メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『サヨナラCOLOR』(2004)

2012-10-17 13:24:10 | 映画
『サヨナラCOLOR』(2004)
監督・脚本・出演:竹中直人
出演:竹中直人、原田知世、段田安則、雅子、中島唱子、水田芙美子、内村光良、大谷直子、久世光彦、中島みゆき、三浦友和 ほか
その他のカメオ出演は、ウィキ参照のこと。

trailer

ずっと気になってた今作をやっと観てみたv
竹中さんの交友の幅広さと、人間味のあるあったかさ、
映画を愛する気持ちがそのまま伝わってきて、ほっこりする


story
呑み屋の女将が愛人で、高校生と援交?してて、看護婦の尻を触ってばかりいる佐々木医師。
彼の最初で最後の恋の相手で高校のクラスのマドンナだった笈川未知子が入院してきて、病気は子宮がん。
「オレが絶対治してみせる!」と意気込み、「ボクのこと思い出してくれましたか?」と毎日しつこく聞きに来る。

未知子の同居人は、世間で顔の知れたデザイナー鈴木雅夫。
女にだらしがなく、お見舞いもてきとーで、未知子の友人・あき子ともデキている。
なんとか仮退院した未知子。一方、佐々木のカラダにも異変が起きはじめていた・・・


チャダラが海岸でラップを何気なし歌ってるところからスタート。
谷中っちまでちょい役で出てて爆。呑み屋の看板で断られる役ってそのまんま!
医師の同僚がウッチャンで、ものすごい七三でちょっとゲイっぽい感じなんてほとんどコントだし、
松葉杖で病院の廊下を走る役で田島さん、オマケに大森さんも出てて、
ムダに豪華キャストすぎ ストーリーと直接関係ない細かいギャグも多い。
名医役の中島みゆきさんは、かっちょよかったv

ノスタルジックな学生時代の昭和っぽい映像は、『時をかける少女』を思い起こす。
知世ちゃんのいくつになっても変わらないこの透明感は、誰にもマネできない。
シンプルな洋服なのに、とってもオシャレに見えるし。
「死んだらボクを食べて欲しい」て言われて「わたし、きっと食べちゃう」てセリフを
サラっと言えるシーンもすごい!
死んだらいろいろ臓器を提供するって話で、肺だけはリサイクルできないのかな?

極楽寺駅って小さくてカワイイ。江ノ電にそいえばあったっけ。
ちょっとだけ出てくるにゃんこも超可愛かったあ!
未知子が創っているステントグラスのアルコールランプもステキ。

プラネタリウムみたいな星空には・・・UFO
ところどころフランスっぽい音楽使いもオシャレ
あと、クルマに轢かれそうになるシーンには心底ビックリした/滝汗

ラスト、美しくて静かな海景色に、ハナレグミのつぶやくような歌が染みていった。


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notes and movies(1992 part1)

2012-10-17 11:55:52 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。白くて小さいノートより。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『One from the Heart』(1982)

 

監督:フランシス・コッポラ 音楽・作曲:トム・ウェイツ
出演:フレデリック・フォレスト、テリー・ガー、ナスターシャ・キンスキー、ハリー・ディーン・スタントン ほか
渋いブルースに乗せて1組の倦怠期を迎えた男と女の別れたはれたのストーリーを
ここまで哀愁的、ロマンティックにするのも、コッポラ独自のゆったりとした話の流れと、
妙に造りもの的な小さな町のセット、ネオンの効果のせいだろうか。
『ローズ』でも、冴えないがどこか温かいフォレストの味のある演技が堪能できる。
現在『アダムス・ファミリー』で異色な役を演じているラウル・ジュリアの
初期の活躍も観れてなかなかキャストも多彩。

(フレデリック・フォレストも漁って観たなあ・・・懐 これもマイベストに入るかも


『The Rachel Paper』(1989)
監督:ダミアン・ハリス 出演:デクスター・フレッチャー、ジェームズ・スペイダー ほか
多分、年頃の男女が通常通る過程を青春グラフィティにありがちな臭さを取って
『フェリスはある朝突然に』みたく、主人公だけが観客に話しかけることができる手法で現代っぽく描いている。
第一印象から部屋の雰囲気まで全部パソコンにプログラミングされていて、
それを完璧に実行してしまうところが映画らしい。

最初の1シーンでタイプじゃないなと思っていても、
観終わる頃には、ちょっとカワイイとか思えてしまうのが映画の不思議なパワーの一つ。
スペイダーは、大体見るからにエリートコースまっしぐらの社員か、
こんな観るからに嫌なインテリ+プレイボーイ風の男役が妙に多いね。
最近になってやっと幅のある役(主役級)をもらっているけど。
ティーンエイジャーの妊娠も、離婚問題も、これからまだまだ続きそう。ずっとずっと。


『DISTURBED 沈黙のリベンジ』(1990)
出演:マルコム・マクドウェル ほか
ブラックユーモアなストーリー。
マルコムは、例の『時計じかけのオレンジ』でふざけた男を演じた異色俳優。
あの時の演技と彼独特の雰囲気があまりにウケたのか、出ている作品が似通っている。
この1作も、ミステリーというよりコミカルでなさそでありそなコワーイお話になっている。


『YENTL 愛のイエントル』(1983)
出演:バーバラ・ストライサンド ほか
バーバラの初監督作品。
女性の権利や自立、大きな意味で女性の社会的な位置を問いただしている作品。
「女性は家で縫い物や料理をして、美しく清らかであるべき。
 女性は男性を助け、男は女を守るべき」etc.etc..
それを越えても学問を愛し、限りなくすべてに好奇心とクエスチョンを持った女性イエンントルを描いている。

ストーリー的にも楽しめる。
父への大きな愛が彼女を支えていたからできた事だったとも言えるが、
彼女の問題は、今なお現代のあらゆる国の女性たちにいまだに引き継がれている。表面化していないだけであって。
バーバラのしっかりした歌声も充分楽しめるが、これからもっとこの問題を取り扱ってくれることを願う。
彼女の顔が観れば観るほどハンサムに見えてくるのは映画の不思議な魅力のひとつだ。


『スペクター 闇黒からの使者』(1990)
奇想天外なモダンホラー。
思わず昔の思い出にほだされてしまう死の使者なんてロマンチックじゃない?
こんな作品がひょっと見つかるからレンタルショップ通いはやめられないのよね
この作品を観終わってひと言いうとしたら・・・安全運転を
なんの疑いもなく天国を夢見る人には、ちょっとキツイセリフもあったよなぁ・・・


『CRIMES of the HEART ロンリーハート』
監督:ブルース・ベレスフォード 出演:ダイアン・キートン、ジェシカ・ラング、シシー・スペイシク、サム・シェパード ほか
家庭の温かさとともに、やっぱり姉妹っていいなあと思わせる1作。
レニーがバースデイケーキのキャンドルに願ったのは、
ただこうして3人姉妹が仲良く笑っている光景だ、というのはいいセリフ。
この作品にも、現代が抱えるいくつもの問題が取り上げられているが、その1つが「自殺」。
3人の大女優が本当の姉妹のようにそれぞれの問題に直面してゆく姿を現実的に演じている。


『影の追跡』(1983)
監督:ビル・パースキー 出演:ジョージ・シーガル ほか
「『Lookin' for Mr.Goodbar』とは無関係だ」とは言っても、
あの映画の事件を基にしている限り同じことだと思うが、
これは、この女性が殺されてしまってから後の分かっている事実のみをストーリー化している。
しかし、結局あのゲイの男がどうして彼女を殺したのか、根拠はやはりハッキリしない。
同じ年頃の娘を持つこの刑事にとって娘はどうして親元を離れたがるのか、
どの国のどの家庭でもある問題だが、一人で暮らすなら充分気をつけろ
ってなことを言いたかったのかもしれない。
新年早々からこんな事件が起こり得る、N.Y.を代表する大都市ってイヤな所よね。


『CHANCES ARE ワン・モア・タイム』(1989)

 

出演:ロバート・ダウニー・ジュニア、シビル・シェパード、ライアン・オニール、メアリー・スチュアート・マスターソン ほか
大好きな“生まれ変わり”のロマンティック・コメディ
23年間も夫を忘れられないでいた妻もすごいけど、
23年間もそんな彼女を想いつつ、母娘を支えてきた親友ってゆうのもスゴイ。
最愛の者をふいに亡くしてしまうことが、今この瞬間でさえ起こっているのは例えようもなく悲しいことだけれど、
それをこんな形で別の幸せを見つけさせてくれるのは映画の素晴らしい魅力。
『ブルームーン探偵社』でお馴染みのシビルが、知的で素直な魅力を発揮している。
ロバートはちょこちょこ端役でお目にかかるが、これから大いに期待できそうな若手。
2枚目プレイボーイからちょっと離れて、おめでたい実直な親友役に徹しているライアンの役所もイイ。


『Year of the Gun』(1990)



出演:アンドリュー・マッカーシー、シャロン・ストーン ほか
一人の男が書いた小説のままに現実化してゆく~そんなSF的な作品と予想していたら、
もっと全然政治的な事実をも混ぜたストーリーだった。
ラストの、互いにカメラを通じて見つめ合っているかのようなストーンの眼が印象的。
『ホットショット』では笑わせてくれた、どこか薄幸な顔立ちのゴリノは
イタリア人であるのも生かしてシリアスな役所を見事に演じてみせてくれている。
マッカーシーは相変わらず純情な正統派2枚目で、これからも充分期待できる。
ストーンとの過激なベッドシーンにはちょっとビックリしたけど。

この作品のメッセージは、“報道は暴動に関与し、鎮圧することはできない”。
あらゆる国からの生の状況がホットラインで放送され、
日常茶飯事のようにテロや戦争、殺人などなど悲惨な事実もほかの天気予報などと一緒くたに
テレビから流れている。またそれらを本として出版している。
何のために?答えは出ない。

(初期のストーンの、いかにも野心的な演技が好きだったなぁ!


『Gothic』(1987)
監督:ケン・ラッセル 出演:ジュリアン・サンズ ほか
恐怖は人によって様々だが、とことんまで恐怖心を追求したアーティスティックで異常度抜群のラッセル作品。
嵐と夜が空けるとすっかりのどかになっているラストが可笑しい。
メアリーがかの有名なフランケンシュタインの作者?
とにかく凝りに凝っているが、全体的に芝居臭さが漂っていて、
次から次へと飛び出すイメージのオンパレード。
一体この城の設計はどうなってんのかしら?と不思議。

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notes and movies(1992 part2)

2012-10-17 11:55:51 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。part1からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『Dr.M』(1990)
出演:ジェニファー・ビールズ ほか
こうゆう退廃的な近未来映画、好きだなあ!
特に、今の私たちの年代にはピッタリくるものがあるもんね。
イギリス映画らしい『1984』タッチの映像。
怖いのは、もし現実にひとの心に影響するある偏った政策をとろうとすれば、
今の世の中決して不可能ではないということだ。
その媒体は、テレビ、ラジオ、コンピューター、多種多様に揃っているのだから。
ドクターMが殺人鬼でなく、悲劇の人物として描かれているのが印象的。
あなたも、さあ、架空の街テラトスへようこそ!


『Music Box』(1989)
出演:ジェシカ・ラング、フレデリック・フォレスト ほか
40年前の'44ナチスの支配下においてなされたユダヤ人大虐殺。
時代は移り変わり、戦争を知らない子ども達は、かつての悲惨きわまる事実を忘れようとしている。
とてもハードな問題を扱った法廷もの。

多分、事実に基づいていると思われる証言の数々は、聞くに堪えられないほど生々しく、
同じ人間がしたこととは到底思えない。
しかし、これらはまぎれもなく実際起こった出来事であり、
その事実は何十年経とうとも忘れられるべきではないことを作品は私たちに問いかけている。


『The Conversation 盗聴』(1974)



監督:フランシス・F・コッポラ 出演:ジーン・ハックマン、ロバート・デュバル、フレデリック・フォレスト、ハリソン・フォード ほか
世の中には、いろんあ仕事もあったものだと考えさせられるが、
こんな盗聴の仕事人や、盗聴仲間の集まりがあって、
最新盗聴機器がどんどん開発されているとは・・・
そのプロであるハリーの誰も信じられなくなった孤独感、無常観が、
ブルースとコッポラのゆったりしたカメラワークとともに私たちに伝わってくる。
どんどんと追い詰められ、神をも信じられなくなり、最後は疑心暗鬼の極地で
部屋中をひっくり返した後、ブルージィなサックスを吹くシーンは渋い。
人間と人間との関係がますます複雑化している今日、
あらゆる目的をもっていつしか我々の心の中まで盗聴される日も近いかもしれない。
フレデリック・フォレスト出演作第4弾。


『SALOME'S LAST DANCE』(1987)

 

監督:ケン・ラッセル 出演:グレンダ・ジャクソン ほか
フェリーニ映画の、サーカスのテントの中のような映像と
ストーリー展開をもっと下品にしたような感じ。
娼館で上演し、観客が作者一人とは贅沢で惜しいほど衣装やセットは凝っていて、
役者も不気味極まる顔ぶれ。

近親相姦の女王、娘に異常に執着する王、預言者ヨハネを愛しながらも
「その首が欲しい」と王の前で前代未聞のダンスをして見せるサロメ。
サロメ役の冴えないメイドの変わり身がビックリ
殺人を笑い飛ばして終わる異常さ。
異国か、はたまた地獄で行われたショーか。
青白い月明かりのもとで繰り広げられるラッセルの小舞台。


『ブロードウェイのダニー・ローズ』(1984)
監督:ウッディ・アレン 出演:ミア・ファロー ほか
'84年なのになぜかモノクロ。
昔の浅草芸人の世界のような、自分の命を賭けて、一つの芸に執着する、
今のタレントにはもうない職人かたぎ的なストーリー。
やりたい事し放題のティナと、恩や仁義を大切に思うローズの掛け合いが楽しい。
ラストには、ふっと温かさが感じられる。
アレンも56歳!『アリス』や『シャドウズ&フォッグ』などなど、これからも楽しませてほしい。


『ロリータ』(1962)(既出
監督:スタンリー・キューブリック 出演:ジェイムズ・メイソン、ピーター・セラーズ ほか
ちょっと期待ハズレ。モノクロということもあるし。
'62のイギリスとしては、とてもセンセーショナルな題材だろうけど、
現在は親や配偶者、血縁が幼い少女をレイプ、虐待している問題は増大する一方だから、
今のロリコンっていうと「幼児趣味」っていう意味にとらえられていて
この作品で義理の父は、精神的な愛まで欲していたのとはちょっと違う。
でも、原作のほうは面白そう。


『キング・オブ・コメディ』(1983)
監督:マーティン・スコセッシ 音楽監督:ロビー・ロバートソン
出演:ロバート・デ・ニーロ ほか
幻想癖のある男の夢想なのかもしれないし、なんでも起こり得るアメリカだから
こんな結末もあり得るかもしれない。
華やかなショウビジネスの裏の舞台劇を描いているが、
とにかくデ・ニーロは、なんにでもなりきっちゃうところがスゴイ。
山場のパプキンがステージで漫談するシーンは、彼が俳優なのも忘れて思わず笑ってしまう。
現実には、デ・ニーロこそファンにひっかき回される立場だから、
その熱狂さの裏返しがどんなに危ないものかひしひしと伝わってくる。
コメディアンに身を捧げて追っかけるマーシャは、絶対いがちなだけに恐い。
スコセッシの作品に使われる曲はいつも効果的。


『ワイルド・トゥ・ビー・タフ』(1985)
監督:フリッツ・キアーシュ 出演:ジェームズ・スペイダー ほか
よくありがちなハイスクールものだけど、スペイダーはじめキム・リチャーズ、
ポール・モネス(いいワルを演じている)、ロバート・ダウニー・ジュニアら
キャストがなかなかシッカリしていて、珍しく2時間近くじっくりと構成されている感じのストーリー。
キムが途中ディスコでノリまくって踊るシーンは『フットルース』並のテンポでいいシーン。
スペイダーもまだまだ下積みの頃の初期作品だけど、
すごくキレイで演技も特徴が出てて、シッカリしてる。


『SF謎の宇宙船遭遇』(1981)
監督:チャールズ・E・セリアJr 出演:ダーレン・マクギャビン ほか
久々に古い映像の作品を観てしまったって感じ。
現実に今そのような事実があって、それに基づいている部分も多いんじゃないかと思わせる。
UFOが存在するという事実は、それほど地球中をひっくり返すほどの大混乱に巻き込むだろうか?
もうそろそろ本当のところを話してもらいたいものだけれど。


『実録!UFO大接近 消えた412ジェット機隊』(1974)
監督:ジャド・テイラー 出演:グレン・フォード ほか
レーダーのテスト中、3つの不信な点が映り、探査ジェット機2機が同時に一瞬にして消えてしまった、
と同時に、その事実は特殊機関によってうやむやにされてしまう実話をもとにしているという作品。
怖いのは、これからは兵器での圧力よりも、
心理的に働きかけるもののほうが有利になるだろうということだ。

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notes and movies(1992 part3)

2012-10-17 11:55:50 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。part2からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『裸のランチ』(1991)



監督:デヴィッド・クローネンバーグ 出演:ピーター・ウェラー、ジュディ・デイビス、イアン・ホルム ほか
まともな評価は出来ないクローネンバーグがここまで天才鬼才だったとは
『デッド・ゾーン』を越えていて悔しいけど、たぶん最初で最後のなんとも奇妙な作品だ。
黄色い煙草の煙に包まれたストーリーの端をつかんだと思えてもすぐに霧散してしまう。
また、出演陣もまるでこの作品のために生まれたかのようにハマっている。
ピーターのなんとも言いがたいビリー・リーに、形容しがたい薬中の妻役のジュディ、
インターゾーンの悪玉医師役でイメージ反転したロイ・シャイダー
『2001年宇宙の旅』の彼までがキテレツに見えた。
それにゲイっぽい雰囲気をよく出していたジュリアン・サンズ。言ってみれば彼が一番人間に近い。

小説家という人種を皮肉っているのか、タイプライターが名前を持ち(ブランド名?)
魚人の頭やゴキブリみたいな化け物になって、それぞれリーにインターゾーンのスパイ活動を指示してくる。。
時々、現実の眼から実際の姿がどうなのかを私たちに見せてくれるからいいものの、
私たちまですっかりリーのインターゾーンの後戻りのできない深い幻想の世界
~魅惑的でさえある世界へと引き込まれてゆく。
ウィリアム・バロウズの原作を買ったはいいが、読むのが恐くなってきた。


『仮面の情事』(1991)
監督:ウォルフガング・ペーターゼン 出演:トム・ベレンジャー、グレタ・スカッキ ほか
とってもヒッチコック的ミステリーで、また久々にスカッキのしっかりした演技も堪能できた今作。
ここには、いくつかの深刻な現代の問題を鏡のごとく映し出している。
スピードの出しすぎによる交通事故の無残さ、
妻や家族に暴力をふるう夫、環境破壊のことなど眼前にまったくない建築家等々・・・
トムもホフキンスもイイ役に徹しているし、妖しい占い師キルマーの魅力も冴えている。
でも、本当の愛を求めるなら顔はやっぱり誰でもいいものなのかしら?分からないなあ!


『シンドバッド黄金の航海』(1974)
監督:ゴードン・ヘスラー 出演:ジョン・フィリップ ほか
まるでギリシア神話でも再現したようなフシギで面白いトリックだらけのピュアなアドベンチャー!
シンドバッドが妙にヒーローっぽくなくユーモアの分かる人間味のある男として描かれているのがイイ。
悪役のほうも、悪の権化というより、永遠の若さ、富や名誉、全能的なパワーなど、
誰もが一度は望むだろうものを自らの身を削ってまでつかもうとしている必死な感じで憎めないし、
彼が造り出すモンスターたちはとってもアーティスティックで可愛い
とくに、コウモリのミニ人間みたいなのは、すごく従順だしキュート!1匹欲しいって感じ
6本手の女神が踊るバリダンスなんて前代未聞だし、とても'70年代映画とは思えない斬新さ。
とにかくビックリ仰天の冒険物語。

(どこかで観たって思ってたら、レイ・ハリーハウゼンhere


『ST. ELMO'S FIRE』(1985)
出演:アリー・シーディ、デミ・ムーア、ロブ・ロウ、エミリオ・エステベス、アンドリュー・マッカーシー、ジェニー・ライト ほか
この作品の持つ意味を本当に共感してとらえることはムリだ。
どこかにかならず起こっている、そんな題材を扱っているから。
冒険もアクションもない代わりに、友人という連帯感、誤解、恋人との境界線など
身近でどこかあたたかい作品に感じられる。

とにかくキャストがすごい。若手有力俳優が芽を出し始めた頃の勢ぞろいって感じ。
ロブはなんかチャランポランしてそうで結構ハートフルでイイ作品にコンスタントに出演して
それなりイイ演技をしているから意外。
エステベスの出演作を観るのは、これで2本目だけど、いかにも映画小僧あがりって感じ、細かい芸がうかがえる。
チャーリーよりもずっと父親(マーティン・シーン)にソックリなのには驚いた。
『HARD COVER』のジェニーがロブの妻役でちょこっと出てる。
相変わらずフシギでクールな魅力でステキ。
題名は「幻の火」の意味。船乗りはその火を頼りに港へたどり着いたという。
そんな名の酒場から始まり、若者が次々と出入りしては巣立ってゆく~そんな設定が珍しい。

「僕たちは曲がり角に立っているんだ。これからもうまくやっていくしかないんだヨ」


『真夜中は別の顔』(1977)
原作:シドニー・シェルダン 出演:スーザン・サランドン ほか
原作を読んでかなりショッキングな感動を覚えたのも、もう2~3ヶ月前のこと。
小説を映画にすれば、キングも言っている通り、比較されるのは当然。
しかも'77といえば、まだこの本が世界的ベストセラーになる前の話で
サランドンもまだ無名同然の女優だったはず。

まあ、厳密に言えば抜けた大事なシーンもあった。大事なセリフもなかった。
だけど審判員のごとく目を光らせて観ていたかぎり、みな全力でそれぞれの役になりきっているし、
米仏にまたがる2人の女性のほとんど半生をビデオ2本にすることなく
2.5H近くに納めたのもエライと思う。全体的によく映像化してくれた!って感じ。
でも、初めてこの作品に触れる方々は、やっぱり一人ひとりの登場人物の本当の姿、
そして作品自体もっと味わい深いものとするため、ぜひぜひ原作を夢中になって読んで欲しい。


『激突!』(1972)
監督:スティーヴン・スピルバーグ
仕事で高速に乗った男が幽霊船のように不気味なトラックにあくまでもしつこく追い回される。
究めて単純な設定だから逆にのめりこめる。
クルマを運転する人なら、こんな得たいの知れない不気味で巨大なパワーを持ったトラックに
猛スピードで追われたら・・・と思えばゾッとするのかもしれない。
だだっ広い米大陸のハイウェイじゃあ、何が起こるかわかんないし、起こっても助けを呼ぶのは至難の業。
それは『HITCH HIKER』でも痛感したけど、カーチェイス、カーチェイス、
まとめれば、これは純粋にカーチェイス映画でした。
私なら他の人の車の後をずっとついてゆけば、相手も証人がいたら困るだろうし、
きっとうまくいったんじゃないかなあ。いいアイデアだと思わない?


『らせん階段』(1945)
監督:ロバート・シオドマク 出演:ドロシー・マクガイア ほか
身障者の若い娘ばかり狙ったのは、なんだか酷い話。
ここぞ、という時にあれほど正義をふりかざしていたペリー医者が突然来られなくなるのも納得できない。
犯人もすぐ分かっちゃうし、結末も見えてきちゃう昔のスリラー映画だけど、
みな真面目に人を恐がらせようと頑張っているところがイイ。


『遠い世界のアウトロー』(1986)
監督:ピーター・ワーナー 出演:ロッド・テイラー ほか
カルチャーショックものも文句なし楽しめる設定だけど、
もし現役テキサスのカウボーイ、それも強盗を働いたばかりの
プロのガンマン4人と、それを追う元彼らの仲間で警察の一人が
'80年代へタイムトリップしてしまったら?

そこでもやっぱりひと悶着あったけど、あざやかな銃さばきと
チームワークで現代の悪党をやっつけた上、
探偵事務所まで開いて、すっかり適応してしまうところはさすがU.S.A!
あっぱれの西部劇臭いSFドラマ。


『アーリー・スプリング』(1986)



監督:アストリズ・ヘニング=イェンセン 出演:ソフィ・グロベル ほか
原題は「子供時代の通りで」。珍しいデンマークの映画。
デンマーク語って口の中で飴玉を転がしているようなフシギな響き。
子どもでもないし、大人の仲間にも入れてもらえない年頃。
貧民地区のウサギ小屋で暮らす夫婦と兄とエスター。

窓から星を眺め、ロウソクの炎でロマンティックな詩を書き、
勝手に美化した想像で頭を一杯にする。
なんだか少女の根源を描いていて、今見てもどこかくすぐられてる感じにさせられる。
とくに真っ赤なドレスにカールした髪なんか一度は憧れる理想像だもんね。
夢想にひたってうっとりする主人公のソフィーはどこか気品があってなかなかの適役。
たびたび出る民族行事も面白い見せ場の一つ。


『マダム・ウルフ 奥さまは月夜がお好き』(1989)
監督:マイケル・フィッシャー 出演:スーザン・ブレイクリー ほか
有無を言わさぬB級映画なんだけど、よくもまあ2H近くもかけて
じっくり撮ったもんだと思う、けっこう笑える、
欲求不満の主婦にいいかもしれない狼男の呪い?!
平凡な主婦が全身毛むくじゃらのオオカミに変身してパニックになるところや、
ホラーファンの娘とフリークの友だちがウルフマンと対決しようとするところなんか
あっけらかんとした現代のファミリーを扱ったコメディでなかなかのもの。


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notes and movies(1992 part4)

2012-10-17 11:55:49 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。part3のつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『足ながおじさん』(1955)
監督:ジーン・ネグレスコ 出演:フレッド・アステア、レスリー・キャロン ほか
久しぶりにアステアの上品で可笑しなダンスの世界にひたれたって感じ
原作のシンデレラ・ストーリーの良さを引き出しながら、
ちゃんとアステアらしいロマンティックなミュージカルになっているところがイイ。
レスリーが一風変わった野生的な魅力で、赤・白・黒のステキなドレスをひるがえし、
2人そろってリズムに乗って軽やかなステップを踏むダンスシーンも
速いテンポのドラマ部分も同じくらいステキな映画らしい映画


『SUGARLAND EXPRESS 続 激突!』(1974)
監督:スティーヴン・スピルバーグ 出演:ゴールディ・ホーン、ベン・ジョンソン、ウィリアム・アザートン ほか
「続」とはなっていて、視点が変わっているところは似ているけれども、本題の通りまったく別物。
ウィリアム・アザートンシリーズ第2弾だが、まだ若いのなんの!
ホーンも持ち前のヤンキーぶりでガムをクチャクチャ噛みながら、
軽いノリでカージャックしたかと思えば、赤ん坊を真剣に取り返そうとする姿は
犯罪と言えどもやっぱり同情したくなる。
はじめ銃で脅されていた警官が次第に情が移り、しまいには2人をかばおうとさえする変わり様がイイ。
筋を通して2人の約束を守ろうとする警部の渋さも光る。

それにしても、アメリカって変な国。
すっかりお祭り騒ぎでパトカーの周りに群がったり、
積極的に若い夫婦に加勢しようとするところなんか、日本じゃとても考えられない。
国境を越えれば、すぐ目の前にいてももう手が出せなくなるって感覚も日本人にはないし。

スピルバーグは、やっぱり私たちに同情させようとしたのかしら?
あっさり銃で片付けてしまう警察のやり口や、途中GSを荒らしてゆく様子、
賞金稼ぎみたいな連中等々、重要なシーンがいくつか見える。
ジーンは「刑務所に入って変わったのかもね」と言っている。
入らなかったら、まだスリなどをしていたかも知れないし、
もしかしたら違っていたかも知れない。
とにかくこの映画は実話に基づいているという。
やっぱり変な国だなあ、アメリカって、この世界って


『私がウォシャウスキー』(1991)
出演:キャスリーン・ターナー ほか
なにかを問いただすって感じじゃない完全娯楽版のストレス解消もってこい、ワンダーウーマン映画!
ファンとしては、ターナーのセクシーなシーンももっと観たいけど、
彼女いわく合気道の腕に自信があるゆえに、探偵というよりも野次馬おばさんみたいなノリで
どこでもヅカヅカのりこんでしまうウォシャウスキー。
彼女がラッキーなのは、警部が父の同僚で、恋人が腕利きの記者、
そんでもって暴力団員のボスが、なんとスクール時代のクラスメイトときたもんだから仕事もやりやすいわけ
本当にこんな風に悪党どもをバキバキやっつけてくれる女性(それもセクシーボディの)ばかりになったら、
同性としちゃ頼もしい限りだけど、まだまだ世の中そんなにうまくはいかない。
でも映画なら実現してしまう!そこがきっと狙い目なのね。


『デビル・ドール』(1986)
監督:ローランド・エメリッヒ 出演:ジョシュア・モレル ほか
西ドイツの監督さんだけあって、ちょっと異色。
少女の言う通り“日の出”のように美しい“死の光”。
あれは『ブレインストーム』で究極の映像化がされたが、
なんて荘厳で穏やかな世界だろうと思わず誘い込まれる。
「死という世界は存在しないのだ」という博士のセリフの意味は何なのか!?
この悪霊の目的は最後までわからないが、少年は父とともにいて、
彼の死はそう悲しいものには描かれていない。
ほとんど夜か、暗い屋内の場面なので画面が暗すぎる。
シネマスクリーンだけど、やはり邪悪なものがうごめくのは
日中よりも、何かを隠すには絶好の夜がふさわしいのかも知れない。


『NIGHTMARE~デビルゾーン』(1983)
監督:ジョセフ・サージェント 出演:エミリオ・エステヴェス ほか
chapter one トパンガの恐怖
やっぱタバコの吸いすぎはよくないよ。

chapter two 戦うビショップ
4話のうち一番面白かった。
エステベスは初期作品なのに、もうしっかり俳優している。
『世にも奇妙な物語』のノリで、現代のゲームセンター通いの少年らに見せてあげたい感じ。
のめりこんでゆくエミリオの異常な演技がイイ。

chapter three 祝福
不気味なクルマが生きているみたいに襲う場面は『激突!』にソックリ。

chapter four ネズミの夜
人間も化け物ネズミも子を思う親の気持ちはいっしょ!?


『黄昏のチャイナタウン』(1990)
監督・出演:ジャック・ニコルソン 出演:ハーベイ・カイテル、メグ・ティリーフレデリック・フォレスト ほか
前作『チャイナタウン』もそうだけど、こんなに理解に苦しむ複雑なストーリーと展開の作品も珍しい。
前作がポランスキー監督で、16年も経ってから今度は主演のニコルソン自身が、
まったくその雰囲気を崩さないで完璧に続編をつくっているのには驚いた。
ああ、うまく説明できない。だってストーリーの半分も理解出来なかったんだもの。
ニコルソンが入れ込んだだけあって、人生の渋みの境地みたいな作品なのよね。
あたしも、あと20~30年経って、もう一度この2本を観直したら、
もうちょっと共感できるものが見つかると思う。
なんといってもキャストがイイって、今のところこれしか言えない。
'90年に撮ったとは思えない時代感がスゴイ。


『The Collector』(1985)
終身刑まで覚悟してかかってきては、迷惑どころじゃないよね。
また次の標的を探し始めるってのは、近頃多い異常犯みたいなノリ。
でも、どこか紳士的で芸術的、ロマンティックな異常犯だから憎めない?
でも、人間には誰にでも自由に生きる権利と日照権てものがあるのよ。
何でも揃っていたって、ジメジメした地下室に閉じ込められていたら、
美しい蝶もその美しさを失ってしまうってことに気付いて欲しいなあ。


『ハンナとその姉妹』(1986)
監督:ウディ・アレン 出演:ミア・ファロー、マイケル・ケイン、ダイアン・ウィースト、バーバラ・ハーシー ほか
いつもN.Y.をどの街より鮮やかに、繊細に描き出す、人情味あふれるアレンの作品。
『インテリア』でも創作活動にかける3人姉妹が出てくるけれども、
今作にはそれほどストーリーに暗さがなく、完璧でない人間の温かみや
迷いながら探し物をゆっくり一つずつ見つけてゆく人生の面白味みたいなことを伝えてくれている。
この作品でダイアンとケインは、それぞれオスカーをとっている。
それほど目立たない作品だけど、身近な笑いや問題、不安、夢等々を
自然に演じ、自然に撮っているところがいいのかも知れない。


『ウディ・アレンの影と霧』(1992)

 

監督:ウディ・アレン 出演:ミア・ファロー ほか
白と黒の世界。
でもアレン作品なら現代のモノクロ映画としての意味があってしっかりと楽しめちゃう。
だてに長いことたくさんの映画を撮ってるわけじゃないんだよね。
一作一作に愛着や思いいれがこっちに伝わってくる。

売春宿にいりびたる大学生役にジョン・キューザック、
そこの売春婦にジョディ・フォスター、キャシー・ベイツら、
サーカス団のピエロ役にはジョン・マルコビッチ、
同じ団員のブランコ乗りの美女にマドンナ、
とにかくのっている役者がそれぞれの持ち味を充分に出している。

ラスト近くのマジシャンのセリフ
「みな妥協という灰色の帽子をかぶるんだ」
「みなイリュージョンを必要としているのさ。空気と同じにね」
アレンの今現在のメッセージをのぞかせている。

理屈っぽいアレンと、ボーっとしたファローの絶妙のコンビ、
これからもこの2人の作品を観ていたいけど・・・。
サーカスを扱って、ヒューマンストーリーを語り、
終わった後もなんともいえない余韻が残るあたり、
ちょっとフェリーニ風とも言えるこの一作。


『ラブ・ポジション』(1985)
原作:手塚治虫 監督:井上秀治 
ハレー彗星に託された地球存続の願い。
ターミネーターのようなノリの絶対悪は、エイズか環境破壊か?
ベトコンとの決死の戦闘から逃れ、廃墟に住む森の妖精のような美少女との出逢い、
そして戦争という愚かな行為と緑の破壊を悲しみで訴えるあたり、
ロマンティックであり、悲観的ムードは手塚治虫のスケールの大きいアニメならではの魅力。
しかし地球破壊のために送られたにしては、ラミーナはか弱すぎるのでは?
思わずこの美しい惑星を気に入ってしまった彼女が選んだ住処が
ベトナムのジャングル地帯であったという設定はスゴイ。

コメント

notes and movies(1992 part5)

2012-10-17 11:55:48 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。part4のつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『バンパイア・イン・ベニス』(1988)
監督:アウグスト・カミニート 出演:クラウス・キンスキー、クリストファー・プラマー ほか
噂のキンスキーの吸血鬼。
不吉な死臭漂う町から町へと彷徨する不死・永遠の命を持つ悪の化身。
バンパイア、ドラキュラという怪物がこれほどまで人々の心を妖しく魅了し続けるのは、
彼らが誰より本当に「若さ」のもつ美しさと、その儚さ、愛よりも悪のはびこる世の中、
そして一人ひとりの心の奥底に必ず潜んでいる黒い穴の存在を知っているからではないだろうか?
ああ実は忌々しい野球中継の延長でラストが切れてたの
不気味な愛を実らせた二人、ヴェニスの濃霧に消え入った後、一体どーなったのかしら?
いまだに暗黒の影-ペストの死の気配が漂うヴェニスの雰囲気が印象的。


『D.O.A.』(1988)
監督:ロッキー・モートン、アナベル・ヤング 出演:デニス・クエイド、メグ・ライアン ほか
小説が当たると大学教授に大歓迎で迎えられる、という仕組みも変わっているけど、
二転三転した挙句、無意味な殺人を繰り返したなんて、
犯人はよっぽどイカレてるとしかいいようがない結末。
メグは今回は脇役に徹して、一時のロマンスを求めて教授に近付くありがちな女生徒をキュートに演じている。
書けない小説家がどんなに苦しいか、家庭も仕事もあったもんじゃない。
毒がたやすく手に入る病院も危ないっ


『サムソンとデリラ』(1950)
監督:セシル・B・デミル 出演:ヴィクター・マチュア ほか
聖書伝説らしい精神的な美しさ、そして大スペクタクルに不可欠な映像美がある。


『魔人ドラキュラ』(1931)
監督:トッド・ブラウニング 出演:ベラ・ルゴシ ほか
元祖ドラキュラ映画って感じ。
モダン化されたもの、コミカルなもの、もっとエキサイティング、よりセクシーに脚色されたもの、
現在までにあらゆるヴァンパイアものの映画が撮られたけれども、
このモノクロ作品は当時ドラキュラ伝説が出来上がった原因と言われる
ドラキュラ伯爵の冷酷さ、イギリスを襲ったペストの悲惨さ、
民族同士の紛争等々あらゆるものから、純粋に、そしてじわじわと近付く恐怖感が
この永遠なる美しいモンスターを生み出し、映像化されている。

ドラキュラを演じる役者もオールバックの黒髪、黒いマント、
なにより青白い貴族の顔に光る魔性のまなざしと
後々キャラクター化された元々の原型なのが嬉しい。

今回、新たに分かったのは、彼の下僕は虫を食べるのが好きで、
誰より彼の服従者であるのに妙に人間的で危機を人に漏らす癖があること。
今作品では、トランシルベニアの古城からロンドンへ渡って、
吸血鬼研究家との戦いに敗れるまでを描いている。


『疑惑の銃弾 ボストンの怪』(1990)
監督:ジェラルド・フリードマン 出演:ケン・コーリー ほか
原題の直訳は「妻よやすらかに眠れ」だそうだ。
'89に起こった実際の事件を元にした'90の作品とあって、まだ生々しい。
全国民が関心を寄せた事件で、今作もそれにできるかぎり沿った形で展開させているだろうけど、
いまいち妻、それも妊婦である女性を自分の手で殺めてまで保険金を狙った夫の動機が
本当にこのような空虚でいやしいものだったのかというところが気にかかる。
まったくクダラナイからこそ恐いとも言える。
冷酷な夫役を淡々と演じたケン・コーリーにはちょっとした勇気がある。


『REDS』(1981)

 

監督・出演:ウォーレン・ビーティ 出演:ダイアン・キートン、ジャック・ニコルソン ほか
久々に大作を観た。ウォーレンの作品でこれが初めて。彼も若かったし、ほかの皆も若い!
低賃金・重労働な労働者階級層の過酷な歴史と、これからも一向に好転しない条件を
変えようとした腕利きジャーナリストのジャックと、彼を取り巻く人間、19世紀初頭の話。

レッドが共産主義者とか過激派、革命派などの意味を持つことをこれで初めて知った。
わたしの世代は戦争どころか革命すら実際どんなものかまったく想像もできない。
だけど、今作を観ていると、なんて活き活きして積極的に生命を賭けた時代なんだと思ってしまう。
たとえ、その革命自体の意味がどうであれ。

彼の妻となるルイーズは、進歩的な考えを持った自由恋愛論を唱える女性。
今じゃ当然のことも、昔はいちいち一歩踏み出して変革を起こさないとならないことばかりだったらしい。
今作を政治的に解釈するより、壮大な時代背景の上に成り立ったロマンスストーリーとして観た。

ユージン役のニコルソンがとにかくイイ。
過激な発言でまくしたてるジャックと対照的に、いつも一人残される孤独な妻ルイーズを真に理解し、
“宇宙の中心”とまで愛して、静かに演じているのに胸が張り裂けそうに痛むシーンが何度もあった。
これほどまでジャックを駆り立てたのは何だったのだろう。
人々はもう誰もそんな革命家がいたことを語りもせず、忘れてしまったというのに。

♪もうあなたのうちへは行かない もう嫌いよ
 遊びにきても もう地下室へはいれない
 樽遊びも リンゴの木登りもさせない
 あなたのうちへも行かない
 優しくしてくれないのなら

(この曲は「2355」でも紹介した♪I don't want to play in your yard
 これで小さいノートシリーズはラスト。

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