日本の場合、就職活動ではなく就社活動だと言われます。
それは、企業に入ってから経理、営業など様々な業務を経験しながらその企業にとって総合的な力をつけることを人事育成の方針としているからです。
大学を例にとってもその実態は、ほとんどの大学が学務(教務)、経理(会計)、管財、入試広報、図書館などをローテーションしていくジェネラリストとしての育成スタイルです
しかしながら、そのやり方に意義を唱える向きもあります。
それは入試広報や学校広報業務はスペシャリストが担当するべきであるという考え方です。
つまり、それはアメリカと同じように考えたほうが良いのではないかということ。
「アメリカの大学職員は1970年以降に専門職化が進み、学務登録(Registrar)、や学生支援(Student Affaires)、上級管理職(Administrators)などの専門課程が、教育大学院などに設けられた。日本のような人事移動がないので、同じ大学でさまざまな職種に就くのではなく、同じ職種で様々な大学を移りながらキャリアアップする。」小熊英二『日本社会の仕組み』pp.117
仮に入試広報課に配属されて入試業務に一生懸命に取り組んで、受験生の増加など多少の実績を上げても慣例として数年で他の部署に移動するのがどこの大学でも一般的です。
仮にスペシャリストが存在していても電通や博報堂などの広告代理店に勤務していた人をヘッドハンティングするくらいです。
それらの人は、広告や広報に関してのプロ、特にどの媒体を利用して広告を打つかに関してのプロですが学校広報のプロではありません。
大学職員のプロを養成するために設置されたのが学部では大正大学の学校経営マネジメントコースです。
また、桜美林大学の大学院には様々な大学の現職の大学事務員が多く在学するアドミニストレーション研究科があり法人業務も担当するような優秀な学校事務職員が養成されています。
確かに、よくメディアにも登場する東○大学の入試広報のスペシャリストであったSさんは国際教養大学の立ち上げやそのブランディングにも関わり、現在都内の栄養系大学で学校改革に取り組んでおられます。
また、桜美林大学大学院出身のSさんは現場で陣頭指揮をとって組織改革をするスペシャリストです。
山口と諏訪にある大学の公立大学化に動いたのも多分Sさんであろうと思います。
大学も、高校も事務職員の実力に学校の不沈がかかっていること強く感じる今日この頃です。