過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
スクラップブックから10作ずつのご紹介。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『La Ronde 輪舞』(1950)(既出
監督:マックス・オフュルス 出演:ジェラール・フィリップ ほか
輪舞は回ってゆく。男から女へ、女からまた男へ。
軽快に展開してゆくのはいいが、それぞれの関係がそれからどうなったのかは全く語られていない。
フィリップは相変わらずのちょっとウブな二枚目役だが、
物語りの一部としての目立たない役柄を演じている。
■『The Untouchable』(1987)
監督:ブライアン・デ・パルマ 出演:ケビン・コスナー、ショーン・コネリー、ロバート・デ・ニーロ ほか
マフィアものの系統では、『ゴッド・ファーザー』を思い起こさせる。
極悪非道のアル・カポネを鬼となって追う反面、
妻と娘を必死に守ろうとする刑事の役をコスナーがスマートに演じている。
クライマックスの乳母車のノンストップシーンは時間のかけすぎな感じもしたが、
この作品の目玉はなんといってもデ・ニーロのカポネだろう。
新聞記者のキツイ質問に憎々しいブラックユーモアで答えるところでも
楽しんで演じているのがありありとうかがえる。
ちなみに、アンタッチャブルとは、手がつけられないの意。
■『ベルリン・天使の詩』(1987)
監督:ヴィム・ヴェンダース 出演:ブルーノ・ガンツ ほか
地球の創世記から生きとし生けるものたちの歴史をずぅっと見続けてきた天使が
黒いコートの熟年男性2人だという設定はとても味がある。
今日一日何が起こったかをメモして互いに報告したり、
絶望の底であえぐ人々の心のつぶやきに耳を傾け続けてきた
天使の眼から見た風景と人間の眼とをカラーとモノクロで分けてあるのも楽しいし、
『刑事コロンボ』で有名なピーター・フォークも昔は天使だったなんて、本当に面白い。
この監督は常に「歩く」「動く」ということを重点に置いて
映像を撮っているということだった。
「人生?“自分の人生がないと寂しいだろ?”と将軍が娼婦に言い、娼婦が将軍に言った」
(今作も『ニュー・シネマ・パラダイス』などと同様、あまり映画通でない人たちが
「いい映画」に挙げる1作ってゆうイメージになってしまった
■『ベッドルーム・アイズ』(1984)
監督:ウィリアム・フルート 出演:ケネス・ギルマン ほか
デイル・ハッドンという女優はセクシーだが、雑誌の紹介文にあるとおり官能的な描写と言えるかどうかは怪しい。
不運にも偶然覗き見してしまったために、彼女に狙われるハリー役の俳優の顔は変わっている。
本当に腕のいい精神科医なら、精神のひどく不安定な患者に対して
ああは言わないだろうと思えるような、役に立ちそうもない診察シーンにはイライラした。
結局役に立ったかな?と思えるのは催眠術だけだったが、
これだけ忘れていることを鮮明に思い出すことが可能なら、
いい方向に利用すればかなり面白い成果が得られるのではないかと研究状況が楽しみ。
■『A World Apart』(1987)
監督:クリス・メンゲス 出演:バーバラ・ハーシー ほか
この作品は映画と呼ぼうか、それより問題そのものを映像化しているように思える。
それにアパルトヘイト運動の実体、南アフリカの黒人問題の実体もよく知らないで感想を語るのはひどく失礼に思える。
だから単に母親と娘の結びつきという永遠のテーマだけを取り上げるだけであっても、
こんなに泣けた作品は久しぶりだ。
実話に基づいているだけあって、根底に流れる政府の圧力みたいなものが
見ているわたしの心まで脅かすようだ。
でもナレーションでも言っている通り、なんといっても、とりあげた家族は白人である。
監督が「黒人を主役とする映画は成り立たない」というのも残念ながら本音の話だと思う。
■『TURK182 怒りの街ニューヨーク』(1985)
監督:ボブ・クラーク 出演:ティモシー・ハットン、キム・キャトラル ほか
邦題は本作品から全然かけ離れている気がするが、ハットンが体制の中の悪に思い切りぶつかってゆく、
彼が演じるしかない!という正義の青年の役をやっているのがイイ。
『ポーキーズ』シリーズは全然面白くないけど、まったく方向転換したクラーク監督作品。
チンピラのような格好で、これまでのいい坊ちゃんなイメージをぶち壊したハットンの
軽いが“今度はハンパじゃなく、最後までやってやるんだ、一人で!”といった
一本筋の通ってる役柄の演技が見もの。
ちなみに最新情報だと警察内部の悪をあばく勇敢な新米刑事の役だという。とても楽しみ。
■『追いつめられて』(1987)
監督:ロジャー・ドナルドソン 出演:ケビン・コスナー、ジーン・ハックマン、ショーン・ヤング ほか
『砂の惑星』のヤングが複雑な役をセクシーに、メチャクチャ明るく演じている。
最後のどんでん返しは別に必要ないような、それまでの展開が面白いので、かすんで見える感がある。
『アンタッチャブル』に続くコスナーの2本目の作品公開で、映画誌での人気急上昇が目に見えるようだ。
■『THE VERDICT』(1982)
監督:シドニー・ルメット 出演:ポール・ニューマン、シャーロット・ランプリング ほか
後半の裁判に入るまでの成り行きも、ニューマン自身もまったく冴えなくて、パッとしないが、裁判ものはいいね。
正義が勝つと分かっているけど、最初は苦しくて、どん底から新たな証人をつかむというパターンが
ほとんど似通っているにも関わらず、応援したくなるもんね。
でもせっかくランプリングが出ているのに最後までお人形さんのような役柄で、もっと活躍させてほしかった。
「今日は陪審員であるあなた方が法律なのです」
■『BRENDA STARR』(1988)
監督:ロバート・エリス・ミラー 出演:ブルック・シールズ、ティモシー・ダルトン ほか
『プリティ・ベビー』以来のシールズをまとも使ったなという楽しくって、ステキな物語り。
コミックと現実がめちゃくちゃ混合しているからまた面白い。
シールズがとっかえひっかえのゴージャスな衣装でおいしい役だなあ。
ダルトンは『007』よりも、こういう意味のない二枚目役のほうがピッタリだし、
冴えない漫画家役の俳優はちょっとチェック。
アメリカ人の好きそうな展開の早いドタバタコメディ。
■『ゴースト ニューヨークの幻』(劇場にて
監督:ジェリー・ザッカー 出演:パトリック・スウェイジ、デミ・ムーア、ウーピー・ゴールドバーグ ほか
「この世にまだこんなにステキな役者がいたのか!」と驚かされた。
この3人ならたとえこのストーリーでなくても大ヒットだったろう。
でも監督、脚本、撮影、音楽等々のスタッフの面々を知って2度ビックリした。
いずれも筋金入りのプロ。やはりプロが揃えば、それなりの作品が生まれるといういい例だ。
アメリカ映画=勧善懲悪という公式通り、善人には柔らかな白い光のお迎えが、
悪人には容赦ない真っ黒い地獄の化け物が、それぞれの死後の世界へと案内するというルールが怖い。
結局これはラヴストーリーというのが大前提なので、スウェイジとデミのダンスということになっている。
愛し合うには、こんなにも約束事がたくさんあるのかと思う。
シャツ一枚にしても、想いがあふれんばかりに染み付いているものなのか。
彼女を助けたはいいが、現世へ一人残していくことが幸福だろうか?
この出来事を胸に老いてゆかなければならないほど苦しいものはないのではと思った。
スクラップブックから10作ずつのご紹介。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『La Ronde 輪舞』(1950)(既出
監督:マックス・オフュルス 出演:ジェラール・フィリップ ほか
輪舞は回ってゆく。男から女へ、女からまた男へ。
軽快に展開してゆくのはいいが、それぞれの関係がそれからどうなったのかは全く語られていない。
フィリップは相変わらずのちょっとウブな二枚目役だが、
物語りの一部としての目立たない役柄を演じている。
■『The Untouchable』(1987)
監督:ブライアン・デ・パルマ 出演:ケビン・コスナー、ショーン・コネリー、ロバート・デ・ニーロ ほか
マフィアものの系統では、『ゴッド・ファーザー』を思い起こさせる。
極悪非道のアル・カポネを鬼となって追う反面、
妻と娘を必死に守ろうとする刑事の役をコスナーがスマートに演じている。
クライマックスの乳母車のノンストップシーンは時間のかけすぎな感じもしたが、
この作品の目玉はなんといってもデ・ニーロのカポネだろう。
新聞記者のキツイ質問に憎々しいブラックユーモアで答えるところでも
楽しんで演じているのがありありとうかがえる。
ちなみに、アンタッチャブルとは、手がつけられないの意。
■『ベルリン・天使の詩』(1987)
監督:ヴィム・ヴェンダース 出演:ブルーノ・ガンツ ほか
地球の創世記から生きとし生けるものたちの歴史をずぅっと見続けてきた天使が
黒いコートの熟年男性2人だという設定はとても味がある。
今日一日何が起こったかをメモして互いに報告したり、
絶望の底であえぐ人々の心のつぶやきに耳を傾け続けてきた
天使の眼から見た風景と人間の眼とをカラーとモノクロで分けてあるのも楽しいし、
『刑事コロンボ』で有名なピーター・フォークも昔は天使だったなんて、本当に面白い。
この監督は常に「歩く」「動く」ということを重点に置いて
映像を撮っているということだった。
「人生?“自分の人生がないと寂しいだろ?”と将軍が娼婦に言い、娼婦が将軍に言った」
(今作も『ニュー・シネマ・パラダイス』などと同様、あまり映画通でない人たちが
「いい映画」に挙げる1作ってゆうイメージになってしまった
■『ベッドルーム・アイズ』(1984)
監督:ウィリアム・フルート 出演:ケネス・ギルマン ほか
デイル・ハッドンという女優はセクシーだが、雑誌の紹介文にあるとおり官能的な描写と言えるかどうかは怪しい。
不運にも偶然覗き見してしまったために、彼女に狙われるハリー役の俳優の顔は変わっている。
本当に腕のいい精神科医なら、精神のひどく不安定な患者に対して
ああは言わないだろうと思えるような、役に立ちそうもない診察シーンにはイライラした。
結局役に立ったかな?と思えるのは催眠術だけだったが、
これだけ忘れていることを鮮明に思い出すことが可能なら、
いい方向に利用すればかなり面白い成果が得られるのではないかと研究状況が楽しみ。
■『A World Apart』(1987)
監督:クリス・メンゲス 出演:バーバラ・ハーシー ほか
この作品は映画と呼ぼうか、それより問題そのものを映像化しているように思える。
それにアパルトヘイト運動の実体、南アフリカの黒人問題の実体もよく知らないで感想を語るのはひどく失礼に思える。
だから単に母親と娘の結びつきという永遠のテーマだけを取り上げるだけであっても、
こんなに泣けた作品は久しぶりだ。
実話に基づいているだけあって、根底に流れる政府の圧力みたいなものが
見ているわたしの心まで脅かすようだ。
でもナレーションでも言っている通り、なんといっても、とりあげた家族は白人である。
監督が「黒人を主役とする映画は成り立たない」というのも残念ながら本音の話だと思う。
■『TURK182 怒りの街ニューヨーク』(1985)
監督:ボブ・クラーク 出演:ティモシー・ハットン、キム・キャトラル ほか
邦題は本作品から全然かけ離れている気がするが、ハットンが体制の中の悪に思い切りぶつかってゆく、
彼が演じるしかない!という正義の青年の役をやっているのがイイ。
『ポーキーズ』シリーズは全然面白くないけど、まったく方向転換したクラーク監督作品。
チンピラのような格好で、これまでのいい坊ちゃんなイメージをぶち壊したハットンの
軽いが“今度はハンパじゃなく、最後までやってやるんだ、一人で!”といった
一本筋の通ってる役柄の演技が見もの。
ちなみに最新情報だと警察内部の悪をあばく勇敢な新米刑事の役だという。とても楽しみ。
■『追いつめられて』(1987)
監督:ロジャー・ドナルドソン 出演:ケビン・コスナー、ジーン・ハックマン、ショーン・ヤング ほか
『砂の惑星』のヤングが複雑な役をセクシーに、メチャクチャ明るく演じている。
最後のどんでん返しは別に必要ないような、それまでの展開が面白いので、かすんで見える感がある。
『アンタッチャブル』に続くコスナーの2本目の作品公開で、映画誌での人気急上昇が目に見えるようだ。
■『THE VERDICT』(1982)
監督:シドニー・ルメット 出演:ポール・ニューマン、シャーロット・ランプリング ほか
後半の裁判に入るまでの成り行きも、ニューマン自身もまったく冴えなくて、パッとしないが、裁判ものはいいね。
正義が勝つと分かっているけど、最初は苦しくて、どん底から新たな証人をつかむというパターンが
ほとんど似通っているにも関わらず、応援したくなるもんね。
でもせっかくランプリングが出ているのに最後までお人形さんのような役柄で、もっと活躍させてほしかった。
「今日は陪審員であるあなた方が法律なのです」
■『BRENDA STARR』(1988)
監督:ロバート・エリス・ミラー 出演:ブルック・シールズ、ティモシー・ダルトン ほか
『プリティ・ベビー』以来のシールズをまとも使ったなという楽しくって、ステキな物語り。
コミックと現実がめちゃくちゃ混合しているからまた面白い。
シールズがとっかえひっかえのゴージャスな衣装でおいしい役だなあ。
ダルトンは『007』よりも、こういう意味のない二枚目役のほうがピッタリだし、
冴えない漫画家役の俳優はちょっとチェック。
アメリカ人の好きそうな展開の早いドタバタコメディ。
■『ゴースト ニューヨークの幻』(劇場にて
監督:ジェリー・ザッカー 出演:パトリック・スウェイジ、デミ・ムーア、ウーピー・ゴールドバーグ ほか
「この世にまだこんなにステキな役者がいたのか!」と驚かされた。
この3人ならたとえこのストーリーでなくても大ヒットだったろう。
でも監督、脚本、撮影、音楽等々のスタッフの面々を知って2度ビックリした。
いずれも筋金入りのプロ。やはりプロが揃えば、それなりの作品が生まれるといういい例だ。
アメリカ映画=勧善懲悪という公式通り、善人には柔らかな白い光のお迎えが、
悪人には容赦ない真っ黒い地獄の化け物が、それぞれの死後の世界へと案内するというルールが怖い。
結局これはラヴストーリーというのが大前提なので、スウェイジとデミのダンスということになっている。
愛し合うには、こんなにも約束事がたくさんあるのかと思う。
シャツ一枚にしても、想いがあふれんばかりに染み付いているものなのか。
彼女を助けたはいいが、現世へ一人残していくことが幸福だろうか?
この出来事を胸に老いてゆかなければならないほど苦しいものはないのではと思った。