鹿児島の自然と食

鹿児島の豊かな自然(風景、植物等)、食べ物、史跡を紹介します。

夏休み

2019-07-06 | エッセイ

大学1年の夏休み、種子島へ帰省する私に、部活の先輩が

「種子島へ遊びに行きたい」

と言った。

一足先に帰省した私の家に、2年生の先輩3人がやってきた。

犬城(いんじょう)海岸へ、キャンプに行くことにした。

犬城は種子島の東海岸にあり、馬立の岩屋という洞窟がある風光明媚な海岸である。

私の家からは遠いので、建設業の伯父さんからトラックを借りて行った。

海で泳ぎ、夜は洞窟で寝た。敷物などなく、岩の上にじかに寝た。

先輩は、鹿児島から食料を持ってきたが、種子島はろくな店もない小さな島と思ったらしく、厚揚げなどの生ものもあった。

そんなものが夏の暑い日にもつわけもなく、多くは捨ててしまった。

 

次に、馬毛島へキャンプに行った。

馬毛島は、種子島の西にある小島で、今、米軍訓練基地候補地として話題になっている島である。

当時は住民が住んでおり、小中学校もあった。

港に着くと、トビウオ漁の漁師の藁葺き小屋が並んでおり、周囲にはソテツ林があった。

まるで、南洋の小島のような風景だった。

丘の頂上へ行くとコンクリートのトーチカがあり、そこから360度のパノラマを眺めた。

島を歩いていると、高校の寮で一緒だった1年先輩に会った。

先輩の父親が、馬毛島の学校の先生をしており、夏休みで帰省していたのだ。

先輩に頼んで、小学校に泊まれるよう交渉してもらった。

漁師小屋にでも潜り込もうかと考えていた私たちは、小学校に泊まることができた。

 

次に、屋久島へ登山に行った。

営林署に勤めるいとこが山に住んでおり、そこに1泊して、宮之浦岳に登り、縄文杉やウィルソン株を見た。

食料だけは持参したが、登山靴などはもちろんなく、まるでハイキングに行くような軽装だった。

今、縄文杉の根元には行けないが、当時はそんなことはなく、根元に行って杉を触った。

安房の町に下りてきて、叔母の家に泊めてもらった。

いとこの家も叔母の家も小さな家で、着の身着のままの雑魚寝であった。

むさくるしい男4人が押し掛けて、さぞ迷惑だったのではないかと思う。

 

今思うと、かなり行き当たりばったりで、人の好意に甘える旅だったが、このような旅は若い時しかできないであろう。

コメント (6)
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