「カトリックとプロテスタントの混在」というアウクスブルクとそこでの宗教和議を象徴するような聖ウルリヒ・アフラ教会(上の画像は併設されたプロテスタントの方)を見終えた後、マクシミリアン通り北に戻る。
少し歩くとシェッツラー宮殿に到着。
静かな庭で休憩したいところだが、生憎と夕方にはフュッセンに向かわねばならないので、さっそく中のバロック美術館に入る。
中は撮影禁止だったので簡単に紹介すると、著名な画家としてはホルバインが非常に多く、次にクラナハ、ごく一部にデューラーという感じ。全体的に暗い色使いなのが印象的だった。
ところで、特に私の目を引いたのがこちら。
先ほどフッゲライを訪れたが、それを建設したヤーコプ=フッガーの肖像画(デューラー作)である。画像だとなかなか伝わりにくいかもしれないが、絵から精気が漲っていて、「まるで生きているように感じられる」どころか、その前に傅かずにはいられないような心持ちにすらさせるものだった(この絵が実在の人物をある程度正確に写し取ったものであるならば、さぞかしカリスマ性に溢れた人物だったのだろう)。これほどアウラに溢れた絵にはなかなかお目にかかったことがない。
ちなみに、自分がこれまでに強い印象を受けた肖像画はいつくかある。たとえば
チンギス=ハン。その瞳には、それこそ泥水を啜るような苦境に陥りながら、数多の地獄を潜り抜け勝利してきた歴戦の勇士の威厳や冷酷さが刻み込まれ、見る者を射るような鋭さがある(これはオゴタイやフビライのそれと比べれば明らかだ)。こちらも圧倒的カリスマ性を感じるが、フッガーのそれとは違って、「威厳」・「威圧」という要素が強い印象だ。
その意味で言うと、ヤーコプ=フッガーの肖像画から感じた「漲る精気」に近い印象を受けたものは(写真だが)、
山本権兵衛が思い浮かぶ。「ライオン宰相」というと浜口雄幸が有名だが、個人的には山本権兵衛の方が明らかにライオンぽいと思う(笑)。ちなみにこちらの写真はまだ穏やかな方(?)で、横須賀の日露戦争展で見た海軍上層部の集合写真は口元が笑っているのに目つきが鋭すぎてむしろ睨みつけられるより怖い印象を受けた(フッガーとチンギスの中間・・・というとちょっと単純化しすぎか)。
などということを思い出しながら、主に宗教画で彩られた美術館をじっくり見学。さてこれで終わりかと思ったら、どうやら特別展で東西ドイツ統合時の写真集が展示されているらしいので、そちらを見に行くことにした。
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