年度末は指導要録を完成させて、1年が終わることになります。
指導要録とは、生徒の成績、欠席数、その他の担任所見が記入されるなどの公的な原簿です。
それは20年間保存される帳簿であり、病院のカルテのようなものです。
私がこの仕事を始めた頃は、その作成は全て手書きでした。
誤字の修正においては、修正液の使用は認められませんでした。
もし、修正が必要な場合には、
間違えた文字や数字の中央部分に横二本線をひいて、さらに訂正印をおして完了。
それはたいへんな作業でした。
しかし、現代ではコンピュータが学校に導入されるとともに必要事項はキーボード入力。
かつてより随分と作業が軽減されました。
まちがえたら、修正して、再度印刷をすればいいわけですから。
かつては担任所見(正式名は総合所見及び指導上参考となる諸事項)において
担任教諭は、思うままにその該当生徒の行動や性格について自由に書いていました。
性格の悪さなどの記入については文字を書くことで日頃のストレスも発散されていたかもしれません。
問題行動をおこす生徒や優等生に関しては自然に文字数が伸びました。
しかし、今は違います。
外部からの指導要録開示請求に備えての完全防御。
誰からのクレームが来ない様に基本的には当たり障りのない表現での記述をしているのが現状です。
さて、そのような指導要録の担任所見には取得資格や特技などを記入します。
明確な規定は無いのですが、「特技」は「趣味・特技」と趣味が加わってワンセットにしての記入例が学内で示されます。
趣味と特技の両方を書くことが自然に求められているのです。
そこで、情報収集を目的に生徒に趣味、特技、委員会、部活動などのアンケートの記入をさせます。
すると、回収されたアンケート用紙の「趣味」欄にはさまざまな趣味が書かれます。
「午睡」、「ゲーム」・・。
完成された指導要録の点検をする教員から質問を受けました。
「午睡」は低俗であるとの判断からの質問かと思われました。
趣味が「午睡」はマズイのではないか。
公文書に書くようなものではないのでは。
高級な趣味か、それとも低俗な趣味か?
「ゲーム」表現にも同様に疑問を感じられていました。
たぶん、それは「e-スポーツ」とか、
「ゲームプログラミング」にすれば高級なのでしょうし、
「テレビゲーム」としたら低俗なのかもしれません。
頭の中にはブルデューが浮かびましたが・・。
波風立てたくない私は、質問をしてきた教員に一言の返答。
何らかの疑問が生じるのならば、「修正」していただきましょう。
指導要録の所見欄に「趣味」について書かなくても良いのではないかということを強く思った次第です。