ねるねる博士の疑問:エロと越境的想像力

2011-09-16 18:13:14 | 不毛

今から5、6年前のこと。海外のエロサイトを見ていたらドラゴンボールのキャラがセーラームーンとやっている画像があり、大笑いしたことがある。クソ真面目な表情が何とも見当外れな感じでクリティカルヒットしたのもあるが、その絵が(確か)有料エロサイトの広告として使われていて、「こんなもんで釣れるの?金払うヤツいるの!?」と思ったからだ。

 

まあ最近のJiggy Girlsなどを見ると、「ストⅡのベガ×マッドギアのNH」といった例外を除けば「女性キャラ+無色透明(入れ替え可能)なキャラ」という具合に変化してきてはいるようだが、それにしても別の作品のキャラを絡ませるってのはおもしろい。というのは、世にエロ同人誌は数多あれど、そういう設定の本は皆無に近いからだ(言うても5000冊くらいしか読んだことないけど)。

 

というかそもそも越境的作品て存在しないの?と考えると、ジャンプやマガジン、チャンピオンなどメジャーな雑誌でも他作品のオマージュなんて常態的に出てくるわけで、むしろありふれたものと言える。まあそれはあくまでネタだと突っ込みがくるかもしれない。確かに作品世界が確固としてあるからこそ、他作品の要素が越境することがズレ(笑い)を生み出すのはわかる。しかしたとえば、往年の「ファミコンジャンプ」はどうだろう?あれはジャンプのキャラが絵柄や技をそのままに(つまり統合をせず)協力し合ってボスを倒すという内容だった。も少し最近のになると、「スーパーロボット大戦」なるゲームもある。俺は一度もプレイしたことはないが、ダンバインやガンダム、エヴァのロボットやキャラが一同に会するのは越境的と言えるだろう。あるいはMUGENという格闘ゲームもあり、ドナルドや貞子、涼宮ハルヒなどが従来の格ゲーキャラも含めてバトルするという実にカオスな内容になっている(ちなみに昔同人で「To Heartの綾香VSバキの勇次郎」という組み合わせを見て大笑いした記憶があるw)。今さら東浩紀の「データベース消費」というのも古いが、まあこういう具合で越境的な作品(想像力)は確実に存在しているわけである。

 

じゃあエロには越境的な想像力が働きにくいということなのか?しかし、たとえばFateのように様々な時代・地域の「英雄」を組み合わせた作品もある。「あれは実在の人物から引いてるから越境的とは言えないのでは?」と疑問に感じる人がいるかもしれないが、アーサー王やギルガメッシュ、佐々木小次郎など物語に登場する人物がほとんどであり、「実在の人物」と言ってしまうのは問題があるだろう(誤解のないように言っておけば、ナポレオンやサラディンみたいなのとは違うっちゅーことです)。まあイスカンダルジル・ド・レェはどうなのという説もあるが、前者は(伝承と違い)常軌を逸した大男として出てくるし、後者はサーヴァントのクラス的に「青髭」という童話の登場人物としてのイメージされていることを考えれば、やはり「実在の人物」と素朴に言えないキャラたちだと思う。

 

とそんな細かい話はさておき、Fateの例からエロの世界にも越境的な想像力は侵食していると言えるはず・・・・・いや待てよ、Hシーンは士郎×誰かという組み合わせで徹底していて(ホロウはちょい違うけど)、アーサー王×イスカンダルみたいな絡みはないな。その意味では、エロに越境的な想像力が働いている例ではないか・・・その他では「バキorジャック×スーチーパイ」という組み合わせの本を読んだことはあるが、(a)バキの絵柄とスーチーパイのそれのギャップ、(b)バキorジャックの意味不明な発言(「フェアじゃない」)=原作のセリフを文脈無視して入れる、という2点で明らかにネタ本であった(残念ながら題名を失念)。つまり、それも「越境=ありえないもの」という前提を覆すような内容ではなかったと言える。

 

まあ結局は、「わざわざやる必要がないから」ってことなのかもしれない。女体化などキャラ自体の設定をいじることはまだしも、全く他の作品のキャラと絡ませることは(1)なぜそういう状況になったのか、(2)なぜこのキャラとそのキャラなのか、といった説明(必然性)を用意することが難しいと思われるからだ(それゆえ逆に荒唐無稽になりやすく、笑いに繋がるわけだが)。抜くことが目的であるならば、そういう面倒な前提を必要とするシチュエーションを(読者も書き手も)避けるのはある意味合理的であるように思える。DQとFF、あるいはDOAとNARUTOのキャラを絡ませたりすることに大きなメリットがないのなら、その作品内で完結させるのが無難なのはまあ容易に想像がつくところではある。ゆえに、仮に作品と無関係なキャラを絡ませる場合であっても、「聖リオ」のHi Energyシリーズみたいに「ガイナックスキャラ×謎のオタ集団」という具合で男を入れ替え可能な(=読者が投影できる)存在にする範囲にとどまるのであろう。

 

しかし同じ作品内で完結させる合理性があるとなれば、なぜ「ドラゴンボール×セーラームーン」のような組み合わせが(しかも)海外で登場したのか大いに興味をそそられるところだ。「あくまで一枚絵でしかなく文脈規定を全く必要としなかったから」といった可能性を含めて、色々調べてみたいと思う。


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