私は不器用である。
機械操作もいたって苦手である。
自動車教習所でも普通以上に時間がかかって免許を取得している。
路上教習前の仮免許では、2回も実技試験で落ちている。
その内の一回は、教習所内のコースに設置されている信号機が黄色になっていたので
アクセルを踏んで、交差点を出来るだけはやく過ぎようとした運転行為により失格。
路上教習では、交差点内でエンスト。
マニュアルの変速機がうまく入らなくて
ギアをギイギイ、ガリガリと入れることを試みながら
一般車両に迷惑をかけた教習など例をあげればきりがない。
さて、そんな不器用な私だからこそ、
過度な速度超過や
無謀な運転は殆どしない。
今まで乗ってきている車も、スピードがでない実用的な車ばかりである。
そのような慎重な私が今までに一度だけ自動車で事故をおこしたことがある。
ずっとずっと前の話であるが・・、
あの時のことは今でも忘れられない。
その事故では他者にケガを負わせたわけでも、
自分が大怪我をしたわけでもないのだが・・。
先頭で停止していた私の後続車両からのクラクション。
それに驚いた私は、幹線道路に出るために
慌てて左折しようと車を進めたところ
幹線道路を走っていた車の後部に接触してしまった。
相手の車は時速制限を守って運転していた。
私の車も殆どスピードが出ていない状態で接触。
そこまでは、不注意による、
よくある交通事故のパターンかもしれない。
私にとっては、そこからが恐怖の始まりだった。
なんと、相手の車は教習車。
相手の運転手は路上教習中。
助手席の教官は、私を罵倒。
途中から加わった警察官も教官と同じ口調で私を攻め始めた。
通常の交通事故であれば、
警察の現場検証が終わればその場で一時開放されるはずであるが・・。
路上教習指導中の教官から、
○○自動車学校まで同行するように言われ、
そのまま自動車学校へむかった。
事務所に到着後、
私は自動車教習所にいる複数の教官の中に放り込まれてしまった。
何を言われたのか。
その言葉は覚えていないが
とにかく怖い思いをしたことは忘れられない。
今思えば、教官に少しでも落ち度があるとされたら
彼は仕事を失っていたかもしれない。
そうならないために、あのような行動をとったのだろう。
事務所でも住所・氏名・電話番号・職業を書かされた。
職業を書いた際に、彼らの私に対しての扱いが急に柔らかくなった。
仕事を通じての損得を勘案したのかもしれない。
その後、すぐに解放。
あの時の恐怖は忘れられないが、
あの時の路上教習中のドライバーの恐怖は私以上に大きかったに違いない。