メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1991 part13)

2012-10-09 21:47:54 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part12からのつづき。

『ザ・テレフォン』(1988)
出演:ウーピー・ゴールドバーグ ほか
ほとんどウーピーの一人芸ともいえるパフォーマンスの雨嵐。
狭いアパートで隣人のわめき声にもめげずぶっ通し電話をかけまくるウーピーのコメディ・・・
と思いきや、実はずっと恐ろしい現代の孤独な都会人の実態というギャフンといわせる結末なのだ。
コワーーーイ


『雨に唄えば』(1952)
出演:ジーン・ケリー、ドナルド・オコナー ほか
単なるロマンスものと思いきや、無声映画からトーキーへ移った大変革の中で
苦労して大スターになった俳優と親友、スターを夢見るショーガール、
声がまるで変な無声映画の大スター女優、これらの登場人物で映画の中の映画の話を
舞台裏話仕立てに何層にも重なり合っていて面白い。

現実と映画と幻想がミュージカルでつながっていて、どっちがどっちだか分からなくなる。
ジーン・ケリーの見事な二枚目半のエンターテイメントぶりがイイ。
ケリーの影で薄いが、親友役も信じ難いほどのドタバタぶりを披露している。
それにしても『ザッツ・エンタテイメント』の時にすでにアステアがあの歳だったから、
ケリーだって今はもうそうとうおじいさんのはずよね。
古き良き時代のMGM映画。


『レディ・ホーク』(1985)
監督:リチャード・ドナー 出演:マシュー・ブロデリック、ルドガー・ハウアー、ミッシェル・ファイファー ほか
おとぎ話風で悪役たちもそう絶対的に強くないのがイイ。
マシューが物語りをずっと現代風にしていて、
昔話のような世界で彼の軽い喋りだけが都会っぽくて面白い。


『オールウェイズ』(1989)
製作・監督:スティーヴン・スピルバーグ 出演:リチャード・ドレイファス、ホリー・ハンター、オードリー・ヘップバーン ほか
『ゴースト』で恋人の幽霊話が大々的にヒットしたかのようだが、
アメリカ映画ではけっこういろんなところで使われているアイデアだ。
山火事を消火する飛行士たちを題材にしたラブロマンスもので、
人は死ぬと誰かのインスピレーションとなるというアイデアも面白い。
スピルバーグお気に入りドレイファスの思いっ切り笑えて、思いっきり泣ける、いつも味のある演技が観れる。
2人の思い出の曲♪煙が目にしみる もそれっぽくてうまく使われているなって感じ。


『クリスチーネ・F~麻薬と売春の日々』(1981)
音楽:デヴィッド・ボウイ
14歳の若さで麻薬中毒死してゆく友人たち。
興味本位で始めても命取りになり、止めようとするのも命がけ。
何グラムかを手に入れるためにゲイに体を売る男の子。
この悲惨な状況が実際に起こっている現在進行形の問題だとは信じ難い。
禁断症状の顔ときたら、まるで地獄から這い上がってきたかのようだ。
♪HEROES 、♪STATION TO STATION ほかたくさんのボウイのヒットナンバーがBGM。
当時のコンサート風景なんかをそのままに見れて、本当うらやましい限り。
でも、ボウイのコンサートってあんなにいかがわしい客ばっかりだったのかしら?


『Sweet Murder』
幼児のころ、父親に性的いたずらをされたらしいという過去を少し匂わせてあるのだが、
どこにでもいそうな少女が死体を無表情で切り刻むシーンや、
井戸へ捨てるのはありそうで怖いし、これを観て誰か真似しそうで怖い。
ストーリーがそのまんまで工夫がなく、現実的すぎて吐き気がしてくる。


『ペーパームーン』(1973)



監督:ピーター・ボグダノビッチ 出演:ライアン・オニール、テイタム・オニール ほか
両親を亡くしたませた女の子が、唯一の肉親である叔母の家までの愉快な旅を描いたロードムーヴィー。
2人が実の親子だけに息が合っている。
テイタム当時10歳。今作で史上最年少のオスカーをとったそうだが、
本当に男の子か女の子か分からないふくれっ面が生意気ぽくて可愛い。
彼女は子役で活躍し、結婚してからずっと活動していなかっただけに、1990からの再活躍が楽しみ。


『クリスマス・キャロル』(1984)
監督:クライヴ・ドナー 出演:ジョージ・C・スコット ほか
ディケンズはクリスマスを休日にし、もっと楽しもうと唱えたが、
日本では祝日ではあっても休めない、グッズのよく売れる日だ


『カラーパープル』(1985)
監督:スティーヴン・スピルバーグ 出演:ウーピー・ゴールドバーグ、ダニー・グローヴァー ほか
スピルバーグ作品だとは驚き。ウーピーがオスカーにノミネートされ、惜しくも逃した作品。
女は確かに男より体力的に弱いかもしれないけれども、
だからといって守られるためだけに生まれて来たわけじゃない。
なのに、なんて長い間それといった理由もなく、白人が黒人を、男が女を奴隷のようにしたがるのか、
真っ直ぐ訴えかけてくる映画だ。

悲惨な運命を神の支えによって受け入れてゆくウーピーの演技がじっくり堪能できる。
現在はコメディ方面で活躍しているが。
クリクリしたイタズラっぽい目で笑う表情が印象的。
南アメリカの荒っぽい土地も雰囲気をとらえている。


『He said, She said』(1991)
監督:ケン・クワピス、マリサ・シリバー 出演:ケビン・ベーコン、エリザベス・パーキンス ほか
テレビ本番中にローリーがコーヒーカップをダンの頭に投げて見事命中!
その理由とは・・・?と最初の出逢いから回想して聞かせる2人のそれぞれの思い出話は、
あらかた同じでも細かい部分が男女の見方によって微妙に違う。
話にキレがなくてちょっと退屈だが、ケビンのファンなら彼のプレイボーイぶりが堪能できる。
なんやかや言っても結局うまくおさまったこの2人、続きは『結婚の条件』になるのかも


『ターミネーター2』(1991)(劇場にて
監督:ジェームズ・キャメロン 出演:アーノルド・シュワルツネッガー、リンダ・ハミルトン ほか
ストーリーの丁寧な構成は第一級小説並み。
核戦争、コンピュータ社会と人間との対決。
時空間の複雑さもロマンスと親子愛を交えてなんのその。
機械と子どものやりとりのユーモアまでサービスして物凄いアクションSF映画に仕上がっている。
2、3ものはたいてい初作よりグンと質が落ちるのが定番だけど、
これを劇場で見逃した映画ファンにわたしは大いに同情したい。

とくに悪玉ターミネーターに追われるカーアクション
『マッドマックス』を劇場で観たらきっとこんなだろうって感じの
臨場感と迫力とスピードで観客は驚いたり、溜め息ついたり。
液体金属で出来ているというニューモデルの俳優も無機質でピッタリ。
転んでも信じられないスピードで走ってくるシーンは、思わず驚きの笑いがおこったくらい。
アイデアも凄ければ、特殊撮影もとうとうここまできたか!って感じ。

将来、重要なリーダーとなるジョン役の少年も、重大な運命を抱えながらも、
いかにも現代っ子ぽいところがあってイイ演技をしている。
リンダのすっかり鍛えられたボディも一見の価値があるし、
シュワちゃんのターミネーターが味方だったのは思い切り意表をつかれたし、
徐々に人間に近づき心まで持つようになるところも感動する。

さて、映画では核戦争の未来は消滅されたが、現実の未来はどうだろう?
ブランコで遊ぶ子どもたちまで黒焦げに吹き飛ばしてしまう姿を想像すれば、
あんなに恐ろしいものを作ることはできないだろうに。

“It's no dune.”
未来は運命によってではなく、われわれが創りあげるものだ。


『ホット・ショット』(1991)(劇場にて
出演:チャーリー・シーン ほか
最初から最後まで細かい芸がちりばめてあって、とにかく料金分は笑って頂こうって感じ。
みな真面目な顔をして演じているところがイイ
チャーリーもやっとヒット作に巡り会えたのがコメディだったのが可笑しいね。
いろんな映画のパロディで成り立っているのが映画ファンには楽しい。

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notes and movies(1991 part14)

2012-10-09 21:47:53 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part13からのつづき。


『愛の選択』
出演:ジュリア・ロバーツ ほか
白血病や結核が依然としてがんやエイズに負けない恐ろしい病気だというのはツライ。
いかにも現代のアイドルを象徴するようなロバーツのファッションと演技。
純粋にロマンスものをスクリーンで観るのは久しぶり。
痛みを抑えるモルヒネや毒物とその副作用、髪も抜けてしまうほど苦しみながらも
人を愛し、もっと生きたいと希望を持つことを恐れ、いつ再発するかと怯える毎日。


『レッド・ドラゴン~レクター博士の沈黙』
原作:トマス・ハリス 監督・脚本:マイケル・マン
音楽:ザ・レッズ&ミッシェル・ルビーニ、喜多郎 ほか
『羊たちの沈黙』があまりにセンセーショナルだったために、
前作である今作は異常度がまだ薄い映像になっている。
アンソニー・ホプキンスのレクター博士もあまりに適役で印象が強いので、
ちょっとなじめないし、副題になっている割にあまり出番がない。
たしか今作で、レクター博士とクロフォード警部が
どうして犬猿の仲になったかみたいな秘密が書かれているはずなのに
映画では警部の愛妻が植物状態になってしまう話もなかったし、
グラハムFBI捜査官が主人公になっている。


『IT』
原作:スティーブン・キング
ピエロがしきりに「ふわふわと風船のように浮かぶんだ!」
と言っていたのは、巣に絡まれることを指していたらしい。
メンバそれぞれ個性的で、その親たちがまたそれぞれ異常で、
ピエロ役の俳優がそれ以上に芸達者で、いかにもキングらしい世界が広がっている。


『ザッツ・エンタテイメント PART2』(1976)

 

監督・出演:ジーン・ケリー 出演:フレッド・アステア、フランク・シナトラ、ジュディ・ガーランド ほか
お互いに年齢を重ねたジーンとアステアがダンスと歌で紹介してゆくのが嬉しい
豪華絢爛のピッカピカの1に続く今作は、いくつかテーマを決めて、それに沿って紹介している。
2人がそれぞれにコメントを言って、互いの作品を褒め称えあっているのがイイ。


『チャイナタウン』(1974)
監督:ロマン・ポランスキー 出演:ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ ほか
刺激的だが人間間の汚れた裏世界を覘く探偵という仕事とチャイナタウンという一種独特な町を
『Year of the Dragon』よりいくらかソフトに描き出している。
ニコルソンがセクシー。ジョン・ヒューストンの悪役ぶりもイイ。


『生きる歓び』(1960)
監督:ルネ・クレマン 出演:アラン・ドロン ほか
付け焼刃の知識なのに、思い切り大人物にうまく祭り上げられてしまうところが映画らしくて面白い。
若くて文句なし2枚目だったドロンの魅力も大いに堪能できる。


『太陽の谷』
監督:ヘンリー・キング 出演:ロック・ハドソン、ジーン・シモンズ ほか
この頃流行っていたのか、みんなスッキリしたパーマをかけている。


『家路』(1943)
監督:フレッド・M・ウィルコックス 出演:エリザベス・テイラー ほか
動物ものの映画では、いつもどうやって撮影したんだろう?って不思議に思うけど、
このラッシーもプロの俳優顔負けのいい演技で泣かせてくれる。
ベスの品のいい孫娘役もピッタリ。
渋い顔の父、世話がやけるとこぼしつつも心底では息子と同じくらいラッシーを愛する母、
家路へ帰る旅の途中の幾多の困難と、
心温まる人々とのふれあいも涙を誘わずにはいられない


『踊る大紐育』(1949)
監督:スタンリー・ドーネン、ジーン・ケリー 出演:ジーン・ケリー、フランク・シナトラ、アン・ミラー ほか
24時間の話なだけにハイテンポで思い切り楽しめる。
いろんな要素が含まれていて、常に新しいアイデアを盛り込もうとする
ケリーとドーネンの才能がうかがえる。
中盤の♪If you walking down the main street with me~ って曲がとても気に入った。
夜明けとともに交替に別の水平たちが街へ繰り出すシーンが印象的。


『未来世紀ブラジル』(1985)→心の中のベストフィルムにもコピペあり

 

監督:テリー・ギリアム 出演:ジョナサン・プライス、キム・グライスト、ロバート・デ・ニーロ ほか
フェリーニのSF版みたい。次から次へと斬新な映像が繰り広げられてゆく。
夢に現れる美女とそれを助ける勇敢な戦士、大魔神ソックリのキャラも出てきて、
情報化社会の未来はあまり明るくないようだ。
美容整形技術の進化や電子化その他もろもろの現代の延長線上の姿が見れて楽しい。

(マイベスト これを観て♪Brazil が大好きになった。
 MPからはマイケル・ペイリンが出演している
 芸達者なロバート・デ・ニーロのたくさんの出演作の中で、わたしは今作のデ・ニーロが一番好き

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notes and movies(1991 part15)

2012-10-09 21:47:52 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part14からのつづき。


『心みだれて』(1986)
監督:マイク・ニコルズ 出演:メリル・ストリープ、ジャック・ニコルソン、ジェフ・ダニエルズ ほか
確か観るのは2度目。実際モデルがいる私小説的作品だというから結構実体に迫っているのではないか。
ニコルソンのトボけた面の下にある妙に多彩な女性の影や、メリル独特の雰囲気で、
離婚経験者同士の熟年カップルの愛情の微妙さがにじんでいる。
それにしても、中・後半ほとんどを重ったるい妊婦に扮して奮闘しているメリルの演技は見物。
それに完全な脇役だが、彼女をやや熱い視線で見守る編集者も重要なポイントをしめていたんじゃないかしら?
とにかく、世の妻・母よ雄々しく生きよ!ってとこかしら?


『大いなる家族』(1987)
監督:アンドリュー・グリープ 出演:ボブ・ペック ほか
双子の不思議な現象と、当時のイングランドの貧しい生活、フランスとの戦争、人々の心の中を叙情的に映像化。
誠実なクリスチャンの父母、黙示録の“この都に聖地はない。神と羊こそが聖地なのだ”という言葉通り、
自然と労働を愛し、土地を守り抜き、生と死が繰り返され、時代が変わっても、
若い命によって受け継がれてゆく様子がゆったりとした物語りとして語られてゆく。
ルイスとベンジャミンが落ち込むと必ず行く川辺のシーンなど効果的な映像が印象に残る。


『禁じられた恋』(1986)
監督:ダンカン・ギビンズ 出演:ヴァージニア・マドセン ほか
どこの山奥なのか、少年院といえども日本じゃ考えられないほど自由が認められているのには驚いた。
近くにミッションスクールがあるのも不思議だが、
どこか『ピクニック at ハンギングロック』のあの不思議な映像感覚を持った、まさに逃避行的映画。
結末は少しあっけない。主人公の2人とその親友のキャストがイイ。


『今のままでいて』(1978)
監督:アルベルト・ラットゥアーダ 出演:マルチェロ・マストロヤンニ、ナスターシャ・キンスキー ほか
今の日本でもこれほどフリーダムな状態じゃないのに、
'70イタリアのメチャクチャな性観念にはビックリ。
キンスキーはこれが日本での劇場初公開作品とのこと。
マストロヤンニを思い切り振り回し、悩ませる、元気一杯でちょっと寂しい少女を魅力的に演じている。


『プリティ・イン・ピンク~恋人たちの街角』(1986)

 

監督:ハワード・ドイッチ 出演:モリー・リングウォルド、アンドリュー・マッカーシー、ジョン・スライヤー、ジェームズ・スペイダー ほか
特筆すべきはマッカーシーのまさに青春グラフィティ向きの
爽やかな、くったくない笑顔と完璧なルックスもさることながら、
アンディにメチャクチャ惚れている幼なじみダッキーを演じたジョンの特異なキャラクター。
彼は最近では『ホットショット』の魚眼パイロットで笑わせてくれたが、
とことん三枚目になりきって、ちょこちょこ本気を見せるあたり。
そして悪役が意外と好きなんじゃないかと思うスペイダーの本当に頭にくるキザ男ぶり。
主役はまさにそのひきたて役によって初めて生き生きと輝くのだ。

正直いって、アメリカ社会にこれほど厚い階級の壁があるとは、
『ジミー』を観た時でさえ本気にしていなかったから、ショックを受けた。
一体どこがどう違うのか、まったく最大の謎だ。


『ドアーズ』(1991)
監督:オリバー・ストーン 出演:バル・キルマー ほか
オリバー・ストーンはスゴイ。
これだけ1人のミュージシャンとその詩の世界を映像化しちゃうなんて
実在の人物を的にした場合、どこまでが真実かが問題だけど、
この映画を観るかぎりジムは恐ろしいほど純粋で、とめどもなく酒やドラッグに逃避して、
パムと心底愛し合っていて、なぜかヘビの背に乗って、インディアン酋長と砂漠で踊り、
「死」をなにより熱望している。

このバル・キルマーは『シド・アンド・ナンシー』のゲーリー・オールドマンを越えてるかも。
すっかり本人が霊界から降りてきて、彼の体に一時乗り移ってた感じ。
素晴らしい映像美、映像に興味がないとは言えないジムもビックリするだろう。
BGMとしてドアーズの曲も20曲以上ほとんどオンパレード。
彼自身が詩そのものだった。ついでにボランのも撮ってほしい!ぜひ!

(ジム・モリソンが女性に暴力的だったというくだりを観て、ちょっと嫌悪感を持ったんじゃなかったっけ?


『スター・トレック』(1979)
監督:ロバート・ワイズ 出演:ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ ほか
謎の接近者ビジャーの正体が、300年前に人間が創造したボイジャーだったというのは痛烈な皮肉だ。
その構造が凝りに凝っていて、物体が奇態なエイリアンではなく、
それ自らが知能と思考を持った機械惑星だったってアイデアも面白い。
なぜこの艦長が再任したのか、スポックはどこの誰なのか、テレビシリーズを知らないからよく分からんが、
乗組員のキャラクターが、いかにも未来戦士よろしく国際色豊かなのがSF映画っぽい。
未来も現在と過去から推し量らねばならないため。


『ラスト・タンゴ・イン・パリ』(1972)
監督:ベルナルド・ベルトルッチ 出演:マーロン・ブランド、マリア・シュナイダー ほか
ハッピーエンドのまま終わらせず、いかにも現代っ子風に考えさせたところはすこし意表を突かれたが、
なんだかパリジャンは、烏丸せつこの若い頃みたいで可愛いのに対して、
ブランドが終始薄暗いボロボロのオッサンなのが目に付いた。
舞台がパリなのもあって、一応ブランドがアメリカ系ではあるが、
ほとんどフランス映画のノリの映像と雰囲気、脚本。
一番さわやかだったのはパリジェンヌの恋人役の、なんにでも恐いほど前向きで、
なんでもアングル化してしまうアマチュアの監督がよかった。


『アラビアのロレンス』(1962)
監督:デヴィッド・リーン 出演:ピーター・オトゥール、オマー・シャリフ ほか
ひとくせも二癖もある俳優がそろっている。
これだけ女っ気のないストーリーも珍しいだろう。
単に砂漠を愛するという理由が政治的なものにすり替えられてからは、
なにもかも分からぬままに身分ばかり昇進していくあたりは、
いかにもイギリス的な皮肉が利いている。
『シェルタリング・スカイ』は、純粋に砂漠の美しさを描いたが、
今作ではそこに生きる人間の辛さや情を見事にとらえている。
ストーリーがやや難解。


『バベットの晩餐会』(1987)
監督:ガブリエル・アクセル 出演:ステファーヌ・オードラン ほか
設定はシンプル。
スウェーデン映画ってなんだか貧乏くさいけど、
村の人々があまり裏では献身的な信者ではないのに、
一流フランス料理は神に反するとわざと味わわないところがユニーク。

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