震災学習でお世話になっている斎藤幸男先生の新刊をご紹介します。
東日本大震災を中心に豪雨・台風災害などの被災者との対話でつづられた一冊です。
寡黙な東北の方からもこちらが聞きたい、または知りたいことをうまく引き出されています。
先生の「聴き取る力」に感服したしだいです。
記憶に残ったことを以下に本文から抜き出してみます。
pp.15「遺体もだんだん傷んできたので、葬儀屋でドライアイスをたくさん買ってきてカチカチに凍るくらいまで入れました。でも日数が経つにつれて何度拭いてあげても眼から血がでてくるんです。」
pp.30「見つかったのが胴体の一部だけだったので、妻と一緒に石巻市内の遺体安置所まで確認に行きました。震災が発生してから5ヶ月も経っていたので、もしも違う人だったらどうしようかと妻と相談しましたが、これも何かの縁かもしれないから自分たちの手で火葬してあげようと決めました。」
pp.99「昔からこの地域では契約講というのがあって、農機具の貸し出しや家長が病気のときに金銭的な助け合いをしてきました。また家の建て替えのときなども相互扶助をしてきたんです。残念なことにそういう経済支援の仕組みは解散してしまったんです。」
「命をつなぐ」、「生きる力」、「支え合う心」、「想定外は想定内」などがインタビューから感じられます。
購読をお勧めします。
加えて、斎藤先生の書かれた『生かされて生きる』(川北選書)を原案にした自主製作映画『有り、触れた、未来』も、ぜひとも映画館でご鑑賞ください。