山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

天皇は時間を支配する!?

2017-02-16 18:47:57 | 読書
『日本書紀』は天皇制度の成立支配を確定し、「政権中枢が天皇の名のもとに過去を<記定>した書物であった」と。
 「それだけではなく、それによって現在や未来をも規定」することで、「天皇は時間を支配する」のだという。
 吉田一彦『<日本書紀>の呪縛』(集英社、2016.11)の実証的で明快な筆致が小気味いい。
 したがって、『日本書紀』はいまだに現代日本を君臨している現状からそろそろ相対化すべきときであることを指摘している。

                               
 天皇の導入は中国からのものだが、「中国は王朝の交替を正統化する思想」であるのに対し、「それを天皇家だけが未来永劫にわたって日本を統治する」と藤原不比等らは改変の正当化に成功した。
8世紀に書かれたことが21世紀の現在まで続いているという時間の支配。
 また、聖徳太子の事績も言い伝えはあるが存在の歴史的事実は証明されていないと大胆に指摘する。

       
 オイラが注目している関裕二さんの『<出雲抹殺>の謎』(PHP研究所、2007.1)でも、絵空事と言われていた出雲の存在をヤマト建国に大きな役割を果たした存在とする。
 『日本書紀』の狙いは百済系らしき藤原不比等らが政権獲得に至る正統な家系であることを組み込んだものだという。

                                  
 関氏は、出雲系の蘇我入鹿を悪役にするために聖徳太子を創作し、またヤマト建国に果たした出雲を抹消しようと大国主神を考えたという。
 そこには、神功皇后・武内宿祢らも縦横にキャストとして錯綜する。
 古代へのロマンはこの推理と考古学との連動が醍醐味でもある。 
 
コメント
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