最近、気になることがあります。
それは、身の回りにおける心理学用語の多用です。
「見える化」、「メタ認知」、「内発的動機付け」なども
流行言葉のように聞く機会が多くなっています。
特に会議において発言者が強調したい時に専門用語をしがちです。
たぶん格好良く話そうとしているのかもしれません。
あるいは心理学入門書を読んで影響を受けたのかもしれません。
聴衆にその使用頻度の多さを見抜かれているにも関わらず・・。
それはまた、社会的な流行現象あるいはブームのようでもあります。
斉藤環『心理学化する社会』(河出文庫)なるタイトル本も出版されているくらいですから・。
教育現場では、周りとうまく協調できない落ち着きのない生徒に対しては
「アスペルガー的・・」と表現されるとほぼどのような様子の生徒かも想像可能です。
「多動的・・」という専門用語を聞くこともよくあることです。
これも、ひどく落ち着きのない生徒であるといる理解でなんとなくその生徒の行動を想像してしまいがちです。
ちなみに、多動はADHD「注意欠陥多動性障害」が正式名称であり、不注意、衝動性、多動を主体とする障害であると定義付けされています。
また、字が極端にへたな場合にはLD「学習障害」のようだ、
という声もたびたび耳にします。
これは正式には知能には問題がないにもかかわらず、
字を読んだり、計算したりという一部の能力が他に比べて著しく劣っているというのが定義です。
これも何となく勉強が過度に出来ない生徒ということで安易に専門用語のLDを使いがちになる人もいるようです。
ちなみに私はこのような心理学の専門用語をあえて使用しないようにしています。
その理由は簡単です。
つまり自分の専門とは異なる心理学分野の専門用語。
その定義が判らないで使用することは避けたいからです。
感覚だけで使用すると知らない分野の用語使用は誤解を受けます。
意味を誤って使用したりするリスクは大きなものであり
先入観で生徒を見て判断してしまうリスク回避は避けたいからです。
中学、高校生にもLINEが大流行しています。
その使用者が増えれば、問題も同じように発生します。
問題はそれぞれ異なりますので、ここには書きませんが・・。
携帯電話やスマホに於ける問題に関連して、
「ゲーム脳」理論がゾンビのように蘇って、
ゲーム、携帯電話等の使用者に注意を喚起します。
「ゲームをやると脳に悪影響」「携帯電話の長時間の使用で頭が悪くなる」
これらの論理的な根拠に問題があるにも関わらず、
学校という場ではそれが真実であるように信じられ、
生徒指導、生徒や保護者を説得するのに利用されがちです。
今回は自分へ言い聞かせているような文書となりました。
どうぞ、お許しを。