メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『負けて、勝つ ~戦後を創った男・吉田茂~』

2012-10-10 18:49:37 | ドラマ
『負けて、勝つ ~戦後を創った男・吉田茂~』@NHK土曜ドラマスペシャル


「帰りなんとて家もなく 慈愛を受くべき父母もなく
 みなしご所詮の境地は いかに哀れにあるべき」


▼1話「日本占領」
終戦。日本の婦女を守るために、大森に進駐軍向けの慰安施設を設ける。
厚木飛行場にマッカーサー元帥が降り立つ。
戦争反対論者だった吉田茂が戦後の外務大臣に選任された。
マッカーサーと天皇との2ショットは、国民の敗北感をさらに高めた。
幣原内閣が発足。
憲法改正を任された近衛文麿がGHQから戦犯扱いとなり55歳で自殺に追い込まれた。
「天皇は神ではなく人間である」という宣言がなされる。


吉田さんは孤児からスタートして、資産家の養子となって遺産を受け継いだ。
妻・雪子をがんで亡くして、芸者の小りんが世話をしている。
結婚式も出席できずに剣との婚礼/驚 息子にも憎まれている。
メガネに耳にかける部分がないけど、どうやって固定されてるのか気になった!


▼2話「総理の座」
GHQから戦犯人を公職から除く命令が下る。
マッカーサーは次期大統領の座を狙っていた。
対するチャールズ・ウィルビーは、「日本には天皇制が必要だ。ソ連と戦わせるために」と言う。
GHQが作った憲法を一方的に押し付けられ、「天皇は国のsimbol(象徴)」となる。

吉田「外交屋は欲しいもの10のうち、9は捨てても、残った1を手に入れるのが仕事だ」

鳩山一郎が自由党から念願の首相となるが、記者会見で叩かれて公職追放処分となる。
東京裁判では、戦前の首相が裁かれることとなり、吉田の友人である広田弘毅の名もあがる。
夫を守るため、父が国粋主義者だった妻は服毒自殺を遂げる。
この最悪の時期の首相になれるのは吉田のみと頼まれ、敢えて貧乏くじを引いて生き恥を晒す覚悟を決める。
昭和21年。吉田内閣発足。GHQは芦田均を推していた。
「総理大臣なんて、単なる風除けにすぎない。早く講和条約を結び独立しなければならない。
 GHQは、“Go Home Quickly”だ!」


「日本は四等国だ」「他国に憲法を作られたのは日本だけ」ってセリフが重かった。


▼3話「ゴー ホーム クイックリー」
マッカーサーを希望とみなすフシギな日本国民。
しかしアメリカでの予備選では惨敗する。
昭和電工の日野原が贈収賄容疑で逮捕され、元子爵の妻・鳥尾とのスキャンダルでケーディスは失脚の危機。
吉田は佐藤栄作、池田勇人ら同志を募り、第二次吉田内閣が発足する。
東京裁判では判決が出て、広田弘毅は絞首刑となる。
岳父である牧野伸顕も死去。

吉田の息子が
「貧しくても生きているという実感を得られる国になってほしい。
 自然を愛し、家族を愛し、働くことの喜びを感じ、命の尊さを感じられるような」と言うのに対して、

吉田自身は
「世界一の国にしたい。世界中からうらやましがられる国。
 日本人は努力家だ。怠けない。辛抱強く、忠実だ。それにはまず独立だ」と言うセリフが対照的だった。


▼4話「アジアの防波堤」
中国が対等してきて、ソ連が核実験に成功したことで、アメリカは焦り始める。
「自己防衛は否定していない」と再軍備を要請され、東条英機の秘書官だった牧野伸顕が指揮をとろうとする。
吉田は「日本にとっての世界はアメリカなんだ!」と悩んだ末、
池田、白洲らをワシントンへ送り、米軍を保留させ庇護を求める。
北朝鮮軍が韓国侵攻、昭和25年朝鮮戦争勃発。
「国家警察予備隊」には38万人の応募があり、7万8000人が入隊した。
吉田は「朝鮮戦争は誤算だった・・・」とつぶやくが、戦争特需によって日本経済は復興する。
中国義勇軍が参戦し、アメリカ軍は後退。ここが単独講和を結ぶチャンスかと思われたが・・・

息子が物乞いをしていると知り、「父上は今一番大事な時期なんだ」と金を渡す白洲次郎
ずぅっと煙草を吸い続けている役も辛いね


▼5話(最終回)「独立への道」
吉田はワシントンへ赴き、講和条約締結の模様は世界で初めて生中継された。
一方、裏では安保条約が吉田一人によって調印される。

自衛隊のおかげで日本は独立できたってことか?

吉田「人は去りゆくとも、心は残る」
マッカーサー「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」

事情を知らない日本国民は、独立を祝って吉田の支持率は58%となる。
「ここが引き際だ」と言う白洲に「まだまだやることがある!」と言い張る吉田。
その後、世論は厳しくなり、支持率が23%に暴落、鳩山内閣が発足する。

マッカーサーが亡くなった知らせを聞いて、元いた部屋を訪ね、
亡霊を見ながら冒頭のセリフを繰り返すシーンには涙。
病床の吉田に寄りそう小りんの色っぽいこと!
昭和42年、89歳で吉田もこの世を去った。

コメント

notes and movies(1991 part16)

2012-10-10 18:23:20 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part15からのつづき。


『スタートレック2 カーンの逆襲』(1982)
監督:ニコラス・メイヤー 出演:ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ ほか
またまたどーしてカーク船長がいつのまにか現役を退いて提督になっていて、
どーして昔カーンをアルファ5惑星に置き去りにしなければならなかったのかまったく分からないが、
放射能にやられて死んでしまうスポックが最新作の6ではちゃんと登場しているということは、
どこかで復活するのだろうか?


『インテリア』
監督:ウディ・アレン 出演:ダイアン・キートン ほか
アレン独特の神経質な笑いものから離れて、
ひどく洗練された美の世界を描いた今作。
年老いた両親の孤独とその責任を負わされる子どもらの社会問題を扱っているともいえるが、
ラストシーンでも静けさとレベルの高い(サリンジャーの世界にも似た)精神的世界がうかがえる。


『THE COTTON CLUB』
監督:フランシス・コッポラ 出演:リチャード・ギア、ダイアン・レイン、ボブ・ホプキンス ほか
暗い画面、いろいろなスポットライト。
「コットン・クラブ」という名の白人専用高級クラブで毎夜繰り広げられる束の間の夢幻の世界。
その裏で動くギャング、賭博、愛、金・・・。
ここにはジャズ、ダンス、タップ、あらゆる要素が詰まっていて、
コッポラのハイセンスが随所に観れる。

俳優陣も華やか。ダイアンはマドンナそっくり。
髪型、ファッションすべて'20~'30年代風に凝っている。
禁酒法にギャングスターを扱った作品は、他にもいくつかあるが、
その退廃の中にしばし人情も絡めてハッピーエンディング。
全体的に色調は暗いのに、雰囲気として明るく語っている。
様々なショートストーリーを次から次へと混乱なく紹介してゆく。


『SEA OF LOVE』(1989)
監督:ハロルド・ベッカー 出演:アル・パチーノ、エレン・バーキン、ジョン・グッドマン ほか
バーキンのほとんど素っ裸シーンもあって、彼女独特の魅力が充分発揮されている感じ。
危険な女から結果はフツーの未婚の母っぽくなっちゃって、
同じただの中年に戻ってしまった男でも、アル・パチーノだからか
ハッピーエンディングになっている。
タイトルでもある♪シー・オブ・ラヴ が懐かしい45回転のドーナツ盤から
ハードロック風のアレンジまで聴かせる。
いわずと知れたグッドマンがまたいい脇役で2人のアクの強い役者を引き立てている。
でも、やっぱり男女関係は秘密っぽい最初だけってことかしら?


『DEADLINE~ブルー・シェイド 殺意の幻影』
なんとなく『羊たちの沈黙』的な異常さがあるけれども、
全体的にメリハリがなくて、ブルーの色調で統一している割にシュールでない感じ。
2時間の水曜ドラマ風とでもいうか、出演陣もなんかパッとしない。


『夜霧のマンハッタン』(1986)
製作・監督:アイバン・ライトマン 音楽:ロッド・スチュアート
出演:ロバート・レッドフォード、デブラ・ウィンガー、ダリル・ハンナ ほか
全然タイトルの雰囲気じゃないけど、私の好きな裁判もの。
「さあ!楽しい裁判所へ行こう!」てな感じに明るい。
幼少に体験したショッキングな火事と父の死をモチーフにした
“パフォーマンス芸術”のシーンはとっても刺激的。

歳はとったが二枚目の抜けないレッドフォードの三枚目ぶりが可笑しい。
ハンナのセクシーさもさることながら、デブラの個性的な魅力と
しっかりした演技力はどの作品を観ても一見に値する。ファッションもステキ!
ラストに流れるクールな曲をロッド・スチュアートが歌っているのは驚いた。


『もうひとつのラブストーリー』
監督:カレル・ライス 出演:デブラ・ウィンガー、ニック・ノルティ ほか
警察の腐敗、麻薬、ホームレス、売春、殺人等々、
アメリカに潜むほとんどすべての問題を取り上げているにも関わらず、
ラブストーリーという形を借りて、すっかり明るいハッピーエンドになっているところがスゴイ皮肉だ。
デブラは父親にレイプされたというセクシーな娼婦(彼女らしくないが)に見事になりきっていて、
ニックはあのブルドッグ面で悪を純粋に暴こうとする探偵を演じた。


『ラスト・ジゴロ』(1987)
監督:フィリップ・ノイス 出演:ジョン・ローン、ウェンディ・ヒューズ ほか
東洋系の色が巧みに使われ、異国の魅力が楽しめる。
ジョンが必死に習ったバリダンスのシーンは少なかったけれど、
やはり異国で自己を探しあぐねる孤独な(長髪の!)青年役が合っている。
2人が一時的な情に溺れることなく、それぞれの国へ戻るラストは明るい感じ。


『ニューヨーク2019』
強力な放射能の中でネズミとユーラック(反アメリカと欧・アジアの連合体)に怯えながら生き延びようとする。
ある者たちは猿の惑星のメイクなどで、ある学者が自分の娘を仮死状態に保存し、
無事にラストは打ち上げられ、20年の長い眠りから覚めるところが暗示的。


『ドレミファ娘の血は騒ぐ』(1985)
監督:黒沢清 出演:洞口依子、伊丹十三 ほか
やっぱり日本映画なんて観るべきじゃなかったって思っちゃう。
どっかの欲求不満の映画製作同好会が思いっきり勘違いして作って、
これこそ独創的だって言っているみたい。
基本的にストーリー性がなくて美しくない映画は嫌い。
たとえこれがどこかの大学での現実であったとしても。

(すごい酷評 よほど気に入らなかったんだな。

コメント

notes and movies(1991 part17)

2012-10-10 18:23:19 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part16からのつづき。


『噛む女』(1988)
監督:神代辰巳 出演:桃井かおり、永島敏行、戸川純 ほか
全体的に薄暗い映画。桃井かおりと永島敏行のかったるい夫婦役が見物。
犯罪事件が日常茶飯事として描かれている感覚が怖い。
純ちゃんは、こうゆう事務員みたいな地味な役どころが好きなのかな?
どっぷりつかっちゃってる一般職の女性役でちょこっと出てる。


『SWITCH』(1991)

 

出演:エレン・バーキン ほか
散々プレイボーイだった挙句、世界中の女性から思い切り憎まれて殺された
完全男性優位主義者のスティーヴンが、神のお慈悲により、
もう一度チャンスをもらったはいいが、女性に生まれ変わってしまうお話
外見は女で、中身は男のままのバーキンの演技がとにかくセクシーでファニーで素晴らしい
コミカルであると同時に愛の形をいろいろ考えさせてくれる、とってもファンタジーな1本。


『ラルフ一世はアメリカン』(1990)
監督・脚本:デヴィッド・S・ワード 出演:ジョン・グッドマン、ピーター・オトゥール、ジョン・ハート ほか
いかにもアメリカっぽい自由かつ下品なラルフが
カチコチの英国皇室の中に飛び込むなんて設定だけでも楽しい。
グッドマンが活き活きと活躍している。


『ローズ』(1979)
監督:マーク・ライデル 出演:ベッド・ミドラー、アラン・ベイツ、フレデリック・フォレスト ほか
ベッド・ミドラーの本格的映画デビュー作。
炎のように駆け抜けたシンガー、ジャニス・ジョップリンをモチーフとして
華やかなスポットライトの影のもうひとつの顔を演じている。
多量の酒とドラッグで身を費やし、ブルースと人々を愛し、
真っ直ぐに生きようとした彼女が心底から欲していたものは?
ホームタウンのテキサス、家族、男友達・・・
全身全霊で極力ジャニスになりきったミドラーの迫真の歌、演技は素晴らしい。

(まだジャニス本人を知る前に映画を先に観たんだっけか?


『グリーン・カード』
監督:ピーター・ウィアー 出演:ジェラール・ドパルデュー、アンディ・マクドウェル ほか
シッカリした演技派俳優2人がそろって、イイ監督が映画を撮れば
こんな楽しい作品が出来る。映画のための映画。
他人同士からいきなり結婚、その後猛スピードで互いのプライベートを知り合う
こんなメチャメチャな恋愛もN.Y.なら起こりそう。
ラストも癪だが粋だった。


『テルマ&ルイーズ』(1991)
監督:リドリー・スコット 出演:スーザン・サランドン、ジーナ・デイビス、ハーベイ・カイテル ほか
ストレス解消にはもってこいの快進撃に男から観れば反論も出るだろうけど、
女が女性という「性」を与えられてから、今までどれだけ小さなことにもガマンし続けてきたか、
これは2人の女がした精一杯の男たちへの抵抗なんだ。それも完全に片道切符の。
今作が今、ヒットしたその事実こそ重要だ。

(たしか端役でブラピが出てるよね。今作でのシーンが一番セクシーだった気がする


『家族の誤算』(1978)
監督:デヴィッド・ローウェル・リッチ 出演:フレッド・アステア ほか
当時アステアは70過ぎ。彼の優雅なステップを見ることが出来ないのは残念だが
ハートウォーミングな家族ドラマを演じる彼もなかなか味があって泣ける。
誰もが通らなければならない平凡だが現実的な主題を扱っている。


『New York Stories』
Life Lesson(ニック・ノルティほか出演
Life without Zoy
Oedipus Wrecks(ウディ・アレン、ミア・ファローほか出演

誰もがいつの日かスーパースターになろうと夢を見ている。
いつも何かが起こり、人々はいつか何が起こっても驚かなくなる。
N.Y.やパリのように、東京もそうなろうとしているのかもしれない。
ハイセンスなタッチでそれぞれのN.Y.を映像化し、
今日明日起こっているかもしれない現実味あるストーリーを3つ、
短い時間であるはずが内容にちゃんと締まりがあってどれもイイ感じ。
ビッグタウンをいろいろな角度から撮れば、きっと無数の映画が生まれるだろう。


『WINTER PEOPLE』(1987)
監督:テッド・コッチェフ 出演:カート・ラッセル、ケリー・マクギルス ほか
とても古い考えを持つ人々と、そこにある荒っぽい暮らしは私にはとてもヘヴィだけど、
激しい気性の割に一本筋の通った彼らの生き方には魅力もある。
ケリーの天使的美しさとしっかりした演技力、ポーラ役の子どももイイし、
物静かな好青年役のカートもイイ。


『フェリーニの都』(1980)
監督:フェルッキオ・カストロヌウォーヴォ 出演:フェデリコ・フェリーニ、マルチェロ・マストロヤンニ、ジュリエッタ・マシーナ ほか
数々のフェリーニの撮影現場を撮影しているフェルッキオの一作。
魔法のような舞台装置と、それらを造り上げ、動かすスタッフ。
そして登場する女性、女性、女性。
フェリーニの頭の中には、いつも一体どんな映像が回っているのだろうか?
ちょうど迎えたマッシーナとの銀婚式?の模様もある。


『スーパーマン4 最強の敵』(1987)
監督:シドニー・J・フューリー 出演:クリストファー・リーヴ、ジーン・ハックマン ほか
今回はリーヴが自らストーリーの原案を出した。
“世界中の核兵器を排除する”という夢のようなお話もスーパーマンなら軽々やってのける!
でも「平和とは、人間1人1人が望み、実現していくべきもの」と締めくくっている。
とうとう政治に関与してきた4作目。

最強の敵は、太陽から生まれた“ニュークリアマン”(名前からして面白い)だが、欠点が分かりやすかった。
毎回ハックマンは、いかにもな悪玉ぶりで楽しませてくれる。
その甥をジョン・クライヤーがバカっぽく演じているのがイイ。
ルイスとその出版社を乗っ取ろうとする社長の娘役のヘミングウェイと
スーパーマン、クラークとのダブルデートシーンも面白い。
ルイスとスーパーマンが空を飛ぶシーンで『ホットショット』のチャーリー・シーンを思い出すのはわたしだけ?


『がんばれ!ベアーズ』(1976)
監督:マイケル・リッチー 出演:ウォルター・マッソー、テイタム・オニール ほか
今でもありがちな本来のプレーの楽しさを忘れた、勝つことだけを目的としたコーチのやり方、
これは教育やその他の様々なことにも当てはまるが~に反発する子ども達の小さな抵抗も描いている。
マッソーの本当にダメ親父っぽい監督ぶりもイイし、
『ペーパームーン』の頃よりちょっと大人びたテイタムも光っている。
ほかのメンバーもそれぞれ特徴がハッキリしていて、
なんてこたないどこかの町の少年野球の1シーズンをとりあげているだけだけど、
これが後々のいい思い出の1つになるんだろうなっていう感慨が残る


コメント