「灰羽連盟:舞台設定、偶然性、実存」、「灰羽連盟:労働、記憶喪失、実存」の二つで、なぜ実存を根幹とする灰羽連盟(以下「灰羽」)が「宗教的」であるとか「青臭い」ものとして敬遠されなかった理由について考察した。さらに、後者の元となった草稿をも紹介している状況で新しく「覚書」とはこれいかに、と思われるかもしれないが、簡単に言えば記事を書くにあたってアニメを見直した時のメモである。
ところで、前掲の「舞台設定~」では記事を書き始めた文脈に全く言及していなかったので、この機会に簡単に触れておこう。偉そうにあれこれ書いているが、灰羽に関してはずっと長い間もどかしさを感じていた。というのは、本編を二回ほど見て大体イメージが固まった後、これでもう疑問は残らないだろうと「灰羽脚本集」や「灰羽連盟を見る」などを読んだ。例えば前者では突貫工事で話を作っている様子などが見て取れたし、後者では『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』の影響なども含め様々な事が語られ、考察されていた。しかし私には、疑問が解消するどころか、むしろ見当違いな方向に逸れていってしまっている感じさえしたのだった(誤解のないように言っておくが、これは考察の方向性の問題であって、それらの中身がひどいといった意味ではない)。「説明不足」という批判への反論として、「灰羽においては世界の構造を説明していないが、むしろそのことによって成功している」という記事を書いた背景には
次に灰羽の記事を書くときは自分自身に(大きな)変化があった時だ、とまで思っていた。なるさんのおかげ。 恥ずかしい話、LOVE WILL LIGHT THE WAYの記事内容とかすっかり忘れていた。レスできわめて曖昧な反論しかできていないのはそのため。「少し違和感がある」などと白々しい言い回しをしている理由。この曖昧さは本質を捉えそこなっているからだ。
同時進行 あえて脚本集は一切見ない。 そちらに引っ張られて集中できない。 限定した理由。 様々なる意匠
11/17に見終えた。 一話を見て全てが繋がった
発見だらけ。「てゆうか気付けよ・・・」
ネタとして加工されざるをえない 二回目以降はどうしても衝撃は弱まる
青空、ひぐらし
説明不足で材料は揃っていた。納得がいくまで書かない。書くこと(情報増)によって、ますます離れていく?単純化→同じ目線で見れるからこそ、それが荒削りに見えながらも「なんとなくいい話」と受け取られる(〓大上段、キャラ無害化)。設定をあれこれ考察して通時的?な視点を離れることで登場人物の眼差しと乖離しまえば、この作品の根幹となる実存の描き方とその受け取られ方という本質的な要素を見失わせる。宗教を広める気はさらさらないが、それが果たしてきた機能に目を向けることなしに拒絶するのは、盲人が絵を駄作と決め付けるがごとき愚行だ
何を意識して見ようとしたのか。
<灰羽第1話>
〇最初:水⇒空⇒違和感の自覚⇒カラスが助ける⇒町が見える=つかみはOK
〇レキの顔見えず、輪っかのみ視界に入る⇒羽や光輪が見えてタバコがクローズアップ(次々と興味を引く を見せていく)
〇チャリにスクーター?どんな世界なの?と引き付ける
〇「私たちが何者なのか誰にもわからない」「家に帰りたい」「普通の女の子なのに」
〇身を賭したレキの行動⇒血⇒痛みによる生々しさ⇒清らかな天使のイメージ×
〇微笑ましいやり取りの中にレキの指の噛み跡が何度も映される
〇二項対立的×⇒共存こそが正しい・・・悲劇に溺れるな
<第2話>
〇石垣、井戸⇒懐かしさ。風車や芝刈り機も?⇒世界名作劇場的な雰囲気
〇レキの夢にだけ陰があることが暗示⇒みんなが帰った後も電気もつけないまま独りで考えこんでいる
〇人間もいる⇒灰羽が「普通」の世界ではない
[正確には、この描写をもって灰羽の特異性がより際立つ=実存の苦悩の必然性]
〇人と灰羽のコミュなし⇒古着屋で始めて会話
[ただスミカはあまり距離感を気にしている感じはないから、明確な規定はなくて不文律に近いものなのだろう]
〇「修道院」的ポジション・・・お金×、古着のみOK(間接的な「施し」と言っていい)
〇トーガの交易シーン・・・壁の外部から来るトーガと唯一会話を許された灰羽=マージナルな存在
<第3話>
〇話すのが禁じられた者たち(寺院)と鳥に対するクウのコメント(鳥は話せないけど仲良くなりたい)のアナロジー
<第4話>
〇カラスの扱い方に関するカナの話 「餌付けされて町に住みついて飛ばなくなるのは幸せかもしれないけどかわいそうだ」
⇒エサの捨て方もあって唐突・極端な印象
but
〇マージナルな存在たる灰羽とアナロジー・・・「私たちは守られている。だから仕事をする」
=単なる温かい場所、世界ではない⇒実存の生々しさが際立つ(ほのぼの×、実存に悩むのはヒマ人×)
自立。迎え入れる人たちばかり描かれる中で初めて突き放す(≠悪意を持った)存在としてのカナ
(「粗雑な」ヤツ、「悪者」にならないように描く距離感が難しい)
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