なるほど、日本の童貞率に関する批判的考察と原因分析か・・・詳しい内容は動画を見ていただくとして、プレゼン能力や見合い結婚減少の件、オルタナティブとしてのマッチングアプリの特性など、重要な指摘が目白押しである(データに基づいたファクトと仮説をきちんと分けて話しているところもすばらしい。なお、見合い結婚が激減した影響については「『恋愛力の低下』が少子化に繋がっているとはこれいかにwww」という記事でも触れている)。
こういう事実や分析こそ、学校で勉強の題材にすべきだと思う。なんて聞くとぎょっとするかもしれないが、しょっちゅうネタにされる男性の平均年収に無知な女性、(結婚適齢期の意味も含め)自己評価がしばしば間違っている女性の存在を思えば、危機感を正しく持っているならネタにする前に対策しろやという話である。
以前書いた「古文や漢文をどれだけ優先的に学ぶべきか」みたいな話に繋がるんだけど、今の学校って現代社会の構造についてほとんど何も知らせない状態で実社会に放り出し過ぎなんよね。
もちろん、学校って1から10まで(社会に限らず)教える場所じゃないし、またそんな時間もないんだけど、とはいえ現代社会の構造に全く無知な状態で昔の言葉がどうこうとか、数学の公式がどうこうとか勉強したって、何が温故知新だ何が教養だバカヤローって話でしかない(これも一応構造的な問題を言っておくと、「時代の変化に適応できていない」というのが正確な表現だろう。結婚については見合いという上げ底システムによって、かつては適齢期になると勝手に周囲がお膳立てするという仕組みが出来上がっており、恋愛弱者もそこに包摂されていて、それゆえに社会の仕組みについて無知であるデメリットは大きくなかった。就職についても類似のことが言える。日本の場合、会社に入ってから組織のメンバーとして相応しいように研修するという仕組みであり、むしろ余計な「色」がついてほしくなかったから実社会の構造については無知で全然OKでさえあった。しかし今や、終身雇用も終わり人の流動性も高まって、会社共同体自体も変質・解体しているので、昔と同じようにはいかないのである)。
その領域を全て自己責任に任せておき、いざ社会に出たら「え、何でそんなことも知らないの?」てやるんだろうが、それで社会に適合できない人間を少なからず生む構造になっているんだとしたら、そのシステムは終わってないかい?少なくとも、少子化が進んでいる状況においては、社会からドロップアウトする人間を最小化する努力をすべきで、それはあらかじめ社会の実情を教えたり調べさせたりすることによって、「こんなはずじゃなかった」というズレを減らすことがかなり重要だと思うんだがね。
まあこういう現実社会からのあまりの乖離と、それを埋め合わせる努力の欠落・不足を踏まえると、そんなもんを有難がっている底の浅い認識の連中に合わせるために、「ファスト教養」なんてのが出てくるのはまあ当然だわな、と個人的には思うのである。
ちなみに他の動画もいくつか紹介。特に二つ目などは、ある仮説に対してピーター博士がそれを肯定するデータと否定するデータを出しているのだが、その提出するデータが不適切ではないか(子供を作ったパートナーの数ではなく、性交渉の人数の数を出すべき)という複数の指摘(コメント)に対し、ピーター博士がコメントで補足や別のデータ提示をするというやり取りになっている(まあちょいちょいニュースになってる不倫とかの話からすれば、どれだけ有意なデータが取れるかはともかく、性交渉の人数で考えるべきという指摘が出てくるのはもっともだろう)。
個人のスタンスとしては、「自分の価値を高める」+「チャレンジする」が有効なアプローチであるのは間違いないが(就活と同じ)、社会の動静を正しく分析し対策を考えようとするなら、必要なのは精神論や印象論じゃなくてこういうことやぞ、とも言えるだろう(それが「真剣に考える」ってことであり、それをしないなら飲み屋のオヤジの放言とレベル的に変わらん)。
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