を閉ざす女の生きざま。まさにそれは氷の世界だ。タバコをぷかぷかふかす。しかし心は報われない。セリフは時々発せられる . . . 本文を読む
いろいろ宗教的な話も出てくるけれど思ったほど宗教色は薄くそれほど哲学的でもない。勿論ベンガルとの227日は映像がすごく、だんだん痩せて来るベンガルの様子などはリアルで映像史に記憶されるべき作品でもある。
敢えて考えるに、あのボートと動物との同乗はキリスト教のノアの箱舟を連想させるし、ラストでほのめかす幻想話からはオランウータン以下が家族でベンガルは自分の分身だとも認識される。
でも映像はものす . . . 本文を読む