震災そして福島原発の影響で、
地下鉄の駅の証明は暗くまるで防空壕のようだ。
消費者マインドも落ち込み都内大手百貨店でも、
売り上げが半減しているそうだ。
同様に居酒屋で一杯やっていく客の減少も大きいそうだ。
職場にはちょうどこの3月に定年を迎えた理科のK先生がいた。
私も若い時からスキーに温泉、
さらに居酒屋で一杯と他の教員以上に仲よくしていただいてきた。
K先生のちょっと抜けているところは嫌みなく魅力的だ。
K先生らしいある事件を紹介しよう。
それはガス風呂事件だ。
現代では「給湯」や「自動」のボタンを押すとお湯が沸く。
しかし昔の風呂は少々違っていた。
一世代前のガス釜は、浴槽に直接ついていたのだ。
ガスの元栓を開き、ハンドルを何周かカチカチと回すと種火に着火。
風呂の水を焚くことができた。
当時、K先生のお宅の風呂が不調。
何回もハンドルを回しても着火しなかったので、
K先生は直接チャッカマンで火をつけることを実行した。
暗いカマを覗き込みながら着火したところ、
小爆発が発生。
怪我はなかったが・・。
覗きこんでいることが災いして
K先生の眉毛と前髪はアフロパーマをかけた様に大規模に縮んでしまった。
部分的に強めのパーマをかけたように髪型が変わってしまっていたのだ。
よく日、K先生を見た生徒や教職員の驚きはご理解いただけると思う。
そんなお茶目な先生である。
K先生は勤続37年。
大学での研究や製薬会社での研究員としての経験もあるK先生は、
高校の先生というよりも大学の研究者の香りがする先生だ。
その出で立ちはイギリスの紳士のようでもある。
纏う洋服は高級デパートで購入されたもの。
さらに帽子も何種類も持っていらっしゃる。
それらは薄い髪を隠す目的を超えて、
すごくオシャレを感じさせる。
K先生と生徒のやり取りはおもしろい。
生徒、「AとBをガラスにいれるとガラスが溶けると模試に出ていたんですが・・。」
先生、「多少の時間いれても大丈夫だよ。入れるものないからビーカーに入れたんだよ。」
所謂「やり手」という方ではなく、
多くの人から好かれる「ほんわかした性格」である。
K先生は大学入試のAO入試の指導では、
高度な専門知識を生徒に伝授して
多くの生徒を難関大学に合格者させてもきた。
例年であれば、永年勤続である場合には3月はお別れ会で忙しい。
しかしながら、今年は震災の影響もありK先生のお別れ会は殆んど開かれなかった。
例年であれば、在校生に向けて退職者の挨拶もあるのだがそれも今年は無かった。
生徒にしてみれば4月を迎えると自然にいなくなっているという感じだろう。
お別れ会でお忙しいでしょうか?と直接聞いてみた。
仁徳の無さだよと笑って返答されていた。
そこで、先日K先生のお別れ会を急遽企画、実行した。
私が最年少である。
O先生、U先生、M先生、A先生。
何十年か前によく行ったうす汚い店で、
熱燗を何本も飲みながら昔話に花を咲かせたしだいである。