勤務校では毎年東北被災地(石巻・南三陸地区)への研修旅行を実施してきました。
東北地区での学校交流においてお世話になっている斎藤先生が二冊目の著書を上梓されました。
そのタイトルは『声なき声をつむぐー震災を語り継ぐー』。
内容は被災者の声、全国の防災教育の取り組み、被災者から若者へのメッセージで構成されています。
同書では地震により乗車していた園児バスが燃え上がっての焼死や瓦礫の粉塵での目を痛めたり、ヘドロを飲み込んだために肺炎を発症したことなど私も今まで知らなかったことも多く取り上げられていました。
舞子高校(兵庫県)、桜丘高校(東京)、南平高校(東京)、千川中学(東京)、鶴見橋中学(大阪)、白鷺中学(大阪)、四日市大学、福岡講倫館高校(福岡)の取り組み事例も紹介されています。
私へのインタビューも掲載されていましたので一部ご紹介したいと思います。
P.125 「初年度は2回ぐらい下見にいきましたが、そこにいるだけでショックでしたね。それから匂いが強烈でした。」
P.126「全員が言葉を失ってしまいました。マンションの上に車が乗っかっていたり、船が病院に突き刺さっていましたから。」
P.126「バスから降りて地面でキラキラ光るのがガラスの破片だと気づくと、それぞれに強く感じるものがありました」
p.127「今は人間関係がますます希薄になっている時代ですが、子どもたちは人とのつながりや関わりのなかで成長していくものだと考えています。私は「災間を生きる」という言葉がとても心に残っています。災害と災害の間を生きながら、自分たちが生まれ育った日本の歴史と文化を見つめ直すことのできる人間になってもらいたいです。」
私はこの旅行では現地で被災されたご老人たちとの交流を一つの柱にしてきました。
東北のご老人たちが震災経験を東京の高校生たちに語ることで生まれる「つながり」。
プロ化した震災語り部による被災体験ではなく、口数が少ない田舎のおじいちゃん、おばあちゃんの語りを大切にしてきました。
しかしながら、コロナ禍も鑑みて今年の東北旅行での交流会は中止となりました。
今春の研修旅行では、この著者の斎藤先生の講演や大川小の見学は予定されているようです。
テレビ画像を通してではなく、現地に行くからわかることがまだ残っている旅です。
高3生徒諸君には多くを学んでほしいと思うばかりです。