メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『ステキな金縛り』(2011)

2012-10-29 15:22:07 | 映画
『ステキな金縛り』(2011)
監督・脚本:三谷幸喜
出演:深津絵里、西田敏行、阿部寛、中井貴一、KAN、竹内結子(一人二役)、山本耕史、浅野忠信、市村正親、草剛、木下隆行(TKO)、小日向文世、生瀬勝久

こんな突拍子もないアイデアをずぅっと温めていた三谷さんてばほんと面白い人だなあ
オープニングのアートワ-クは監督の好み?
人声によるコーラスの冒頭もイタリアンホラーファンにはたまらない。

クサイ役者役で佐藤浩市、コールガール役で篠原涼子、医者役で唐沢寿明などなど、三谷組も総出演v

▼story
父が有能な法律家だったが、自らはドジな三流弁護士のエミ。
「最後のチャンスだ」と回ってきた面倒臭い案件は、
殺された矢部鈴子の重要参考人である夫のアリバイがあやふやで、
唯一の証人が金縛りにあった際の落ち武者だということ。
エミはなんとか落ち武者の存在を裁判長や検事に認めてもらうべく
あらゆる策を講じるが・・・


「己を信ぜずして、誰が信ずるか」

被害者が答弁してくれたら、すべての事件がスムーズに解決するだろうな。
でも待てよ。被害者が誰かをかばってウソをついたとしたら???
やはり、人が人を裁くのは難しいことだ。

霊は昼間出られないとか、心霊写真に写りこむには手だけなら○ポイント、
顔なら○ポイントなんてポイント制になってるとかのルールも可笑しい
きっと劇場は観客の笑いであふれただろうなと容易に想像できる。
海外のお客さんの姿も映っていたけど、これなら世界に通じる笑いだと納得。

エンドロールの最後の最後までたっぷり楽しませてくれるのが三谷流/爆
一緒に流れているテーマ曲も作詞が三谷さん、歌っているのが出演者だし

特典の「場面選択」で見てたら、また見返したくなって、
アベちゃんが幽霊になっちゃうシーンや、タクシー運転手の生瀬さんのシーンとか
何度も観て、また笑ってしまった。

死ぬことが生きることの延長線上でしかないことをエンタテイメントで見せてくれる映画。
受け取り方によってはすごい深い作品。


追。
ラブラドールのラブ君可愛かったあ!ここでわんこを使うのはズルい


コメント

notes and movies(1993~ part1)

2012-10-29 14:46:43 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
スクラップブックから10作ずつのご紹介。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『3人の逃亡者』(1988)
監督:フランシス・ヴェベール 出演:ニック・ノルティ、マーティン・ショート ほか
米仏でもしっかり成り立つ人情味あふれるおかしな組み合わせの逃亡者の話。
ショートのドタバタ演技と、ノルティの職人技演技、ピュアな女の子のミスマッチが笑える。
フランスの監督が当てた映画をアメリカ版にリメイクして、
そっちも当てちゃうなんて面白いシチュエーション。
仏版のルーカスをドパルデューがどう演じているかも大いに興味あり。


『血と砂』(1989)
監督:ハヴィエル・エロリエータ 出演:シャロン・ストーン ほか
闘牛というスペインの独特なスポーツ(と言えるのか?)を理解していないと、
なんだか奇妙で陳腐な昼メロに見えてくる。
国民気質の違いがストーリー展開や、ちょっとしたシーンにもあって
なんだか変な感じを所々受ける。
どんなのが美しいフォームなのか、皆で白い布を振るのは何の合図なのか、
闘牛士の地位や人気がスペインでそれほど高いのはなぜなのか?

もうすっかり悪女役でならしているストーン。
でも、悪女がこれほどもてはやされてるのも闘牛と同じくらいフシギ。
危険な女との危険な関係。それでも惹かれてゆく、その定義って一体何なんだろう?


『夢』(1990)



監督:黒澤明 出演:寺尾聰、賠賞美津子、原田美枝子、マーティン・スコセッシ、笠智衆 ほか
黒澤明の見る夢だけあって時代が感じられ、それぞれに重みが感じられる。
これらを夢判断したら一体どんな心象解析が得られるだろうか?
夢独特の、唐突なのに、本人には分かり過ぎるほど分かっている場所と状況、
後から考えればフシギキテレツなのに、その時は当然に思える擬似現実の世界とストーリー展開。
他人の夢の世界がそのまま映像として他の人間が観れるなんてやっぱり大監督たるゆえん。

「日照り雨」
狐が所々でキッと辺りをうかがうような行進が印象的。

「桃畑」
黒澤作品には日本独特の衣装と音楽がピッタリはまる。
美枝子さんもどれだか分からない人形の顔と化している。

「雪あらし」
まるで生きているかのような雪女の黒髪が顔中に絡みつくシーンはすさまじい。

「トンネル」
現代と戦時中の価値観のあまりの違いに恐怖を感じた。

「鴉」
ゴッホの絵の中にとりこまれてしまうシーンは一体どうゆう映像処理技術が使われたのか?
スコセッシのゴッホ演技もなかなか。タイムパラドックスを覚える。

「赤富士」「鬼哭」
富士の噴火に放射能で鬼と化した人々、荒れ果てた大地、なんだか空虚でどこまでも空しい感じ。

「水車のある村」
私は本当の眠りの世界におちてしまった。。


『地獄の女アンドロイド』(1991)
監督:アーネスト・ファリーノ 出演:クレア・レン ほか
いかにも木曜洋画劇場で選びそうな題材だけど、飽きずに作られ、
放映されるということは、今も昔もレイプ犯罪が存在し、
解決されないままもみ消されるケースが多いってことを意味しているから。
これだけ精巧で感情まであるアンドロイドが作れたら、
使いようによってはボランティアにも犯罪撲滅にも利用できるのに、
兄弟愛の悲しい殺人劇に使われるのは本当に残念。


『ブルー・スチール』(1990)
監督:キャスリン・ビグロウ 出演:ジェイミー・リー・カーティス、クランシー・ブラウン ほか
銃を持って戦うヒロインといえば『ニキータ』のほうがずっと完成された感があるけれども、
日本の婦人警官のイメージは違法駐車の取り締まりくらいなのに、
犯罪都市N.Y.で婦人警官をやろうなんて、生半可な気持ちじゃ絶対ムリな話。
銃によって人間が狂気に変わったり、たった1つの弾丸で人間一人が殺せちゃうんだから、
全く手軽な殺人武器がたやすく手に入る時代よね。


『愛は霧のかなたに』(1988)
監督:マイケル・アプテッド 出演:シガニー・ウィーバー ほか
黒いいかつい顔に毛むくじゃらの体。人間に似た動作だけでなく、
その心もしっかり持っているマウンテンゴリラに魅せられたアメリカ人女性が一人で、
ジャングルの中で、原住民らと共にゴリラの生態に迫ろうとして、
密猟者や政府、内乱などと戦い抜いた半生を見事に再現して見せてくれている。
ゴリラとのふれあいのシーンはまさに圧巻。

彼らを単なる獣としかみなさず、虐殺を繰り返し、
動物園に高く売り飛ばし、中には、その手を灰皿に使う
そうしてゴリラだけでなく、どれだけ多くの野生動物たちを絶滅の危機においやってきたのか。
その背景には、人々の慢性的な貧困もあり、生きるために動物を殺すという
簡単には解決できない問題もはらんでいる。
自分の仕事の都合でダイアンから去ったボブも彼女の視点から見ればアンフェアな気がした。


『炎のグレートコマンド 地獄城の大冒険』(1985)
監督:ポール・ヴァーホーヴェン 出演:ルドガー・ハウアー、ジェニファー・ジェイソン・リー ほか
16世紀のヨーロッパがこんなに野蛮に描かれているのは監督のせいだけだろうか?
妙に生々しい血と血の争いと性描写とセリフが日本の時代劇を思わせる。
ジェイソン・リーがまだ出たての頃で汚れ役に近い体当たりの演技を見せている。
アグネスの、一見純真そうでいて、平気で嘘を言う小悪魔的なところが面白い。

ハウアーの、悪のヒーローになりきれない役どころも味があって彼らしい。
頭でっかちそうで実は勇気ある若き紳士であり戦士でもあるスティーヴン役のバーリンソンも魅力的。
触れただけでたちまち死にいたる伝染病ペストが大勢の人間を殺したのは全く恐ろしい事実だと分かる。
ロクな治療法もなかった中世。やっぱり現代に生まれてつくづく良かった。


『ベビーシッター・アドベンチャー』(1987)
監督:クリス・コロンバス 出演:エリザベス・シュー ほか
夜の危険区域でも会う人なぜか助けてくれるのはシューのキュートさのせい?
黒人だけのバーで♪baby sittting blues を歌いあげちゃうシーンはイイ。


『ウェドロック』(1991)
監督:ルイス・ティーグ 出演:ルドガー・ハウアー、ミミ・ロジャース、ジョアン・チェン ほか
アメリカ映画のアクションでもハウアーが演じると一味違った趣になる。
スマートでもなく、特別ハンサムでもなく、ブロンドもキチンとなでつけるでもなく、
でもやっぱりハウアーだと他にはない味がある。
ジョアン・チェンは『ツイン・ピークス』同様、悪女役だが、
今回は徹底的に女の武器を利用した裏切り女を演じている。

SF、フィクションならずとも実際使えそうな気もするけど、
刑務所内の暴力、所員の堕落がそのままじゃしょうがない。
機械にコントロールされ、何度も首が吹っ飛びそうになる、
とにかくハウアーとロジャースが走ること、走ること。大脱走の物語。


『戦慄のレッド・ボーダー 暗殺への報酬』(1989)
監督:オール・ブナビック 出演:マーティン・シーン ほか
CIAとKGBの陰の取引に巻き込まれた刑事2人。
シーンの渋い演技がメイン。特に元妻と再会するロマンスのシーンはぎこちなさがイイ。
オントキーンは『ツイン・ピークス』と微妙に違った警官役。警官の妻ってハードだね。
ラスト「これはまだ終わってはいない」というセリフが暗示的。

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notes and movies(1993~ part2)

2012-10-29 14:46:42 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part1からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『フェリーニの道化師』(1970)
監督:フェデリコ・フェリーニ 出演:アニタ・エクバーグ ほか
TV用にはとってももったいない、フェリーニのサーカス、団員たち、
特に道化師たちへの想いあふれんばかりの一作。
子どもの頃、初めて見る道化師たちのドタバタ騒ぎに泣いてしまったエピソード、
彼らは町にいる小人の駅員や浮浪者等を思い起こさせたと言うシーン、
1900年頃全盛を極めたサーカス、有名な道化師らは今どこに?と
スタッフ、フェリーニ自身も一緒にイタリアからフランスまで捜し歩くくだり。

観客席には誰もない。観客はブラウン管を隔てた私たちだ。
直接拍手や笑いを届けてやれないのが残念だが、この命を賭けたショーは半永久的に残る。
どこか薄幸で、人生を皮肉と荒唐無稽の芸に変えて私たちを笑わせる道化師は
現代のメディアに本当に必要のない存在なのだろうか?と改めて想いを募らせる作品。


『のるかそるか』(1989)
監督:ジョー・ピトカ 出演:リチャード・ドレイファス、テリー・ガー ほか
単純なストーリーだけに、これだけツキまくる奴がいたらやっぱり見てて爽快!
賭け事の仕組みはよく分からないけど、誰も賭けない穴馬ばかり狙う
あり得なさそうで、映画ではなんでもありの皮肉がチラリ。
ドレイファスとテリーの息の合った夫婦ぶりもイイし、
ヴィッキーも頭は軽いがコケティッシュな役でイイ。
究極の賭けに人情や本性がチラッと見える演出もなかなか。


『TOMMY』(1975)

 

監督:ケン・ラッセル 出演:ロジャー・ダルトリー、エルトン・ジョン ほか
やってくれます、ラッセルのロックオペラ(こんなジャンルがあったの
クラプトンがマリリンを崇拝する伝道師!
ティナ・ターナーがもっと妖しげなアシッド・クイーンをダイナミックにプレイ!
エルトン・ジョンは相変わらず素っ頓狂な格好でピンボール界の元王者をプレイ!
セクシーなアン・オリヴァーは実力派だが舞台俳優か?
ロックの世界を体現したような2時間たっぷり、どのシーンにも笑いあり、涙あり、
ブラックユーモアあり、自由、愛、あらゆる要素があふれた傑作!

See me, feel me/The Who


『ザ・フラッシュ2』(1991)
監督:ダニー・ビルソン 出演:ジョン・ウェズリー、マーク・ハミル ほか
1を観てないから、なんだかよく分からないけど、
ヒーローの割にコミカルで、フラッシュの正体であるバリーも
今っぽいフツーの男だったりするから親しみが湧いちゃう。
セントラルシティの住民しか助けてくれないのか、そこに住んでいて、助ける事故もローカルなものが多い。
スーパーマンほど人々の間で知名度は高くなく、信じていない人もたくさんいる。

彼と対決するのは、降って沸いたように現れた迷惑な奴、ジェシー自称トリックスター。
『スターウォーズ』のヒーロー役のハミルが当時40歳にして、人間を捨てたような怪演ぶり
思い切り恥ずかしいコスチュームは『ひょうきん族』に通じるものがある
その七変化ぶりは、こんなに芸達者だったのかとビックリ。
その正体は単なる目立ちたがり屋なのかも。
今までのヒーローものとはちょっと味が違うフシギな世界。


『スキャナーズ2』(1990)
監督:クリスチャン・デュゲイ 出演:デヴィッド・ヒューレット ほか
サイキックパワーによって体がブクブクになっちゃうSFXがよりエキサイティング。
悪玉のスキャナーが強烈で、ラストシーンもスゴイ!
デヴィッドがいかにもあどけないルックスで正義のヒーローとして戦うところが今作のポイント。
「街には手術が必要だ。助けないと街は死んでしまうんだ」と
異常なまでに犯罪に執着するフォレスター役のポントンの
狂気に満ちているのにフシギとカッコイイ悪役ぶりも現代にマッチしていて恐い。


『ターナー&フーチ』(1989)
監督:ロジャー・スポティスウッド 出演:トム・ハンクス ほか
完全潔癖症のターナーの家中をひっちゃかめっちゃかにして
まるで悪魔のような顔で唾をそこいら中に撒き散らしまくる犬フーチ。
メロドラマにハードボイルドまでこなしちゃうハンクスも顔負けの俳優犬
とでもゆうべきこの犬のキャスティングには脱帽。
『メイド・イン・ヘヴン』のメア・ウィニンガムも久々に登場してるし、
ハンクスのどこかにいそうな兄ちゃん的魅力と潔癖症の演技も笑える。


『グロリア』(1980)
監督:ジョン・カサヴェテス 出演:ジーナ・ローランズ ほか
女によるハードボイルド。ストーリーはシンプルなもの。
メインはやはり男の子とグロリアとのやりとり。
タフで気が強い女が拳銃を撃ちまくって組織と対向する一方で、
元愛人のボスに掛け合う時は髪を直して女に戻るところなんかニクイ演出。
終始走りまくったローランズもスゴイけど、6歳でちゃんと演技してるジョン・アダムスもスゴイ。


『ふたりのベロニカ』(1991)



監督:クシシュトフ・キェシロフスキ 出演:イレーヌ・ジャコブ ほか
はじめから終わりまでメランコリックなセピア色の映像で不可思議な世界。
まるで双子の間にある目に見えない結びつきを映像化したよう。
「わたしの何が知りたい?」「全て」と言われて
バッグの中身を全部見せるシーン等々、フランス人のセンスがいきてる。
終始流れるオランダ作曲家のメロディも崇高で感動的。
ラストがちょっとあっけないがイレーヌの新鮮で自然な魅力がやはり見どころ。


『シザース』(1990)
監督:フランク・デ・フェリッタ 出演:シャロン・ストーン ほか
今やすっかりアメリカでは1つの職業として定着しているサイコセラピスト。
大勢の人間が話すことでストレスや心の病を解消させる場として利用しているけれど、過信は考えもの。
セラピストも同じ人間であるからこそ、相手の心理を深く理解できるんであって、
その人自身も同じ心の病にかからないなどと誰がいえよう。

ましてや、毎日毎日人々のはけ口としての役目を繰り返すことで
言ってみれば絶えず客観的立場に立ち、ハマってはならない異常な環境の中、
精神科医たちは日々どうやって心のバランスをはかっているかとてもフシギ。

シャロンがうってかわったイメージで、人形好きで、異性恐怖症におちいっている役を演じる。
一見現代風の部屋が出口のない牢獄と化し、閉じ込められ、
次第に精神を操られてゆく過程がメイン。犯人当てにも面白いかも。


『M★A★S★H』(1970)
監督:ロバート・アルトマン 出演:ドナルド・サザーランド ほか
男だけで集めればあすこまで動物的になるものかね。
ロバート・デュバルが若い! といってもすでに髪はないけど
聖書フリークでヘボ医者役だけど白衣も似合う。

彼らの言う「軍事人間」同士のカップルの密会を放送しちゃう趣味の悪さ。
日本へも飛んで、ここが一番最悪。
例のごとく中国人とも異星人とも区別のつかない勘違い。
意味不明の会話ありーの、奴隷化したバカっぽい若者ありーの、
これをこのまま信じてくれちゃ本当困るよ
なぜかずっとラジオから流れてる戦争賛歌(怪しい日本の歌)やら、
実際戦争体験者にしか分からなそうなマニアックな裏の笑いの世界だろうが、
わたしには全然笑えなかった。終わり方だけ気に入った。
サザランドの濃いキャラを筆頭に、トム・スケリット、デュヴァルなど
渋いベテラン俳優の前衛的な出世作ということに注目。


これでスクラップブックは全部記録したかもv

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